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情報の重要性とブレイクスルー

 はじめまして。Cottonです。普段はバイトに追われる大学生ですが、今回はGPに向けての練習で得た経験をNoteに投稿します。
 本稿は有料記事であり、無料部分では情報との付き合い方や重要性について自らの考えをまとめ、有料部分では今回の練習過程で得たブレイクスルー(進歩、前進、また一般にそれまで障壁となっていた事象の突破を意味する英単語。)と名古屋で使用した実際のリストを用いたサイドボードの一例を記載しています。
 抽象化した説明を心がけていますが、具体例については今回使用したリストについて記載している部分があります。そのため、スタンダードを普段プレイされていない方には伝わりづらい部分もあるかもしれません。ご了承ください。

☆プロローグ

 このスタンダード環境は難しい。環境のデッキはFood系統ばかりなのだが、その中核を担う《王冠泥棒、オーコ》は歴代で最も難しいカードの一つである。

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 +2,+1,-5とすべての能力が強く、少しのミスなど構わずどのようなマッチアップでもあっという間に1枚で盤面を制圧してしまう。(実際、ミラーマッチの練習中にキーカードである《戦争の犠牲》を2発食らったが、《王冠泥棒、オーコ》を定着させることで最終的に勝利した。そのレベルのカードなのだ。)
 またこのデッキは、序盤は色マナを安定させ食物を生成する効果によって後半も腐りにくい《金のガチョウ》やアグロに滅法強く上記の2種類のカードとシナジーを形成する《意地悪な狼》、単体で勝利できるだけでなく常在型能力によって《ハイドロイド混成体》やその他ビッグマナスペルを補助する《世界を揺るがす者、ニッサ》など一級品のカードばかりで構成されており、多くのプレイヤーがGPで使用することは明らかであった。

 だが、このような環境では使用人数の関係上避けられないことがある。そう、ミラーマッチだ。この環境のミラーマッチは特に難解とされており、いつにも増してサイドチェンジについて意見が分かれているように感じた。私も対戦後、様々なプロプレイヤーのサイドチェンジを観察していたが皆まちまちで、最も衝撃を受けたのはあるプロがミラーマッチにおいて先手後手にかかわらず《意地悪な狼》を抜いていた事だ。

 プロでさえ苦戦する難解な環境において、一般プレイヤーである私たちが的確なサイドボードプランを考えることは非常に難しい。実際、本戦の上位卓はスポンサードプレイヤーや有名プレイヤーで占められており、この環境は一般プレイヤーにとって厳しい環境だったといわざるを得ない。

☆強いリストは溢れている

 インターネット黎明期にこのゲームMagic the gatheringは誕生した。当時は今ほどネットワークシステムが構築されていた訳ではなかったため、プレイヤー達は「マナバーン」などの雑誌から模範となるリストなどを手に入れ、日々試行錯誤していたと聞いている。

 しかし、現代はイゼ速速攻MTGのような所謂まとめサイトが多数存在し、容易にGPの優勝デッキやMPLが作成した強力なデッキにアクセスできる。またスタンダードのみに焦点を当てれば、Arenaの導入もある。実際のカードに比べ安価でデッキを作成し、無料で何度でも対戦が出来る。
 昔に比べ情報面だけでなく試行回数と言う面においても良い環境になっていることは間違いないだろう。

 だが、そんな情報化社会においてもプロプレイヤーと一般プレイヤーには未だ明確な壁が存在する。その一つがサイドボードだ。ロンドンマリガンの導入により、以前にもまして明確にキープ基準が求められるようになった昨今、当然サイド後の構成はより重要視されるようになった。また、カードパワーの全体的な向上もサイドチェンジの難化に拍車をかけていると私は考えている。

 プロプレイヤーによるデッキについての解説記事が出たとしても、君が今アクセスしているその情報は公開と同時に誰もが知ることができる。ましてそれが著名なデッキであるなら多数のアクセスがあってもおかしくない。
 加えてレベルの高いプレイヤーはその記事の本質を抽象化(この単語については後述する)し、それを踏まえた対策をしてくるかもしれない。
 ただ記事を鵜呑みにしていては取り残されるばかりだ。では、我々一般プレイヤーは一体どうすればよいのだろうか?

