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会社は「大切な預かりもの」。より良くして次の世代へ | 株式会社髙儀 髙橋竜也 × COTEN

法人COTEN CREWになってくださった企業の方々への対談連載。今回は株式会社髙儀の代表取締役の髙橋竜也さんです。
1866年に初代がのこぎり鍛冶を始めたことから髙儀の歴史が始まりました。
「道具で世界に笑顔を」をビジョンに掲げる八代目はどんな思いをもっているのでしょうか。

対談のお相手は同じく法人COTEN CREWでもあるreborn株式会社のハブチンこと羽渕彰博さん。
法人COTEN CREWのコミュニティは、敬語を使わず「タメ語」で話すのが通例。その空気感をお伝えするため、記事内も「タメ語」のままお送りします。

髙橋竜也(たかはし たつや)
1974年、新潟県三条市生まれ。
大学時代はバックパッカーとして世界を旅する。
大学卒業後、商社勤務を経て、2003年親戚が経営する創業150年余年の道工具商社株式会社髙儀に入社。2017年同社八代目社長に就任。
「道具で世界に笑顔を」をビジョンに掲げ、創業200年まで、会社と自分が生きることを目標に邁進中。

引き継いだ会社は大切な預かりもの

羽渕彰博  (以下、ハブチン):髙儀は創業から156年って長い歴史のある会社で、のこぎりなどの道具を扱う商社でありメーカーじゃない?歴史ある大きな会社で、たっちゃんが八代目社長として大事にしている価値観みたいなところを聞いてみたい。

髙橋竜也  (以下、たっちゃん) :髙橋家に生まれながら実は継ぐためには育てられていなくて。父が七代目で、その長男の私が八代目を継いだんだけど、私は本家の人間ではなくてね。六代目以降は本家の本流ではなくてね。いずれ本家の方がまた継ぐかもしれないけれどお手伝いはできたらしたいな、くらいの心持ちだったよ。だから、「社長になってやるぜっ!」みたいなのは全然なかったんだよね(笑)。

ハブチン :そうなんだ。

たっちゃん :大学卒業後は普通に東京で就職したんだ。働き始めて4年くらい経った時に、親父から一緒にやらないかって相談されて髙儀に入社した。ちょうど次の挑戦をしたいってタイミングでもあったからね。
4年くらい働くと、だいたい仕事のことがわかってきたみたいなことを入社前は思ったりしたけど、今思えば本当に大きな勘違いだったよ(笑)。髙儀に入って東京事業所の所長、新潟の本社に戻って常務を経て社長になったんだけど、いざ自分が経営に携わってみて身に染みてわかったことがあったんだ。

ハブチン :それは何?

たっちゃん :会社を「続けていくこと」の大切さ。特にお付き合いの長い取引先やお客様と会っている時に強く思うんだよね。関わる方々が大勢いるから、うちの会社をつぶすわけにはいかないって。自分は本家の人間じゃないっていうのもあって、引き継いだ髙儀のことはすごく大切な預かりものみたいな印象を持っているんだ。

ハブチン :代々続くものを親族の中で大事に預かっている感覚なんだね。

たっちゃん :まさにそう。150周年記念の時に歴史を振り返ったんだよね。実は長い歴史の中で会社存続の危機があったんだけど、その話を聞くと、続けることの重みをものすごく感じるんだ。

ハブチン :何があったの?

重税で会社が存続の危機に

たっちゃん :第二次世界大戦後の話なんだけど、当時日本政府が莫大な借金を背負っていたこともあり国民に重税を課した時期があって。特に相続税に対しては最大税率90%っていうものすごい重税が課かされたんだ。そのタイミングでうちの二代目が亡くなって、三代目が継ぐことになったんだけど、当然会社を存続させるための相続税を払わなければいけなかった。でも当時、現金が足りなくてね、会社を畳まざるを得ない状況になってしまったんだ。

ハブチン :重税で会社が存続危機になったんだ。それでどうなったの?

たっちゃん :当時、工具を作って納入してくれていた鍛冶職人さん4、5人がやって来て、「やめるな。欲しい工具を欲しいだけ俺たちが作って入れるから。金は後で払えるようになった時でいい。だから商売は続けろ。」って言ってくれたんだ。

ハブチン :めっちゃ泣ける話だね。

たっちゃん :ありがたいよね。それまでの信用と信頼があったからこそ、会社が存続できたんだ。周囲の助けとか、そういうところで続いてるんだなって思うよ。同時に、戦争や国の制度変更で、今まで持ってるものがなくなることがあり得るんだと考えさせられる大きな出来事でもあったよね。

ハブチン :戦後に会社を存続させていくのは大変だったんだね。こうして続いてきた会社が一気に伸びた時期はどの辺りなの?

たっちゃん :五代目から業績がぐんと伸びた。五代目で売上100億円、六代目で200億円、七代目で300億円。その当時の社長ががんばったのはもちろんなんだけど、先代が蒔いた種みたいな積み重ねてきたものがあって、それを順々に刈り取っていってるんだよね。今は私が会社を預かっていて、この大切な預かりものをより良くして次の世代に渡していきたいと思ってる。

ハブチン :いいね。より良くして次世代につなげていきたいって。

たっちゃん :続けることが大事なんだけど、道具が時代に合わせて変わっていっているように会社も変わり続けることも重要なんだ。昔ながらの使い続けられている道具もあれば、便利な電動工具に置き換わっているものもあるしね。

物づくりの文化やDIYが盛り上がって市場が大きくなれば道具の業界全体がハッピーになると思うんだよね。道具を作って売るだけではなく、物を自分の手で作る良さや楽しさも伝えていきたいと思ってる。

ハブチン :大事だよね、業界全体のハッピーを考えるって!

COTEN CREW制度は花火大会の協賛

たっちゃん :COTENとのつながりはご縁だと思っているんだけど、法人COTEN CREWになったのは花火大会の協賛の一年間版みたいだなって。みんなが楽しめるいいことを応援する気持ちなんだ。花火大会って一つの企業が一つの花火に協賛する形で成り立っていているんだけど、市民のみなさんはどの企業の協賛とか関係なく花火大会を楽しみに来てるよね。
花火大会も法人COTEN CREWもお金を出させてもらっていることで私たちもハッピーをもらってるよ。

ハブチン :おもしろいね!花火大会かあ。

たっちゃん :そうそう、うちの会社では毎月の役員会議で役員読書をやっていて、順番で役員が一つの課題図書を決めて、その本を次の会議までにみんな読んでくるんだ。会社で活かせそうなところを活用しようという取り組みのひとつ。

ハブチン :いい取り組みだね。

たっちゃん :この前、私の順番が回ってきて、「本は読まなくていいから、COTEN RADIOを最初から全部聞いて!」って提案した。

ハブチン :おおー、すごい。COTEN RADIOのそんな使い方があるんだ!

たっちゃん :うちの役員は、みなさんCOTEN RADIOを絶賛視聴中だよ。全部聞いてCOTEN RADIOから歴史を学んだら物事を論理立てて考えて構造化する力が磨かれたり、物事を相対的に見て今の自分たちの常識は絶対じゃないんだってことに気づけたりすると思うんだよね。
ハブチン :たしかに!COTEN RADIOが社内でも活かされていくっていいね。全部聞いたら本1冊を読むより時間はかかるけど(笑)。


ここまでお読みいただきありがとうございました!

この記事を書いた人:坂本リサ(Twitter: @Risa_italy )

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