Trio Los Panchos讃!!
先日、私の店にいらっしゃったお客様と雑談していたところ、ロスパンチョスの話が出てきたので、懐かしくなってロスパンチョス(正確にはTrio Los Panchos)のアルバムを引っ張り出してきて聴いていた。
ロスパンチョスは相変わらず良かった。
私がまだ学生だった頃、Trio Los PanchosのCDを姉が持っていて、何度か聴かせてもらった。その哀愁を帯びた歌声とレキント、ギターの音色にヤラレテしまって、私も急いでロスパンチョスのCDを買いに走った。
私が初めて聴いたロスパンチョスの曲は確か、”Quizas, Quizas, Quizas”だったような気がするけれど、よく覚えていない。とにかくそういう商業主義丸出しのロスパンチョスの「歌謡曲のような」歌声が私の心に響いた。レキントという5度高くチューニングされる小型のギターのキリリとした音色も、妙に心を打つものがあった。
もちろん、私は南米の言語に疎いもので、彼らが何を歌っているのかはちっともわからなかったが(大学で1年間スペイン語の授業をとっていたにもかかわらず!!)彼らの歌には憂いを帯びていて、意味はわからなくても心に訴えかけるものがあった。レキントの乾いた、ピリッとした音色はその憂いに追い討ちをかけるように虚しさのようなものを加えていて、まるでカレーライスに福神漬けのような黄金の組み合わせであった。
私が購入したロスパンチョスのCDの中では"si tu me dices ven"という曲が一番お気に入りであったのだけれど、この曲こそ、上記の黄金のコンビを体現したような名曲であった。
何よりも、この曲のイントロのレキントが良い、ハラリと落ちる涙と虚しさ、のような切ないイントロである。レキントという楽器の魅力をこれほどまでに美しく映えさせたイントロは、名曲の多いロスパンチョスのレパートリーの中でもピカイチである。
私が持っているCDのこの曲でリードボーカルをとっているのは3代目ぐらいのロスパンチョスのリードボーカルなのだが、彼の歌声はそれまでの歴代リードボーカルよりもさらに「歌謡曲」らしい要素と、洗練が同居していて、ただしみったれているだけでなく、悲しみを朗々と歌い上げるということの美学の一つの完成形のような印象さえ受けるのだ。
ロスパンチョスのギター(レキントも含めて)は、ある意味ギターという楽器の果たす役割の一つの完成形であるとすら感じ、とても感銘を受けたのを覚えている。
改めて聴いてみたのだが、
やはり心に染みるものがあった。
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