☆人より多くの情報にアクセスする。

 一つ目の答えは読んで字のごとく、多くの情報にアクセスすることだ。皆さんは日々どの程度Magicについての情報に触れているだろうか。もし、まとめサイトを見るだけで満足しているならば、それは非常にもったいない。
 ある記事で海外のとあるプロチームは調整合宿の朝にみんなでコーヒーを飲みながらMagic Onlineの5-0リストに目を通すと記載されていた。一流のプロであっても日々情報に関してアンテナを張り巡らせているのだ。なおさら我々は、アンテナを張るべきではないだろうか。といってもどのようなサイトがあるかわからないという人もいるだろう。そんなあなたのためにおすすめサイトを1つ記載する。

晴れる屋
 言わずと知れたMagicの通販サイト。通販で利用したり、記事を読んだことがある方は多いだろうが、デッキ検索機能については少し軽視されているように感じる。使用しているという人も自分のアーキタイプのみを検索する方が多いのではないか。しかしそれでは十全に利用しているとは言い難い。
 そこに記載されているメタゲームは日本において概ねの大会使用率とリンクしているし、様々なデッキリストを見ることで対策等の研究にも活用できる。日々の大会で蓄積された膨大なデータはきっとあなたの役に立つだろう。

☆希少性のある情報にアクセスする

 2つ目の答えは、希少性のある情報にアクセスすることだ。この章での希少性とはその情報の価値ではなくあくまで手に入りにくさと定義する。恐らく様々な方法があるが、今回は3つの方法をメリット・デメリットベースで述べていく。

 1つ目が他人に意見を聞くことだ。
 メリット:自分が疑問に思っていることに対してのクリティカルな回答を得ることができる。
 デメリット:ある程度質が担保されている相手と気軽に話せる間柄の人を確保するのが難しい。
 この手段が最善であることは疑う余地もないが、読者の中には近くに行きつけの店がなくArenaしかしていないという方もいるだろう。そんな方はプロの配信中にコメントしてみれば良い。すべてのプロの配信を見ているわけではないため一概には言えないが、多くのプレイヤーは基本的に質問に答えてくれる。私も暇な時間に見ることが多いし、利用しない手はない。もし仕事の関係上時間が合わなくても、アーカイブなどを見るだけで参考になることは多いだろう。

 2つ目はnoteのような有料記事に課金することだ。
 メリット:無料記事より有益な情報にアクセスできる可能性がある。
 デメリット:残念ながら質の悪いものも多く存在している。
 この記事を読んでいる物好きの方は、現在Twitterで有料記事について賛否両論が繰り広げられていることは恐らくご存じだろう。海外では定額で有料記事を購読できるサイトが一定数存在しているが、日本ではまだまだ浸透していない。サービスに関する意識の差であろうか。いずれにしても晴れる屋のような著名なサイトが導入しない限りは、この制度が普及することはないだろうが。

 3つ目はChannel Fireballのような英語のサイトにアクセスすることだ。
 メリット:日本人があまり見ていない。
 デメリット:なにより英語という事。
 多くのプレイヤーは英語の記事を必要以上に敬遠している傾向がある。しかしこれは機会費用を失っているといわざるを得ない。そもそも使用されている英語は比較的容易であるし、カード名からある程度類推できる内容もあるだろう。
 せっかく無料で読めるのだから少し努力してみてはいかがだろうか。ちなみにMagicでカード名などに使用されている英語は専門的な単語も多いため、翻訳サイトを介しても変な日本語になることが多い。

☆与えられた情報を抽象化する

 3つ目の答えは、記事の内容を抽象化することだ。いきなり「抽象化」と言われてもイメージがしにくいかもしれないので1つ具体例を用意した。

 Ex1) スゥルタイフードに関しての記事を読んだところ、赤単相手には《大食のハイドラ》をサイドインすべしと記載されていた。その情報について理解したあなただったが、もしサイドプランの記載がない緑単と遭遇した場合《大食のハイドラ》をサイドインするだろうか?

