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自分を表現する働き方の支援をしたい | ウィルグループ 角裕一 × COTEN

株式会社COTENの挑戦を応援してくださる、法人COTEN CREW企業の皆様をご紹介します。
COTENを通じて人文知に投資することを決めた彼ら。
日頃、どのような問題意識を持って活動されているのでしょうか。

今回は株式会社ウィルグループ代表取締役社長の角裕一さんです。

角 裕一(すみ・ゆういち)
2003年新卒入社。2016年セントメディアフィールドエージェント(現ウィルオブ・ワーク)取締役、2018年ウィルグループ執行役員、2021年ウィルオブ・コンストラクション代表取締役社長、2022年ウィルグループ取締役を経て2023年6月代表取締役就任。趣味はトレイルランニング。

働くことは自己表現のひとつ

COTENインタビュアー(以下、ーー):まずはウィルグループの事業を簡単にご紹介いただけますか?

角裕一さん(以下、角さん:):ウィルグループは人材派遣や人材紹介など人の働く機会を作り出す事業を国内外でおこなっています。
主に、日本・シンガポール・オーストラリアの割合が大きいですね。売り上げの海外比率も大きいんです。
海外にある9社のうち、日本人社長はひとり。あとは、アイルランド、イギリス、オーストラリア、シンガポール、マレーシアなど多種多様なバックグラウンドを持つメンバーたちで構成されています。
ミッションは『個と組織をポジティブに変革するチェンジエージェント・グループ』。
働くことそのものが自分を表現するとても重要な行為だと思うんです。僕たちは「働く」という機会を通じて、どれだけ自分らしさが出せるのか、自分のありたい方向に向かっていけるのかにこだわって支援をしています。

ーー角さんの社内インタビュー記事を拝見しました。新卒でウィルグループに就職した当初は数年で辞めようと思っていたとか。

角さん:就活では、一番成長できる会社に入社するのが僕のテーマでした。ウィルグループは面接でお会いした皆さんがギラギラしていてすごいと思い、それで入社を決めたんです。
もともと数年で会社勤めは辞めて独立を考えていたんですが、辞めるときにこんなすごい人たちから引き留められるくらい認められたら、きっとどこでやっても通用するだろうと思ったんです。

ーーそこから辞めずに、社長になられるに至ったきっかけや心境の変化があれば教えていただけますか?

角さん:就職して3年目ぐらいのとき、会長が人事機能を作るからやるようにと僕に言ってきたんです。「何をしたらいいですか」って聞いたら、「何をするかは任せる、ただ俺はこういう会社にしたいんだ」って会長から渡されたのが「ビジョナリー・カンパニー」という本でした。
これを読んだときに、自分はいずれこの会社を辞めるかもしれないけれど、そのあとも会社が活躍し続けてほしいなと思ったんです。

ーー共感されたのですね。

角さん:そう。それで最初に着手したのがミッション・ビジョン・バリューを作ることでした。
何のためにやっているのか、何を本当に大事にするのか。そこが社内で合っていないと何も進まないので、軸が必要だと思って。
ところが、月に1回の取締役会で3回くらい話しても全然理解されないんです。20年くらい前ですから「何を言っているの?」ですよね。
でも、3回目に、そんなに言うんだったら作ろうかってなったんです。ただ、勢いよく提案したものの、今度は作り方が分からない。

ーーなるほど。

角さん:ちょうどその頃、僕は新卒採用のプロジェクトに携わってました。そのプロジェクトでは毎年キャッチコピーを付けていて、その年は「Knock your possibility(可能性にノックしていきましょう)」だったんです。いま見えている能力だけじゃない、あなたの可能性を見て評価していくっていう意味ですね。
採用が終わって、振り返りや次年度への総括をしていたときです。
「Knock your possibility」の次は「Believe in your possibility(可能性を信じる)」で、次はもっと踏み込んでいきましょうって終わったところで、議事録を取っていた新卒の社員が「すみません、ちょっといいですか」って声をあげました。
「これが私たちの価値観なんじゃないでしょうか」と。

ーー私たちの価値観?

