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秋がくると 空気がしんみりとやわらかくなる じぶんがじぶんにひたりと かさなるような気がす…
昨晩は早めに床へ入った。枕元にはカンテラと文庫本が置いてある。いつもの習慣で寝る前にす…
はるの かわへ ひとかけら ながしてください なつの うみへ ひとかけら ほうってください あ…
自分は駅の歩廊のベンチに腰掛けて、汽車が来るまでの間、 小さな本を開いている。汽車が到…
変われるものなら変わってあげたい 子狐の頭を撫でながら母狐はいつもそう思っていた 狐の子は…
私は帽子屋に来た。しんとした昼下がりの薄明に、埃をうっすらとのせた冬帽子が並んでいる。…
しあわせではないけれど しあわせなひとをみて ほほえんでいる ふしあわせではないけれど ふしあわせなひとをみて なみだをながしている ほほえんでいるけれど しあわせなひとをみて なみだをながしている なみだをながしているけれど ふしあわせなひとをみて ほほえんでいる
うらぶれた画家が公園でスケッチをしていた。 そこへ貴婦人が通りかかった。 「あら、あなた画…
ある朝ぼくが起きたら みんなの声があべこべになっていた お母さんはお父さんの声で お父さん…
ただしさも ひかえめでなかったら ただしくない うつくしさも ひかえめでなかったら うつくし…
喫茶店のテーブルに、誰かの忘れていった本がある。 街を見下ろす窓際に、持ち主のいない小…
光は うつくしくない 光を あびたものが うつくしい 愛は うつくしくない 愛を そそいだもの…
スーパーマーケットへ行くと いろんな野菜やくだものが わいわいがやがやあつまっている リン…
さようなら。 別れぎわにそう言うとたいていの人は、はっとした顔をする。あるいは冗談だとおもって愛想笑いをされる。ふだんの、何気ない別れぎわのことである。 子どものときはだれしも言わされたはずだ。 せんせい、さようなら。 みなさん、さようなら。 今でも幼稚園バスが路肩にとまれば、きっと園児の頓狂な声でさようならが聞こえてくる。 通信技術や移動手段が発達した末、人と人との距離は格段に近くなった。別れても会える。会わなくても会える。別れぎわの深刻さは、ない。 そ