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 多くの記事には著名なマッチアップについてのサイドチェンジは記載されているが、当然すべてのマッチアップについて記載されている訳ではない。そのためこのような場面に遭遇することはよくある。現在与えられている具体的な情報は、赤単に《大食のハイドラ》をサイドインすることだけであるが、この具体的な情報を抽象化すると以下のようになる。

☆具体的な事例:赤単には《大食のハイドラ》を入れる。
⇒抽象的な事例:アグロにはサイズのあるクリーチャーをサイドインする。

 「抽象化」とはこれすなわち具体的な事例を抽象的なものに落とし込むことだ。これを応用すれば逆も可能で
☆抽象的な事例:アグロにはサイズのあるクリーチャーをサイドインする。
⇒具体的な事例:緑単にも《大食のハイドラ》を入れるかも?

 といった具合に推測することもできる。この場合大切なのは、正解不正解ではなく抽象化する作業ひいては一事象に関して思考することだ。実際入れてみると、赤単と緑単は同じアグロと言えど採用クリーチャーのサイズに差があり意外と活躍しなかったとか、赤単相手と同じように除去として運用するつもりであったが、緑単には倍モードが有効だったなど様々なことに気づくだろう。
 その試合にたとえ負けてしまったとしても、そこから学びがあれば次に生かせる、大切なのは勝利に対する貪欲さではないだろうか。
 私の考えがある程度浸透しただろうか。それでは2問目にいこう。

 Ex2) Ex1と同じスゥルタイの記事を読んだとする。ばっちり読み込み大会に備えたが、当日寝坊をしてしまい、本戦開始までに75枚同じリストを用意することができなかった。(残念ながらこれは実体験、しかも競技イベントの話である。)そして初戦の相手は赤単。記事通り《大食のハイドラ》を入れたいところだが、残念ながら会場に在庫が無くサイドボードには入っていない。今日は以下のサイドボードを使用しているとして、《大食のハイドラ》の代わりにはどのカードをサイドインすることが適切だろうか?

〇サンプルリスト(MCリッチモンド2019 3位)
3 夏の帳 (M20) 198
1 軽蔑的な一撃 (GRN) 37
2 軍団の最期 (M20) 106
2 否認 (M20) 69
3 打ち壊すブロントドン (M20) 197
2 虐殺少女 (WAR) 99
2 戦慄衆の将軍、リリアナ (WAR) 97

 当然、相手の構成によって変わるため一概には言えないが、2戦目は概ね《打ち壊すブロントドン》《虐殺少女》をサイドインする。この事象を先ほどの公式に当てはめると以下のようになる。

☆具体的な事例:赤単には《大食のハイドラ》を入れる。
⇒抽象的な事例:アグロにはサイズのあるクリーチャーをサイドインする。

☆抽象的な事例:アグロにはサイズのあるクリーチャーをサイドインする。
⇒具体的な事例:サイズのある《打ち壊すブロントドン》を入れるかも?or除去の役割を果たす《虐殺少女》は入れるかも?

 他に、《実験の狂乱》に加え《炎の職工、チャンドラ》のような4マナ以上のカードが多く採用されているサイドボードならば《軽蔑的な一撃》を入れるのもよいかもしれないし、サイド後にPWが多く採用されているようなら《否認》を入れるのもよいかもしれない。
 十人十色という言葉にあるように、同じアーキタイプと言えどサイドボードには個性がある。先述のとおり全体的なカードパワーが向上し取ることのできる選択肢も多くなっているため、見極めがより必要になっていることがお分かりいただけただろうか。

