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自主連載「毎日ちゃんとの毎日(β版)」ひとまず完結!

コミチ連載「毎日ちゃんとの毎日 β版」

昨年の夏からはじめていた、連載を目指す試みがひとまず終わりました。上のリンクにある「毎日ちゃんの毎日 β版」とは、自分の小学校時代の体験をモデルに、webでの連載を想定してネームを描き続けていたものです。上記のリンクでは、わかりづらいですが下の「1」から始まって、上の「読み切り版」が一番新しい作品になります。「読み切り版」は集大成的な内容となっており、それだけをお読みいただいても大丈夫です。※そしてこの「読み切り版」で「コミチマンガ賞 縦スク賞」を受賞しました!なんとおかざき真里先生に講評を頂いています…!ひぃ(嬉)

よろしかったらぜひお読み下さい。小学生の少女2人の、友情の物語です。

そして一旦の完結を期に、この作品で描こうとしたことを振り返ってみたいと思います。

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季節ちゃん

「毎日ちゃんとの毎日」は、2014年頃に取り掛かって挫折した小説「季節ちゃん」がベースになっている。その頃の私は、絵や文章などのジャンルの垣根なく思いつくまま創作をしていて、「季節ちゃん」は初めてチャレンジした小説だった。取り組んでみると小説は、文の意味とリズムと読者への情報開示と人物の心情描写とその他さまざまな文脈を同時に一つの文中に成立させなければならなくて、それは水の上に模様を作るような難しい作業だった(読点一つでリズムが崩れるんです泣)。「季節ちゃん」は小学校時代の私の親友のふゆ子ちゃん(仮名)が言った言葉「冬の名前の子は冬に幸せになるように名前をつけられてるけど、どの季節でも幸せな方がいいから、自分の子供が生まれたら『季節』って名前をつける」が創作の元ネタになっている。初めて自分の想像を超えた同い年の子に出会って、その意外性含めてまるごと大好きになった友達だった。(そのときの感じのことはこちらのノートにも書いています。友情と恋愛の違いのなさなど。)

他者の発見と名付けの物語

「毎日ちゃんとの毎日」の主人公の「朝緒」は12歳の少女である。彼女は、周りの人間が与えられたロール(役割)をこなしていることと、自分が自分だけの意思を持っていることの間に離人感のようなものを抱えている(俗に言う中二病というやつですね)。しかし役割を役割と割り切って対応する能力があるので、「クラスのみんなが止まって見える」ほどの優等生になってしまった。日々、求められていることをこなす中で、クラスで一番「止まって見える」女の子に気づく。それが「毎日ちゃん」だ。毎日ちゃんは絵が好きで素晴らしい実力もあるが、大人受けを狙って描くということはしない。ロールをこなすという発想が彼女の中にあまりないのである。このような、朝緒にとっての異質な他者との出会いが冒頭にある。

人はどういう時に人を素敵だと思うのだろう?人と話していて、今、この人の核に触れたと思う一瞬がたまにある。その人の本質が瞳や言葉を通してすっと素直に表出した時、わたしにはその人が一瞬きらりと光って見える。ロールの向こう側から生身の人が立ち現れてくる。朝緒は、ロールをこなしているように見えていたクラスメイト(クラスの子は子供役をやっているように見えている)の中からむき出しの毎日ちゃんを見つけた。そしてそれを通して、「こなす」ことにとらわれていた自分の中からむき出しの自分を発見した。そういう物語を描きたかった。

また、「毎日ちゃんとの毎日」は「名付け」の物語でもあるかもしれないと思っていて…、主人公朝緒の一人称は「ぼく」である。これは、一般的に小学生の女の子が「わたし」や自分の下の名前を一人称にする中で、ロールへの違和感を元々抱えていることを表す意味で「自分で決めた一人称」を使うキャラクターとして描きたかったためだ。私の知る限り、「ぼく」を使う女の子は自分で意識的に選んで使っていた(すごく良いと思います)。そして朝緒が一人称を選んでいる一方で、「毎日ちゃん」に至っては三人称を選んでしまっている。しかも自分で言ってるだけの不思議ちゃんでなく、クラスのみんなにも浸透させている。自分の視点を周りに理解させる表現力を持っているのだ。そこで一人称vs三人称という敵わない感じも演出しつつ、朝緒がロール(既存の名前)だけではない人生を歩みはじめるこの物語自体が、自分で自分の人生を名付けていくようなことだなあ…と、これは描き終わってから思ったことなのですが…。

大人になったら大変だなあと思っていたら

描いている間、「これ、この子たちまだ小学生だからいいけど、大人になったらロールもきつくなるし大変だなあ。どんな大人になるのかな。」と思っていた。しかしありがたいことに、読み切り版を見た編集者の方から「二人が大人になったところを描いてみない?」というお誘いを頂いたのです。ひぃ…。ということで、実はプロジェクトは継続中で、「毎日ちゃんとの毎日 大人編(仮)」に現在取り組んでいます。20代になった朝緒たちに襲いかかるプレッシャー(主に恋愛方面)と、そこから自由になるとはどういうことか?を描く予定です。描けるかな…うぅ。綱渡り。いつか、きちんとした形でお披露目したいです。

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