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Charlie Danielsの演奏するLaylaの違和感

先日、友人が店に来てくれた。東京の西側からこの南千住の外れまで遥々脚をはこんでくれた。

その際に、なんとなく音楽をかけていたのだが、Charlie Danielsの”Ranagade”というアルバムであった。このアルバムの5曲目にあのデレクアンドザドミノスの”Layla”のカバーが入っているのだが、それがかかった途端、彼は「なんですかこれ?」と首を傾げていた。

無理もない、この”Layla”はイントロのリフがフィドルで演奏される。あのクラプトンのブラウニーのフロント・ミドルのミックスポジションから発せられるジャリジャリとした歪んだギターのあのサウンドからはかけ離れた音色でありながら、”Layla”のイントロのあのフレーズなのだから。

Charlie Danielsは数年前に惜しくも亡くなってしまったが、アメリカのカントリーミュージック、サザンロックのバンドリーダーであり、ギタリスト、フィドル奏者、ボーカリストである。サザンロックというジャンルもかなり線引きが曖昧な音楽ではあるが、ざっくりと言ってしまえば、アメリカのルーツミュージックを取り入れたロックである。Leon Russellやらレナードスキナードなんかがサザンロックに分類されるだろうか。

Charlie Daniels Bandはサザンロックの中でもかなりカントリーミュージック寄りのスワンプ音楽をやっている。スワンプ音楽、これもなんとも説明が難しいのだけれど、サザンロックの中でも、爽やか系というよりも、もっとルーツミュージックやカントリーミュージックの影響を強く受けた音楽である。上記のLeon Russellやレナードスキナードはどちらかといえばスワンプミュージックかもしれない。

そのスワンプミュージックのフィーリングを強く含んだ”Layla”である。これはあのクラプトンの演奏するちょっとハードロックの雰囲気もあるLaylaともかなり異なった味付けである。

そもそも、クラプトンは”Layla”のセッションでオールマンブラザーズバンドのメンバーと一緒に録音したり、サザンロックやスワンプミュージックのテイストを音楽に取り入れようとしてやっているので、あの”Layla”もどちらかといえばスワンプロックを狙って作られた音楽と言えるかもしれない。

しかし、本物のスワンプミュージックのバンドがこの曲を演奏するとどうなるか、がCharlie Danielsのバージョンにはある。

その結果がどうなっているか。あの曲のテイストは残しつつも、全く別の雰囲気に出来上がっているのだ。このアルバムの他の収録曲を聴きながら”Layla”のイントロが始まるとちょっと異様な空気感が漂うので、この”Layla”という曲がいかにスワンプミュージックとは出自を異にするのかも味わえるのだが。クラプトンの当時やろうとしていた音楽がいかに新しいサウンドであったのかも再確認できる内容になっている。

気になる方は、一度聴いてみてください。

ちなみに、このアルバムの”Layla”の次の曲のイントロが、オリジナルのLaylaのイントロそっくりで、ちょっと聴いていると「また、Laylaが始まったか?」と思わせられる演出もニクいです。

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