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BiSH解散ライブへ行く

6月29日、東京ドームにてBiSHは解散した。
清掃員(BiSHのファンの総称)の一員として、私も会場に足を運んだ。

16時過ぎの水道橋駅周辺。今年一番くらいに死ぬほど暑かった。BiSHはやっぱり晴女集団なんだなと思った。駅からドームまでの道は、色々な時代のグッズを身にまとった清掃員であふれていた。数あるグッズの中から、最後に選んだものを自分自身とBiSHの思い出を抱きしめるような想いで身につけているのだろう。私も、一番気に入っていてたくさん着ていたアユニ・DのTシャツを選んでいた。


会場外のフラッグ

会場に着くと、あらゆる場所にライブビジュアルのフラッグやメンバーが代わる代わる写るモニターと、そこで写真を撮ろうとするたくさんの清掃員の姿が見えた。この会場にいる大勢の人がみんな自分と同じようにBiSHのためにこの場に来ていて、この大きな会場でBiSHが見れるんだなという実感が急に湧いてきた瞬間だった。

入場時には、星型の記念品を配られた。片面にはライブタイトル、裏にはメンバーからのメッセージが書かれていた。
開演の30分以上前の会場には、もうすでに多くの人で賑わっていた。知り合いと歓談する人も多く、とても最後のライブを思わせる空気感ではなく、あくまで「いつもと変わらない」ライブ前の風景だった。

記念品と開演前の会場の様子

18時。急に会場が暗くなったと同時に、会場の空気も一変し緊張感が高まり、全清掃員が立ち上がる。最後のライブの開幕だ。

そこからは一瞬だった。大きな会場での声出しライブは圧巻で、対角線にいる清掃員の声は遅れて聞こえ、波のようだった。私もその中の一人になりたくて必死に叫んだ。メンバーは、私の席からは表情など到底読み取れなかったが、大きな会場で駆け回り全身で届けようとする姿は、いつもと変わらずまっすくで全力で私が大好きなBiSHだった。ライブ1っ曲目から泣いちゃうかもと言っていたメンバーたちだったが、時折大きなスクリーンに映る表情に涙はなく、あまりに清々しいものすぎてこちらが泣きそうになった。

BiSHのライブ恒例のコントもあった。
東京ドームだろうが、解散ライブだろうが、コントをやってくるところも
変わらず「BiSH」だった。

ライブの様子 これはコント中のもの

私が本編で1番泣いたのは、本編終盤のサラバかなだ。「その手を離さないよ」という歌詞と共にメンバーも清掃員も全員が手を伸ばす部分だ。ライブ定番曲ともいえるこの曲は、何度も何度も生で聴いてきた曲だった。元々大好きな部分だったが、この日は本当に離したくない、BiSHを繋ぎとめておきたいと強く思った。気づいたら涙がボロボロ流れていた。

本編最後はALL YOU NEED IS LOVE。ひたすら跳び、みんなで肩を組み歌った。全24曲。あっという間に終わった。あまりにいつもと変わらずに最高に楽しいライブすぎて、まだ、これが最後の実感がなかった。すぐさま、アンコールのコールが始まった。だってまだやっていない曲があるじゃないか。と思っていた。

しばらくして、メンバーが再登場し、アンコールが始まる。
まずは、オーケストラ。エモーショナルでBiSHを語るのには外せない曲。
アイナの落ちサビの赤いペンライトで染まった会場は、12月のあの日、解散発表直後のオーケストラを思い出した。アイナの生誕企画で会場を真っ赤にした解散を突き付けられた直後の生誕企画の感情は忘れられない。

曲が終わると、メンバーの最後のMCの時間となった。
ひとりひとりのまっすぐな胸の内の言葉は、気持ちいいくらいに刺さるもので、一言一句全部忘れたくないと思った。泣いた。泣きたくないのに、涙が止まらなかった。普段あまり泣かないメンバーも泣いていて、同じ気持ちを共有できている気がした。

チッチがMCを締め、「beautifulさ」「BiSH -星が瞬く夜に-」が披露された。泣きのムードだった会場は気が付けば、どこよりも楽しいBiSHのライブ空間へと変化していた。MCのときに号泣していたはずなのに、完全に涙も乾いて、一緒にライブを見ていた仲間と目を合わせて笑っていた。「BiSH -星が瞬く夜に-」の間奏でいつもの何倍も長いヘドバンをしながら、あぁこれがパンクバンドの最後のライブの形なんだななんて考えていた。

まだ、ライブは終わらなかった。ダブルアンコール。
この日、ファン有志が呼びかけた企画で、会場をピンクのサイリウムで一色にするサプライズを行うことが決まっていた。開演前から、有志の清掃員が会場に向かう清掃員たちにサイリウムを配っていた。
このサプライズを行うのは、「Bye-Bye Show」の落ちサビ。
まだかまだかとこの曲をやるのを待ち、ソワソワしていたが、最後まで引っ張られていた。

メンバーが再登場してきた。明るくなる前からざわついた。
「メンバーなんか白い」
明るくなって、発狂する。
可愛すぎる。桜を彷彿とさせる白とピンクを基調とした衣装。
まるで、ウエディングドレスのような衣装。
「卒業」という言葉が適切なのかはわからないが、
新たな門出をイメージさせられた。

焦らされ続けたBye-Bye Showが始まる。
落ちサビに向けて、皆がサイリウムを手に持ち準備をしながら、曲は進んでいく。何も言われなかったが、これが最後の曲なんだと直感で分かった。
一瞬一瞬落とさないよう嚙み締めた。
ピンクに染まる景色は、間違いなく今まで見た景色で1番綺麗だった。

全28曲のライブ。終始収支号泣すると思っていたが、実際は楽しい、最高が勝つ瞬間のほうが多かった。最後まで良い意味でいつも通りでとてもBiSHらしいライブだった。

外に出たら、昼間の晴天からは信じられない程大雨が降っていた。
地球もBiSHの解散を悲しんでるのかななんて話しながら、
自分よりも泣いてる人をみると冷静になっちゃうような気持ちで、
すっと涙も引いた。
いつも晴れていたBiSHのライブ。
最後の最後に降った雨すらエモーショナルだった。

数日もすれば、ライブの疲労感も枯れた声も治った。
解散してメンバーそれぞれが動き出しても、変わらずにBiSHの曲を聴きながら電車に乗っている。
BiSHは私の青春だ。
解散してもBiSHの曲や面影に救われ、各々の道で輝こうとするメンバーの姿に勇気をもらい続けるのだろう。


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