 ここまで述べたの事は、6年間で私が得た経験の一部だ。しかし、今回の練習では今まで想像もしなかったさらなるブレイクスルーを得た。次章からは、それについて触れたいと思う。

☆手番によるカードの強さの変化

 突然であるが、私は今までのトーナメントシーンでアグロと呼ばれるデッキを選択することが多かった。例に挙げるとアブザン環境ではアタルカレッド、サヒーリ環境ではマルドゥ機体を主に回していた。しかし今回は他の選択肢と明確なデッキパワーの差があると感じ、不慣れなミッドレンジであるスゥルタイフードを選択した。
 ミッドレンジを回すことは、私にさまざまな知見をもたらした。その一つが「手番によるカードの強さの変化」である。アグロは常に攻め手である関係上先手後手でプランを大きく入れ替えることは珍しく、その点について特に意識したことはなかった。しかし、ミッドレンジは各マッチアップにおいて攻め手受け手を切り替える必要性があり、先手後手でもその都度アグロシフト・コントロールシフトに変えなければならない場合も存在する。この章では、実際の練習中に最も知見を得たプランについて共有したいと思う。

 ある日Discordで通話しながらミラーマッチを練習していた際、1本目を落とした2本目のサイドボード中にふと練習相手が「後手はニッサを減らして…」と呟いた。
 その時の私はミラーマッチの決め手の一つは《世界を揺るがす者、ニッサ》が着地してからのX=10レベルの《ハイドロイド混成体》と感じていたので、そのプランが信じられなかった。理由が気になり真意を問いただしたところ「後手の時、受けるプランにシフトするから隙の多いニッサは抜いたほうがいい」と回答を得た。
 初めは納得できなかったものの、試せば試すほど後手に《世界を揺るがす者、ニッサ》がダブつくのは致命的と気づきこのプランの正しさを感じた。
 これは一人ではたどり着けなかった境地なので、やはり持つべきは友である。(今回の名古屋はほとんど借り物で出場したため、普段の仲間には感謝している。ありがとうございます。)

☆デッキによってカードの評価は変わる

 《世界を揺るがす者、ニッサ》

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 《王冠泥棒、オーコ》とともにこの環境を定義づけるカードの一つではないだろうか。もし緑を使うならば必ず入るカード、環境初期は私もそう思っていた。しかし、これもまた間違った認識であったと今では自信を持って言える。

 チーム調整の中でゴルガリアドベンチャーの担当になった私は、早速ひな形の製作に取り掛かった。前環境でグルールの強さの一角を担った《世界を揺るがす者、ニッサ》、+1で3/3クリーチャーを作り出す能力は従来のクリーチャーデッキにはない多角的な攻めを実現していた。環境が変わっているにもかかわらずその強さを信じていた私は、何の疑いもなく最初期のリストに採用していた。

 様々なアーキタイプとの対戦を重ねる中でシミックランプなどが使ってくる《世界を揺るがす者、ニッサ》+《ハイドロイド混成体》のパッケージがこちらのゲームプランにとって癌であると気付いたため、私はメインから《世界を揺るがす者、ニッサ》+《戦争の犠牲》のパッケージを搭載しそのプランに対抗するようになっていた。

 さてこれは一人で調整しているときによく陥りがちなミスの一つであるが、一体何が問題であるか分かるだろうか。
 このような時には一度に思考するのではなく確実なこと、想像に過ぎないことを区別し一つ一つ整理していくのが良い。

・確実なこと
ゴルガリアドベンチャーがクリーチャーデッキであること
《ハイドロイド混成体》デッキ相手に勝率が芳しくないということ
《世界を揺るがす者、ニッサ》に対して《戦争の犠牲》が有効なこと
《ハイドロイド混成体》にもある程度《戦争の犠牲》が有効なこと

