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「GINKA」クリア後感想

 クリアしたので感想を書いていきます。

 各要素が全体的に高いクオリティで、初めてのノベルゲームがGINKAで良かったと言えるくらい良いゲームでした。このタイトルに不足無しって声を大にして言いたいほどGINKAというキャラクターが魅力的でした。GINKA is Kawaii!!!

 事前情報ほぼ無し(OPと購入画面のみ)で8時間くらいかけて1周目クリアした後、公式サイトや記事などを見て、ところどころ見返してからの感想です。そのため、物語を全て理解できてない部分があります。すみません。

 ここからネタバレあります。ただの拙い感想文なので、まだプレイしてないよ!でも気になるよ!って方がいらしたらとりあえずブラウザバックしてOPを見てください。ストーリーがしっかりあるゲームなので、ネタバレ無しでプレイしたほうが絶対楽しいです。



はじめに

 ストーリーが面白いゲームが大好き。けどなんとなくノベルゲームには触れたことがなかった人間です。
 きっかけはOP動画を見たことです。YouTubeでおすすめに上がっていたものが、長谷川育美さんが歌っているということでみてみたら曲と映像がとても良くて、衝動買いしてしまいました。結果としては、大正解でした。

良かった点

 全部!といってもいいんですが、それじゃ身も蓋もないので特によかったと思った点を挙げていきます。

①     ノベルゲーム

 小説のように文字だけでなく、且つアクションなどのゲーム性よりシナリオとイラスト、音楽に重きを置いている(と勝手に思っている)ノベルゲームというジャンルは、ライトノベルや漫画も好きな自分にぴったりだと感じました。選択肢による分岐も程よく自分に没入感を与えてくれました。このクオリティで3000円強なのがすごい。

②     キャラクター

 見た目も中身もみんなとても魅力的でした。声優さんの演技も素晴らしく可愛くて優しくて面白くて頼もしかったです。ボイスがあることによって、日常の掛け合いもシリアスなシーンも、それぞれのキャラの魅力を存分に浴びることができました。
 ギンカはその純真さと一途さ、言動がとにかく可愛く、流星と一緒になって悶えました。挙げだすときりがないので一部だけ述べると、
「ふるふる」かわいい
「ぺこり」とてもかわいい
「フンス」めちゃくちゃかわいい
「ヤー!」毎日やってほしい
「ンンンーーー!!」一生聞いていたい
などがありました。こういう子供っぽい言動をするキャラは、時々やり過ぎと感じて違和感を覚えることがあるのですが、ギンカにはそういったものは全く感じなかったです。描写力と演技力のおかげでしょうか。自分はギンカが一番好きになりました。可愛さと切なさでガツンと心に残りました。
 銀花は高校生に成長して凛とした感じになりましたが、合間に見える本来の気質(人見知り、ダサT、ダンス、朝弱い)とのギャップが非常に良くて、これまた悶えていました。恥ずかしがるのもめちゃくちゃ可愛かったです。ギンカと銀花については、互いの描写が互いの人物像を補強しあってくれて(主にギンカ→銀花)、十分以上に四ノ宮銀花の掘り下げがなされていたと感じました。
 他のキャラクターも、賑やかしにも舞台装置にもならない、それぞれの等身大の魅力が感じられました。一人挙げるなら草二です。対抗心で張り合っている姿とか、罪悪感でもどかしい姿とかが良かったです。流星に抱き留められた時の反応に思わず笑ってしまいました。

③     ストーリー 

 先の展開が気になりすぎて手が止まりませんでした。ただのキャラゲーではなく、とても面白い伝奇ものになっていたことが良かったです。神隠しにあっていたのが実は流星だったり、ギンカと銀花の関係だったり、はっとさせられる要素が多かったです。時間軸が前後しますが、描写が丁寧なので、置いてけぼりにされることはなく、物語を理解しながら進めることができました。
 特に好きなところは、前半のエンディングあたり。ギンカが、恋心のみの存在であり、一度流星に自己を否定されかけ、もう二度と会えないとわかっていても、それでも自身(恋心)より流星が生きることを選ぶ(5年前と同じ選択をする)場面。ギンカも確かに流星が好きになった四ノ宮銀花だった、そして永遠に失ってしまったと感じられ、現世に戻ってきた流星と一緒に泣いてしまいました。
 お話の流れと登場人物の言動に対する説得力がすごかったです。

④     音楽 

 OP、ED、BGMはこの世界への没入感を高めてくれました。自分は特にOPに2回致命の一撃をくらいました。
 1回目は初めてYouTubeで動画を見たとき。初めてのノベルゲームを対して事前調べもせずに購入してしまうほど、曲と映像に心を奪われました(長谷川育美さんの歌声が曲と映像にめちゃくちゃ合っていたと思う)。
 2回目は、1周目をクリアして、歌詞を書き起こしながらfullを聞いたとき。この曲が“銀花”視点のもので、どんな想いを携えて流星の元へ来たのかを気付かされ、心臓をぶったたかれた感じがしました。クリアする前に歌詞の意味をもっと吟味していれば、ギンカと銀花の行く末について少しは覚悟して臨めたはず…。