角さん:「何もないところから始まってここまでこれたのは、自分や自分の仲間の可能性を信じてきたからですよね。スタッフさんと向き合いながらコミュニケーションを取って働く機会を作るのだって、スタッフさんの可能性を信じてるからですよね。これが私たちの価値観だと思います。」って。
その瞬間、シーンと静まり返った会場が、「そうだ!!」って一斉に沸いたんですよ!!こんなことあるんだって鳥肌が立ちましたね!

ーーすごいですね!

角さん:それでバリューが決まったんですけど、その時に自分はそもそも何をしたかったんだろうとも考えました。
入社して半年くらいの社員がそんなことを発言できる。そしてマネージャーも部長も管理職までもが全員素直に耳を傾けて提案を受け入れられる。
このまま数年でこの会社を辞めて起業するのか、自分が本当に信じられる仲間たちとこうやって何かをかなえていくのか。どう考えても後者の方が冒険をしているようで圧倒的に人生が豊かなんじゃないか。
それでやめたんです。会社を辞めるのを。そして今に至ります。

選択肢を増やすために派遣で働くを主流にしたい

ーー派遣業界って今は伸びている市場なんでしょうか?

角さん:伸びています。日本の派遣業界は世界で2番目に大きい市場なんですが、労働人口に占める派遣比率は2.5%と低いんです。
20年前に私が入社した頃は、人材派遣って広告も多くキャッチーで流行っていました。いかに働きやすい環境を作っていくか、キャリアアップをしていくかを目指している業界だったんです。
でも、今は人員の調整役になっているんですよね。そこに実は違和感があります。

ーー確かに、派遣は人員調整のイメージが強いかもしれません。

角さん:本来はそうじゃないことを証明したいですね。派遣で働いている方たちの雇用の転換をしていきたい。
ウィルグループでは、スタッフさん向けにキャリア形成やキャリアアップに繋がるようなリスキリングのプログラムを無償で提供しています。だけど、チャンスがあってもほとんどの人は手を伸ばさないんです。

ーーなぜでしょう?

角さん:そこまでの自信を持てないのかもしれません。自分自身にどんな可能性があるのか分からず、チャンスが目の前にあっても手を出せないのかもしれません。
だから、自己効力感を高めて一歩前に出ていけるようなプログラムが必要なんです。自分の可能性を信じることを今の仕事の中で感じてもらえるようにフィードバックをして、背中を押していきたいですね。

ーー確かに、派遣は選択肢を増やすための手段として捉えることもできますね。

角さん:選択肢がないから派遣を選ぶんじゃなくて、選択肢を増やしたいから派遣で働くという位置づけに変えていきたいと思っています。
マネージャー職や部長職も、派遣の仕事としてできるなら、派遣社員のキャリアの選択肢が広がりますよね。これを主流にしていきたいんです。


幸せとは自分を信じられること

ーー角さん自身がすごくポジティブですよね。昔からそうだったんですか?

角さん:幼少期はこうじゃなかったんですよ。妹がすごく優秀で勉強もできたけど、僕は遊んでばかりだったのもあって自分に自信が持てなくて。高校の頃はプロスケーターになるって思っていましたが、それも家の中で自信が持てなかったからなんです。
大学に行ってからもスケボーしたりマージャンしてばかり。でも就職活動をするときに、この生き方じゃ逃げ切れないなと。そうしたら「僕はなんで生きてるんだろう」と思うようになってしまったんです。
その頃、家にピレネー犬(グレート・ピレニーズ)っていう大きくて白い犬がいたんですけど、見てるとめちゃくちゃ幸せそうなんですよね。へそを上に向けて仰向けに転がって爆睡してるんですよ。
こいつは幸せそうでいいなって夜中に見ていて、ふと思ったんです。
そうか、僕は幸せになりたいんだって。