・想像に過ぎないこと
《ハイドロイド混成体》デッキ相手に《戦争の犠牲》が有効なこと

 察しのいい方ならもうわかるかもしれない。そう、この論理によるとこのマッチアップにおいてゴルガリアドベンチャー側の《世界を揺るがす者、ニッサ》は特に必要ない。あくまで効果的なのは《戦争の犠牲》であって《世界を揺るがす者、ニッサ》ではないのだ。相手の《世界を揺るがす者、ニッサ》が癌になっていたことや前環境のバイアスが邪魔し、本質に気づいていなかったことを痛感しサイドボードプランを見直すことに。

 他のマッチアップについて同様の検討をすると《王冠泥棒、オーコ》の影響で前環境に比べ3/3の価値も落ちており、かつこのデッキには《戦争の犠牲》以外のマナの注ぎ先もなく常在型能力もうまく活用できていないことが判明した。そして、とある記事を参考に《探索する獣》《悪ふざけの名人、ランクル》などのクリーチャーを増量し、速攻クリーチャーでPWに圧力をかける構成に変えた。

 結果的にこのデッキを使用しなかったが、この経験は自分にとってブレイクスルーが起きた瞬間であった。

☆サイドチェンジ中もよく相手を観察する

 これは古来から言われていたことであるが、私はこの理論に対して非常に懐疑的であった。相手が何枚サイドインするかによってこちらのプランを柔軟に変化させる必要性などあるのだろうかと。しかし、まだ気づいていなかっただけなのだ。このGPで必要性を初めて実感したのでその事実を問題形式で共有したいと思う。

 問題)本戦に向けて私はとある記事を購入した。そのデッキはFoodデッキと対峙した際にはPWを10枚近くサイドインし、メインの構築から軸をずらすことで勝つと記載してあった。そして本戦でそのアーキタイプと思われるものと対戦。1戦目は難なく勝利したがサイドチェンジの際、通常の構築ならばあまり有効でない《否認》をサイドインするべきだろうか。

 普段はサイドインしない《否認》であるが、もし相手がPWプランをとってきた場合有効であることは明白だ。しかし相手がその記事を読んでいない場合は不要牌になってしまう。
 そこで私は【記事を読んでいる場合、決まったプランがあるはずなので迷わずにサイドチェンジする】と考え相手の挙動を注意深く観察した。結果として…

 解答)相手は、かなり考えたのち4枚のみ変更した。仮にそれがすべてPWとしてもそこまで問題はないと考え、私は《否認》を入れなかった。試合中にPWも想定外のカードも出てこず難なく勝利。予想通り相手は記事を読んでいなかったため、《残忍な騎士》と数枚をサイドインしたのみであった。

 ここから抽象化できる事実は、サイドボーディング中は何枚入れるかにかかわらず、15枚をいったん入れてからよく混ぜて何食わぬ顔で15枚抜くとよいという事だ。10枚抜いた後10枚入れていたら相手に「僕は、アグレッシブ・サイドボードをしています」と教えているようなもので、その価値を大きく落としてしまう。今回は特殊な事例であったが、役に立つ場面が訪れる可能性があるので今後実践していきたい。

☆具体例を用いて考える

 最後の章では、ここまでの学びを生かしたスゥルタイフードのプランについて記載する。毎ゲーム事に得た学びを反映させているため、残念ながら本戦と同じ入れ替えにはなっていない。ちなみにGPで初日落ちした人に、このガイドを教えたところ先日のFinals予選では3没だった。当然本人のポテンシャルもあるが、少しは参考になるのではないかと考えている。

 また現在考えているサイドチェンジは記入するが、先述の通り相手のプレイするカードによってその都度変わるため盲目的に信用するのはやめて欲しい。

【参考リスト】GP名古屋で使用したもの。初見で回しても本戦の結果は11-4であったから強いリストであることには間違いないだろう。(前日に八十岡プロがあげたTwitterにあげた構築と75枚同じ。)