⑤     イラスト 

 どれもとても綺麗で良かったです。場面ごとの雰囲気(神聖さ、静謐さ、不気味さ、楽しさや苦しさ、悲しさ)をダイレクトに目に訴えてくれて、素直に感動しました。同じスチルでも異なる時間帯による色味の変化が本当に美しく、それぞれ違った印象を与えてくれました。SDキャラもフィギュアが出たら速攻で買いたいほど好きです。
 小説・漫画などと比べ、文字・絵だけでは感じにくい視覚+聴覚に対する直接的な訴えがあるのがノベルゲームの良さだと感じたので、そこも非常に高クオリティだったのは嬉しかったです。

⑥     世界観 

 海には青々とした爽やかさとどこか神秘的なイメージがあるので、離島が舞台なのは一夏の思い出×伝奇というストーリーにベストマッチでした。謎が謎を呼ぶ、伏線マシマシのような作品も結構好きなので、オカルト周りの構築も好みです。

⑦     システム 

 マウスカーソル自動移動や多量のショートカットなど、プレイ中の手間とストレスを軽減する工夫がされています。ここにストレスがあるとアニメとか受け身で楽しめるものでいいじゃんとなってしまいそうなので、操作の違和感も覚えずにゲームに集中しやすかったのは良かったです。お気に入りボイス登録もめちゃくちゃ良かったです。

気になった点

ゲームの完成度として気になった点はほとんどなくて、あくまで個人的な感想になります。ギンカと銀花を分けて考えたが故の気になった所の感想なので、同一人物だと認識できていた人とは異なる考えだと思います。

①     解像度とか (強いて言うなら)

 容量の問題とかで厳しいのかもしれないですが、4k等FHD以上で見られないのがもったいないと感じました。しかしこういう本筋から離れたところを突き詰めると価格が上がるだけになりそうなので…あくまで強いて言うならです。

②     NEXTのギンカ 

 後半のギンカがちょっと不遇だなと感じました。流星の命と交換した想いだから、流星と一緒には生きていけないっていう展開は前半でやりました。悲しくて切なくてやりきれないけどいい終わり方だったのに、もう一回やるの?前半よりあっさり?って感じでした。
 物語として、銀花はギンカ(6年前の恋心)を受け入れられないのは納得できます。神様との契約だけでなく新しい想いが芽生えてしまっているので、自然な流れです。また、素直に流星に接せるギンカにネガティブな感情を持ってしまうのもわかります。ギンカを切り捨てることで、自分自身の恋心とも決別し、流星の自分に対する執着をなくしてあげたい気持ちを表現したのかなと考えていました。
 (あえて願望を述べるのであれば、ギンカが銀花に流星を託すような展開で、ギンカ自身が終わりを選択できていたら、と思ってしまいます。前半で銀花がギンカに流星の救済を託したのと対になるかもと感じました。それか、後半は銀花をメインに進んでいくよ!!!っていう強調がもっと欲しかったです。前半のEDからすぐ始めると、ギンカを引きずってしまって、再登場したことに希望を見出してしまいました。離別はもうやったし、あわよくば三人で暮らせるようになるのでは?と。)
 それはそれとして銀花も大好きなキャラクターなので、銀花が報われて本当によかったし、新世界線での生活をもっと見たいです。

③     NEXTの展開

 時間軸の移動は映像表現や丁寧な文章による描写により、ほとんど違和感なくすらすらいけました。しかし、キャラクターの言動については、ところどころ「アレ?ここはどういうこと?」と一時停止シンキングタイムが挟まってしまうところがありました。例えば、
銀花は神様との契約を反故にしないために想いを抑えていた
→取引されたのはその時の恋心だけでなく新しいものも禁止?
→それで行くと、神の契約が働くならそもそも新しい恋心を抱けないのでは?
→神の契約よりカタシロの願いが上回った?
みたいな感じです。「うおおお!そうだったのか!」というより「んん!?…ああなるほどそういうことなのか!?」みたいな感じとも言います。考察の余地がある作品は大好きです。しかし、プレイヤーが理論的に考察を始めると、受け身で怒涛の展開を浴びる時より、同じ内容でも感動が薄れてしまうことがあります。目や耳に直接訴えかけて心を動かす絵や音楽があるノベルゲームなら、一緒に文字も浴びれたほうが、感動が共鳴しあうのではと思いました。低い読解力のわりに変なところが気になる私のせいという可能性も多分にあります。
 上述した点や、後日談(これはただの願望)も含め、もう少し最後の尺が欲しかったです。ただ説明に時間を取り過ぎても冗長になるので、自分の中でも明確な結論が出せずにいます。
 前半の出来が自分のハードルを大幅に超えてきたことによる反動か、話の複雑さに追い付けなかった故か、ストーリー後半は前半と比べると上手く没入できませんでした。
 ただ、草二やなずな先生の変わりようや、花憐さん周りのお話、夢ループ、なにより銀花との同棲生活など、グッとくる展開もたくさんあったので、後半が前半より明確に悪いって訳ではなかったです。

