10代のわたし

私の10代の私の記憶は10歳の誕生日から始まっている。誕生日会を開いてもらったのはあとにも先にもこの一度だけ。同じクラスの女の子が何人か集まってくれた。土曜日だったかもしれない。カレーだか何か昼ごはんをみんなで食べて、家の前の道で、水でアスファルトに線を書きボール遊び(「中当て」と呼んでいた)をした。誰が来てくれたのか、全員の記憶はない。なぜか二人の女の子だけよく覚えている。そんなに仲良くなかったのに。一人は石川めぐむ、もう一人は沖先ナントカ(本当に思い出せない)。たぶんあと二人くらいいたと思う。その時よく一緒にいたのは、入端ゆうき、山口みえ、だったので、たぶんこの二人。石川めぐむは気が強くて、大きな家に住むお嬢さん。沖先ナントカは、四年生にしては体が大きく、もう初潮を迎えていて体格は完全に女性(当時の私にはそう見えていた)で、他の女子よりもずいぶん大人っぽかった。特に私はかなり体つきが小さく幼いほうだったので、彼女の大人の皮脂の匂いがくらくらした。下の名前だって覚えていないというのに、なぜか彼女のあぶらっぽいニキビや頭皮の匂いは心に残っている。女子トイレ掃除をしたときの三角コーナーのゴミを捨てた匂いも、なぜか彼女と結びついている。あとは、彼女があれこれ男子にからかわれて、あぶらっぽい顔が真っ赤になるのも、小学生の制服の下にうっすら見える下着も。入端ゆうきは、学年の途中で転校してきた。母が再婚して名前が変わり、引っ越してきたようだった。いわゆる文化住宅に住んでいた。年の離れた姉と、年の離れた妹がいて、再婚相手の男のことは、「おとうさん」と呼んでいたが、好きではないと言っていた。私は彼女を好きでも嫌いでもなかったけれど、彼女はなぜか私に関わってきたように思う。山口みえは私の家と同じ区画の向こう筋に住んでいて、活発な女子だった。この子もなぜか私によく関わってきて、ジャイアンのように私の肩をくみ、まるで「親友だ」というように仲良くしてくれた。しかし、山口みえは入端ゆうきが気に入らないらしく、交換日記では

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