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宿る. 1

一年前の7月。彼と揉めてLINEのメッセージだけでバッサリ切られた。
涙が止まらなかった。長い文章を打っては消して、打っては消して…
ひどいことをされてもそれでも好きな気持ちが消えなくて、我慢してた。
でも彼は私のたった一言が気に障ったようで、バッサリ切った。
気持ちの差が大きいことは常々感じていたけどここまでなんだな…
さすがに心がズタボロになって、彼の別れを受け入れた。

8月
むかむかするような気持ち悪い日が続いた。
ストレスかな… その程度に思っていた。
でもある日、この体調不良に懐かしさを感じた。

いや、まさか。
すぐに検査薬を買いに行った。
うっすら二本目の線が出た。
検査薬の精度はほぼ間違いない。
「彼との子供」
その現実に、不謹慎ながらもうれしさが込み上げてきた。
旦那とは「旦那の子供が欲しくて」産んだわけではない。
ただ彼に対しては「彼の子供が欲しい」と思っていた。

幸せな気持ちに包まれていられるのは長くはなかった。
お互いに既婚・子持ち、産めるわけがないからだ。
検査薬の間違いであることを願いながら、病院へ行くことにした。

つづく


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