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Deck
4 Gilded Goose (ELD) 160
4 Paradise Druid (WAR) 171
4 Wicked Wolf (ELD) 181
4 Hydroid Krasis (RNA) 183
1 Swamp (ELD) 261
2 Once Upon a Time (ELD) 169
1 Vraska, Golgari Queen (GRN) 213
4 Nissa, Who Shakes the World (WAR) 169
4 Oko, Thief of Crowns (ELD) 197
7 Forest (ELD) 266
2 Island (ELD) 254
2 Fabled Passage (ELD) 244
4 Breeding Pool (RNA) 246
4 Watery Grave (GRN) 259
4 Noxious Grasp (M20) 110
4 Overgrown Tomb (GRN) 253
1 Massacre Girl (WAR) 99
1 Veil of Summer (M20) 198
2 Casualties of War (WAR) 187
1 Castle Locthwain (ELD) 241

Sideboard
2 Negate (RIX) 44
3 Legion's End (M20) 106
3 Voracious Hydra (M20) 200
1 Massacre Girl (WAR) 99
2 Veil of Summer (M20) 198
2 Mystical Dispute (ELD) 58
1 Vraska, Golgari Queen (GRN) 213
1 Disdainful Stroke (GRN) 37

vs Sultai Food
 このマッチアップで重要なのは、攻め手と受け手の交換のタイミング。基本的には先手有利なマッチアップのため後手側は多少無理してでもビッグアクションを要求される。
 先手は《ゴルガリの女王、ヴラスカ》などの1枚で勝つカードを増量し、それに対しての除去を《夏の帳》で押し切ることを意識した構成にする。
 後手は一転受け手になることを意識し、テンポの悪い《ゴルガリの女王、ヴラスカ》やマナコストの高い《世界を揺るがす者、ニッサ》そしてバリューが減少することから《ハイドロイド混成体》などを減らす。そして《大食のハイドラ》《虐殺少女》などで的確に相手の盤面をさばいていくことを意識する。

Play First
In 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》1、《夏の帳》2
Out 《むかしむかし》2、《虐殺少女》1
Draw First
In 《虐殺少女》1、《夏の帳》2、《大食のハイドラ》2
Out 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》1、《世界を揺るがす者、ニッサ》2、《ハイドロイド混成体》1、《戦争の犠牲》1

VS Simic Food
 このマッチアップはこちらがコントロールシフトしなければならない。Simicというデッキ自体が細いため、同格以下であればカードパワー分押し切れるが、格上の場合おそらく不利。(本戦2日目に関西で強豪として知られる、第2期リミテッド帝王の筒井氏にあっさり負けた。)
 勝つときは向こうの飛行クロックを捌いて、PWのリソースで押し切るイメージ。《夏の帳》は不要という人もいるがカウンターを弾いたり《厚かましい借り手》をフィズらせたり、《意地悪な狼》《大食のハイドラ》の格闘を確実に決めることがキーとなると考えているので現在のプランではあるだけ入れている。相手がカウンターが入れてきていない様子なら減らしても問題ない。
 《戦争の犠牲》はFoodに効果的なスペルであるが相手目線で言えばあるだけ《夏の帳》を投入してくるため減らした方がいい。

In  《虐殺少女》1、《夏の帳》2、《大食のハイドラ》3
Out  《ゴルガリの女王、ヴラスカ》1、《世界を揺るがす者、ニッサ》2、《ハイドロイド混成体》1、《戦争の犠牲》1、《むかしむかし》1

VS Golgari Adventure
 このマッチアップもこちらがコントロールシフトしなければならない。除去して除去して最後に立っていた奴の勝ち。序盤の《エッジウォールの亭主》が除去できないとアドバンテージ差が開いてしまうため、除去なしハンドはマリガンしよう。1/1の人間と,《恋煩いの野獣》の盤面で出す《大食のハイドラ》は格闘するか倍で盤面を止めるか難しいが、意外と1/1の数は少ないので基本的には格闘したほうがいい。
 《害悪な掌握》は、先述の《エッジウォールの亭主》を除去できるがスペル自体は足りており、また致命的な《悪ふざけの名人、ランクル》に対してのカードを採用するために減らす。

