【アンカーの思い出】(14)アンカーの終了を考える

アンカーが終わってしまった理由について、少し考えたい。と言ってもわたしは内部事情をまったく知らないので、詳しい原因はわからない。ただフジテレビの大規模な改編に関西テレビも対応せざるを得なかった、ということはまず容易に想像できる。また仄聞するところによれば、2012年にフジテレビと関西テレビの間の資本関係が微妙に変化したことが影響しているという話もあるようである。在京キー局との関係が影響しているという話は朝日放送の「ムーブ!」が終了する時にも出てきたものであり、いずれもありそうな話ではあるが、あくまで伝聞や推測の域を出るものではない。

アンカーの終了についてはそれ以外にも視聴率など、具体的に様々な要因があったものと思われるが、わたしは最近になって「寿命だったのではないか」と思い始めている。たとえば「ムーブ!」は小泉政権が安定していた時代に登場し、政権に対して中身のある批判を展開することで支持を得た。しかし小泉政権が終わり首相が毎年交代する時代に突入するや、完全にバランスを失い幕を閉じた。一方アンカーが始まったのは小泉政権の末期であったが、政権が民主党へ交代する前後から支持を顕著に拡大した。つまり民主党政権に批判的な層の受け皿になることがアンカーには期待されてきたわけだが、民主党政権が崩壊し現在の安倍自民党政権になった時点で、やはりひとつの役割が終わってしまったのではないか。もちろんそこで新たな路線がいろいろ模索されたであろうことは想像できるが、2014年の総選挙においても自民党がある意味「無風」とも言える状況で300近い議席をほぼ維持する結果に終わったことを考えれば、もはやこのタイミングがアンカーの寿命だったのではないか。そのように考えてしまうのである。

そしてこの考え方に従うと、これから関西で支持を集める夕方の番組は朝日放送の「キャスト」ではないかという予測が成り立ちうる。というのもこの法則に従うなら、安倍政権が安定している今の時代には政権を批判する番組が有力であろうと考えることができる。そしてその路線におそらくもっとも沿っているのは「キャスト」ではないかと思われるからである。実際「キャスト」はこの4月から浦川泰幸アナウンサーをメインキャスターに起用するなど、リニューアルを計っている。またコメンテータには、たとえば過日の「報道ステーション」で一悶着起こした某元官僚氏が名を連ねている。そうしたことからも朝日放送は状況をかなり冷静に読んでいるとわたしは見ている。もちろん現在は「政権交代」以前とは異なり、政権や自民党を批判して支持を得ることのハードルが著しく上がっているため、この路線が成功するかどうかはいまだ未知数である。ただいずれにしても、政権を批判する路線を選択するならば、番組の寿命は目標に据えた政権が終了してからせいぜい3年というところではないかと見積もる次第である。

アンカーの後番組にあたる「ゆうがたLIVE ワンダー」は、今後どのような路線を目指すのだろうか。わたしにはよくわからないが、ひとつ確実に言えることは「ちちんぷいぷい」と「ミヤネ屋」の二強体制は当分続きそうだということである。(第15回に続く)

(※この文章は筆者の個人的な回想であり、事実を正確に反映したものであるとは限りません。)