5月/銀座で行われる展示

こんにちは!プロデューサーの大島です。連休明けの1週間が終わりますね。

今日は個人的に興味のある展示をふたつ、ご紹介します。偶然にも、どちらも5月中に銀座で開催されるものです。残りの5月の予定をお考えの方、ぜひご覧ください!

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5月に銀座で見ることができる展示を2つご紹介!

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「ねむの木学園のこどもたちとまり子美術展」

こちらの絵に見覚えはありますか?

(出典:ねむの木学園HP http://www.nemunoki.or.jp/gallery/index.html

これは、ねむの木学園に通うこどもたちが描いた絵です。ミスタードーナツで目にした方も多いのではないでしょうか?幼い頃に知ったねむの木学園のこどもたちの絵が銀座で見られると知り、ひさしぶりに学園のことを調べてみました。

ねむの木学園とは

ねむの木学園は、女優の宮城まり子さんが1968年に設立された日本で初めての肢体不自由児養護施。まだ、法律のない時代。養護教育が義務化されたのは1979年のこと。こんなに最近なんだ、と驚きでした。

「ねむの木学園と名前をつけた、とにかく、手足にハンディキャップを持ち、精神におくれを持ち、家で、家族がめんどうをみることの出来ない子が、小学校、中 学校に、通うことが免除される就学猶予という法のもとに学校に行かなくてもいいことを知り、私は、自分の幼い頃からなにかを学びたいという心と、小・中学 は義務教育ではないの、その義務を放棄してしまうなんて、許せない、そんな思いつめた心から、又、自分が、自立できていることの申しわけなさみたいななに か、許せない心で日本にまだ、法律もなかった障害を持つ子のお家をつくってしまった。まだ、制度もないこの仕事は、許可を得るまでが大変、そして本当に大変だったのはこども達を受け入れたときからだったんです。」(出典:http://www.nemunoki.or.jp/negai.html)

このような怒りや疑問を抱いてから、まり子さんはずっとこの学園の設立のために奔走してきたのです。

ねむの木のこどもたちの描く絵

「ねむの木子ども美術館」(1995年刊)や公式ホームページにも掲載されているエピソードで印象的なものがあります。

こどもから、砂浜でたくさんの蟹が遊んでいる絵を見せられたまり子さん。「この子は蟹を見たことがない」とすぐ感じたそう。こどもに自分で描いたの?と尋ねると「先生が2つ描いてくれて、こう描きなさいって言ったのよ」。この素直な言葉を受けて、その子の頭をなでながらも、まり子さんは怒り狂っていたそうです。その蟹はハサミもなく、足が6本。知恵おくれの子には、数がわからないから、わざとそう簡単に教えたのか??「ちがうよ」と言いたいのを、ぐっとこらえた。

そのあとのことを、こう語っています。

人間を尊重していない・・・お友達の谷内六郎さんに遊びに来てもらって、私たちは、放課後、美術クラブをつくりました。砂丘とカニなんて題をつけるから、束縛されるんです。自分の思ったまま、感じたまま、谷内さんも私も同じ意見でしたので、そばで別のことしながら絵をかく雰囲気をつくることにしました。二人とも、決して教えませんでした。(出典:「ねむの木子ども美術館」(1995年刊))

こうして愛をもってこどもたちの個性を尊重し、感性を育てるのがまり子さんの考え方。だからこんなにも自由で、魅力的な絵が生まれたのだと思います。

やさしくね やさしくね やさしいことは、つよいのよ。フライヤーにも入っている、まり子さんのことばが胸にひびきます。

▼こどもたちの伸びやかで自由な絵を、ぜひ会場でご覧ください。

東京銀座画廊・美術館5F会場(2丁目銀座メルサ)/ 東京都中央区銀座2丁目7/ 5月11日(日)〜29日(日)10:00〜18:00 / 入館料:大人800円(高校生以下無料)

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近藤康平個展「未完成のような」

つぎにご紹介するのは、わたしの大好きなライブペインティングパフォーマー/絵描きの近藤康平さんの展示。7年前にとあるカフェで絵に出会って以来、ずっと見続けている絵描きさんです。

(出典:http://kondokohei.net/gallery/live/01/index.html

康平さんのライブペインティングは「単に絵を描く過程を見せる」ものとは全く違っています。

様々なミュージシャンの演奏に即興で絵を描いていくのを特徴としている。40分前後の時間で、音楽に反応/同期しながら、巨大なキャンバスに手の平をつかいものすごい速度で,何度も景色を塗りかえていくパフォーマンスは「このようなライブペインティングはみたことがない」「映画をみているようだった」と好評を得ている。(出典:http://kondokohei.net/about.html)

面白いのは、共演されるミュージシャンも絵を見て変化しながらプレイすること。上記に「反応/同期」とありますが、まさにそんな感じ。混じり合う瞬間がいつも最高なんです。音楽や場所、料理、人、空気、いろんなものが溶け合っている。その場でしか体験できない空気感が、康平さんのライブペインティングの魅力です。

老舗画材屋「月光荘」が営むギャラリー&バー

会場は、創業100年の歴史を持つ月光荘が、銀座の雑居ビル屋上にあった倉庫をリノベーションした「月光荘 月のはなれ」。

(出典:http://tsuki-hanare.com/about/

老舗の画材屋×倉庫をリノベーションというところが、新しい空気を生み出している気がします。また、絵描きである康平さんが歴史ある画材屋さんで個展をされるということが、個人的に嬉しくもあります。。(個人の感情がダダ漏れです。)

個展のテーマは「未完成」

絵を描いているときに思うことがあります。 それは絵は描き始めから描き終りまでどの段階でも美しいということ。 ある意味、絵は白紙の状態をふくめてどの瞬間も美しくて、どの瞬間も完成と言えるのかもしれません。 想えば宇宙そのものが永遠に完成することなく、つねに未完成である美しさそのものなのだから当然なのかもしれません。(出典:近藤康平ブログ)

康平さんのライブペインティングでは、「今の瞬間は今が完成だ」と感じることがよくあります。でも、完成した絵のうえから、大胆に手で新しい絵を描いていく。消すことと描くことがイコールで進んでいく。でもそこにあった絵は、見ていた人のなかに残る。最後に出来上がった絵が、完成ではなくその過程こそが「作品」のように思えます。

これは康平さん自身にもいえることで、彼の絵やライブペインティングの手法は、彼らしさを残しどんどん変化しています。まさに目が離せない人!

月光荘×近藤康平の化学反応

今回の展示でも新しい試みがあるそうです。在廊中はゆるやかにライブペインティングを行い、見る人が「完成だ」と思った瞬間に鈴を鳴らすことができるらしい。なんて面白い!

僕は常々絵は見ている人が完成させるものかもしれないなぁと思っていました。一本の線でも人によってはそれが地平線に見えたり、壁に見えたり、いろんなものが見えます。そしてそれを美しく思ったり、愉快に思ったり、悲しく思ったり・・・その人が積み重ねてきた経験と、いまの心境。それが交差する視線の先に絵が立ち上がるなぁと。(出典:近藤康平ブログ)

月光荘だから見ることができる個展です。

康平さん自身も、文章のとおり、とてもすてきな人です。

▼ぜひ、鈴をならしに銀座に足を運んでみてください。

東京銀座「月光荘サロン 月のはなれ」             東京都中央区銀座8-7-18 月光荘ビル5階             5/17(火)〜30(月)月〜金 14:00〜23:45 土 12:30〜23:30     日曜、祝日 貸切営業のみ

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[by]sachi oshima

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