考察という名の蛇足

同一人物についての考え

 他の方の感想なども見てみて、この作品は、ギンカと銀花がどれくらい区別すると考えるかによって感じ方が変わると言及されている方がいて、確かにと思いました。あるいは、恋心のみ、願いのみの存在をどれだけ一個の確立した人間だと考えるかにもよるとも言えます。
 自分は、自己とは積み重ねた記憶とそこからくる意思だと考えています。ギンカは恋心の具現化であるが、流星や島の皆と色々な事を体験して知識や情緒が発達していました。その記憶は銀花のものとは似ていたとしても別のもののはずです。そこから、自分はギンカを銀花から独立した別の自己を獲得した人物だと捉えました。だからこそ、前半のEDでギンカが消えたことにひどく悲しむことができました。
 そして、後半のED後の銀花も同じ理由(流星がいない5年間を生きたことを夢として忘れていく)で、別人とも捉えました。よって、自分は前半のギンカ、後半のギンカ、本編の銀花、新世界線の銀花はそれぞれある程度区別してます。
 もっと言うなら、一人の子供が成長して大人になった、このときの子供と大人は同一人物だと思います。しかし、ある一時から枝分かれして別々の経験を積んだなら、同じ名前、同じ体、同じ人間関係だったとしても、微妙に差異が生じ、区別して考えてしまいます。
 ただ、根っこ、本質、その人の根幹をなす部分は同じだと思いますし、そこを重視すれば本編と新世界線の登場人物はみな同一人物だとも認識できます。そこをもっと見せてほしかった、新世界線のみんなも私が知っているみんなだと確かめたかったという意味もあって、後日談がもうちょっと欲しかったです(もしくは、世界が変わって経験と振る舞いが多少変わっても、その人はその人であることに変わりない、ということをわかりやすく訴えて欲しかったです)。
 まとめると、ギンカは確かに四ノ宮銀花であるし、銀花ももちろん四ノ宮銀花です。ただ、互いを彷彿とさせる要素は確かに多くあるが、私は区別して受け取りました。A=五年前銀花、B=ギンカ、C=銀花、D=新世界銀花とすると、A→B、A→C、A→Dであるが、 B≒C≒Dであるみたいな感じです。≒を=とするか≠とするかは人によると思います。自分は=にはできないって考えでした。
 同じ画面に同時に存在していたら、つい認識として区別してしまうし、融合合体でもしなければ同一の存在にはなれないと思います。その点では、新世界線の銀花は願いを手放さずに成長した銀花だから限りなくギンカと銀花の融合体(分かたれなかった姿)として、ギンカでもあり銀花でもあるかもしれません。

おわりに

 この作品のテーマは「願い」、そしてアンサーは「願いは自分で叶えるもの」とか、「ちゃんと相手に伝えること」とかでしょうか。
 リアルもそうですが、ネット上のコメントさえ尻込みして出来なかった、今までの受け身な自分にめちゃくちゃ刺さりました。こうやって記事を作ることを始めちゃうくらい刺さりました。そこで、感想キャンペーンなるものを知り、「GINKAの供給がもっと欲しい!」という願いを叶えるべく、そのための糧の一端になればと思い、感想を書きました。(それでも尻込みしてギリギリになってしまっている…)
 ほかの作品でもこういうメッセージを発しているものはあったし、そのときもこの類のキャンペーンとかアンケートは開催されてました。ただ、どういう訳か参加してきませんでした。それだけメッセージ性以外の部分が僕に刺さったんだと思います。
 気になった点も確かにあったけど、それ以上に良かった点に圧倒されるばかりの作品でした。とにかく銀髪碧眼美少女のGinkaがKawaiiくて、グラフィックと音楽の満足度が高くて、日常もシリアスももっと読みたくなる引き込まれるストーリーがあるっていう点で、自分の琴線に触れる要素ばかりを詰め込んであった作品でした。まとめると、前半の終盤が超好きで他大好き、後半の大部分大好き一部ん?、後日談もっと欲しい!!!って感じでした。
 インタビュー記事で紺野アスタさんが述べていた通りに、この作品は私の心に深く刻まれました。しばらくはGINKAのことが頭から離れず、自分の好きなゲームランキングに残り続けます。もう一度、制作・発売に携わった全ての方に感謝します。GINKAという作品に出会わせてくれて本当にありがとうございました。
 とりあえずサントラと資料集を待ちながら、GINKA二週目以降と速攻で購入したATRIをプレイしていこうと思います。

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