In 《虐殺少女》1、《夏の帳》2、《大食のハイドラ》3、《軍団の最期》3
Out  《世界を揺るがす者、ニッサ》2、《戦争の犠牲》2、《むかしむかし》2、《害悪な掌握》2、《楽園のドルイド》1

VS Rakdos Aristo
 《探索する獣》(実は伝説のクリーチャー)がないので、かまどにゃんこサイクルが厳しい。勝つときは《世界を揺るがす者、ニッサ》からの《ハイドロイド混成体》連打。どのマッチよりも飛行クロックが必要なマッチアップとなる。
In 《虐殺少女》1、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》1、《大食のハイドラ》3
※2マナ域が多いようなら、《軍団の最期》もサイドインする。
Out 《害悪な掌握》4、《夏の帳》1

VS Temur Reclamation
 メインは《荒野の再生》に干渉する手段が全くないため不利。待っていては《発展//発破》コンボにいずれ負けるので、カウンターを気にせず最大値を求めていくべき。サイド後は最適化されカウンターで《荒野の再生》を弾き、《夏の帳》《王冠泥棒、オーコ》《世界を揺るがす者、ニッサ》などのPWを着地させれば概ね勝てる。《むかしむかし》ではなく《楽園のドルイド》を抜くのは、《炎の一掃》のような全体火力に弱く、信用性が低いからである。
 よくコントロールと対峙した際、明確な目的無しに待つプレイを選択する人がいるが、コントロール側は待てば待つだけ手札が整うので目的なく待つプレイを選択するのはやめるべきだ。
In 《神秘の論争》2、《否認》2、《軽蔑的な一撃》1、《夏の帳》2
Out 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》1、《害悪な掌握》4、《楽園のドルイド》2

VS Gruul
 空き時間に1回対戦しただけだが、あらゆるカードで死ぬため《世界を揺るがす者、ニッサ》は全抜きすべき。このデッキに限らないがブロックする時は常に《エンバレスの宝剣》を計算に入れる。本戦で隣のプレイヤーがほとんど勝っている盤面から適当にブロック、トランプルダメージで負けていた。どんな時も油断大敵、「帰るまでが遠足」なのだ。
 またグルールにはリソースの回復手段がなく、本体火力もないのでゲームが続けば大体勝てる。
In 《大食のハイドラ》3、《軍団の最期》3、《虐殺少女》1、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》1、《軽蔑的な一撃》1
Out 《世界を揺るがす者、ニッサ》4、《害悪な掌握》4、《夏の帳》1

VS Others
 正直デッキパワーが違いすぎるため、寝てても勝てる。もし、赤単などに勝率が芳しくない場合はプレイが間違っていることが多い。通っているショップで上手いと言われる人に聞いてみよう。(この件に関してはいつか記事にしたいと考えている。)

☆エピローグ

 私は趣味について聞かれるのが苦手だ。世間のイメージの悪さをよく知っているため「カードゲームです。」などと答える気もなく、いつも当たり障りのない回答として読書と答えている。(ちなみに読書も大好きで、実家には中学時代から買い集めた小説、伝記などがあふれかえっている。そのこともいつか記事にできたらと思う。)
 しかし、ここで最も好きなことについて述べたい。それは「考えること」である。昔から将棋や論理パズルなどで遊ぶことはあったが、より好きになったきっかけは大学受験の時である。予備校に通っていなかった私は、使用する教材やプランニングについて1人で考えなければならなかった。その時に情報の取捨選択について覚え、様々試行錯誤する中でたどり着いた答えである、抽象化することや客観視に基づく事実の整理が本稿の源流になったと考えるとなかなかに感慨深い物がある。

 次の禁止改訂で《王冠泥棒、オーコ》が禁止になる可能性があるため、急遽記事に起こした訳だが楽しんでいただけただろうか。もし意見等がある場合は、是非コメントに残して欲しい。私もこのような試みは初めてであるから議論してみたい。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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