ーー幸せになりたい。

角さん:そう、幸せになりたい。でも僕の幸せって何だろう?お金がほしい?おいしいものをたくさん食べる?でも、おいしいものを食べて高級車に乗って豪勢な暮らしをしても、時によって幸せだと感じたり幸せじゃないと感じたりします。
その時至った結論が、「自分のことが好きかどうかで決まるんじゃないか」というものでした。
自分のことがリスペクトできないんだったらそれは幸せじゃない。これから老いていってビジュアルも悪くなっていくけれど、それでも朝起きたときに「今日も俺はいけてるぜ」って思えるなら、すごく幸せじゃないですか。
これは、逃げている場合じゃない。全力でやってみよう!それで最強に成長する会社を選ぼうってなったんです。

ーーなるほど、そこにつながるんですね!

角さん:社会人のトップは社長だ。だから自分の会社をつくるんだ!って思ってたんですよ。で、実際に会社に入ってみたら、僕の人生も変わりました。
あんなにうだつの上がらない僕でも人生は変わっていく。サラブレッドでもなく、普通にアベレージな人間だと自分では思ってるんですが、それでも、心ひとつなんです。自分の気持ち次第なんですよ。
だからこそ、自分の可能性を信じる気持ちを持ち続けてほしいですし、誰かが言わないと何も変わらない普通の世の中になってしまうと思うんです。

ーーピレネー犬から幸せについて教わったんですね。

角さん:幸せそうだったんすよ。本当に。

純粋に応援したくて法人COTEN CREWに

ーー法人COTEN CREWになったきっかけを教えてください。

角さん:社内のメンバーからCOTEN RADIOをすすめられたのがきっかけでした。
それと、僕はジョギングが趣味なので普段から2〜30キロくらい走るんですよ。そうすると2~3時間くらいかかるので、いつも何かしら聴いていたんです。
ちょうどその頃に、イベントで深井さんとお話をさせてもらう機会があって、そういえばこの人のRADIOをすすめられたんだって思い出して。それでジョギング中にCOTEN RADIOを聴き始めたんです。

ーーたまたまが重なったんですね。

角さん:聴いてみたらすごく面白くて、あっという間に時間が過ぎてくんですよね。例えば中国史とかも、派閥や組織が一枚岩じゃないときってどこかが腐っていってしまう。あまりにも力の偏りとかを作ったり、権限がどこかに集中したりするとおかしくなっていってしまう。
そういうのを聴いていると、やはり一枚岩じゃないとダメだなとか、権限はフラットにしないとなとか、一つひとつ本質的な学びがあるんですよ。
それで、いろいろな人に「COTEN RADIOはいいぞ、聴くといいぞ」って言い始めたんです。

ーーありがとうございます。

角さん:そうやっていろいろなところで話していて、純粋に応援したいよねとなりました。
歴史データベースを開発されてらっしゃるじゃないですか。あれはどこかの企業のためみたいな限定的なものじゃなくて、法人COTEN CREWのためでもない。世の中に対して本当に良いと思って進めているんですよね。全世界の人が使ったらいいっていうスタンス。
そのデータベースを通じて、例えば「自分は何の可能性もないんだ、どうせ駄目なんだ」と思ってしまっている人が、自分と同じような人間特性とか性格傾向とか生き方をしてしまった人を検索したら、ガンジーとか出てくるんですよ。

ーー面白いですよね。

角さん:歴史上の人物に自分がヒットする。その人の歴史に興味を持ってより刺激を受ける。これはすごく良い入口ですよ。
そういう人文知みたいなものが有効に生かされる手段って、凄まじい時間を投下して本を読み込んだり大学院で学んだりみたいな手段が必要なんですよ。それを、本当にカジュアルに、かつ自分に由来するような興味を造成しながら、ポジティブに学びに活かせるっていうアプローチ。これは尊い、尊いチャレンジだなと思ったんです。
それで法人COTEN CREWになろうと決めたんです。

ーーありがとうございます!

(編集:株式会社COTEN 内山千咲/ライター:森まゆみ


ここまでお読みいただきありがとうございました!

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