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学びの記録

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これまでに、通信で学んできたことについての覚書など。
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#美術館

レポートの正解を求めて。<博物館保存論 課題2>

レポートを作っていていつも感じるのは、これで課題の問いに合っているのだろうか、である。それは文学部の通信だった時も、美大の通信のおなじで、常に悩んで、考えて、それから何度も書き直していく。  求められているものはこれなのだろうか、の連続で、起承転結もいるし、短い短編を創っているのと似ている。  自分の考えを書きなさい、とだけ記されていても、そこには何かしらの発見とそれに対する自分の答えのようなものがないといけないのだろうから、それがきちんと説明できていない場合はただの感想

アートマネジメントとは?<アートマネジメント・1>

 このレポート課題は2年目の最後に提出した。生涯学習論でとても面白く講義を聴いた先生が担当してくださったので、懐に飛び込む感じで、四つのレポートを提出できたのが良い思い出となっている。課題によってはまだ研究すべき点があるという指摘もいただいたが、概ね報われた感があって、読後感の良い小説に出会った感じと似ている。  以下、レポートと参考資料。 アートマネジメントとは何か   アートマネジメントとは、「アートに関係するマネージメント」であり、アートを経済社会の中で成立させ、運

<芸術研究学2> レポート課題2

<芸術研究学2>−2:課題:鑑賞した美術作品から作者の感覚や判断を推察する タイトル:フィリッポ・リッピ《聖母子と二人の天使》の観察と推測 作品情報 タイトル:《聖母子と二人の天使》 作者:フィリッポ・リッピ 1460—1465年頃   テンペラ、板絵 高さ95cm幅62cm  ヴァザーリの『芸術家列伝』に寄ればイタリア・フィレンツェ初期ルネサンスのフラ・フィリッポ・リッピの生涯は、幼少の頃、親戚に預けられ、その後、近隣のカルメル修道会に移り、数年後には修道士への道へ進む

芸術研究コース<芸術研究リサーチ>

 学習のねらい:卒業研究論文のための調査演習・資料を探して文献作成        (三年次に履修)  1.「テーマ選択について」  イタリア・ルネサンス初期に生き、主にフィレンツェで創作活動をしていた画僧フィリッポ・リッピを調査対象に選択した。本来ならば日本の画家や造形文化についての調査が国内においての資料集めには合致しているとも考えた。二十五年も前になる、論者が育児に疲弊していた三十代半ば、近隣の雑貨屋に絵葉書コーナーに印刷されていた一枚が、フィリッポ・リッピのおそらく

作品のスケッチとディスプリクションの演習

<芸術研究学2>−1 タイトル:『玉座の聖母子と二人の天使』 作者:フィリッポ・リッピ 1440年頃 テンペラ、金/板(板から移し替え) ディスクリプション: 初期ルネッサンスに、フィレンツェの画僧であったフィリッポ・リッピの1440年頃のテンペラ画作品、絵画のサイズは縦122.6センチ×横62.9センチの縦長で上部はアーチ型。  縦長上部アーチ型の画面の、絵画全体を埋めるように座する聖母子が中心に配置され、聖母子の後ろに大理石の玉座が聖母の身体に沿うように描かれている

芸術研究について学ぶとは/<芸術研究コンセプション><メディア論>など

 芸術研究コースの科目に、調査のための演習である<芸術研究リサーチ>や、美術本の書評や美術についての随筆を書く<芸術研究ライティング>、アートのコンセプトを学ぶ<芸術研究コンセプション><芸術研究リサーチ>などがあった。 <芸術研究リサーチ>は、リサーチの実践、年譜の作り方など。ここで学んだ資料の調査方法は卒業論文のための調査にとても役立った。<芸術研究ライティング>は美術をテーマに文章を書くための演習のような科目だった。美術に関係するエッセイ課題1では、数年前にパリに行っ

美術館には入らない

 あなたが、パリに行ってルーヴル美術館に入ろうとしたとしよう。  広場まで行ってみたら、かなりのお客が並んでいるので閉口した。待ち時間はだいぶ長そうである。出直して明日に備えようかな、予定が狂ってしまったな、とか考えたりするかもしれない。そこでお勧めするのは、入館しないで鑑賞する方法である。いや、別に違法な鑑賞をお勧めしているわけじゃない。けれども、ルーヴル美術館は入館せずに、外からでも十分に楽しめるのである。  2017年のことだ。  その夏、思いもかけずパリに三週間ほど