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人として当たり前のことを徹底する「営業」 | Well Direction 向井俊介 × COTEN

法人COTEN CREWになってくださった企業の方々への対談連載。今回はWell Direction(ウェルディレクション)の向井俊介さんです。
営業のアドバイザーとして活動し、「東洋医学的なアプローチ」をコンセプトとしている向井さん。東洋医学的なアプローチとはいったいどういうことなのでしょうか?

対談のお相手は同じく法人COTEN CREWでもあるreborn株式会社のハブチンこと羽渕彰博さん。
法人COTEN CREWのコミュニティは、敬語を使わず「タメ語」で話すのが通例。その空気感をお伝えするため、記事内も「タメ語」のままお送りします。

向井俊介(むかい しゅんすけ)
約20年、IT業界においてB2Bの営業領域の職務に従事。2020年7月よりウェルディレクションを創業し、B2Bセールスのアドバイザーとして広く営業やマーケティングの側面から企業のビジネス成長に貢献している。
2020年より社会構想大学院大学実務教育研究科に在籍し、営業の暗黙知を学術的に形式知化するための専門職研究も行なっている。

営業を強くするための足腰を鍛える

羽渕彰博(以下、ハブチン):営業を東洋医学的なアプローチで支援しているって具体的にどういうこと?

向井俊介(以下、しゅん):営業の支援で代表的なのは営業代行だよね。営業してそこに対価が発生するという成果報酬型。これがわかりやすい西洋医学的な支援なの。
この場合、一時的に売り上げや商談数は増えるかもしれないけど、お客さんの組織には何にもナレッジが残らないしスキルも上がらない。営業組織としては何もアップデートされてないっていう状態なんですよ。

ハブチン:うん、確かにそうだね。

しゅん:僕がやっているのは、お客さんの営業組織を強くするための「足腰を鍛える」っていうところ。筋力をつけるとか生活習慣を変えるとか、いわゆる慢性病予防みたいな感じかな。
価値観や思想みたいなところを少しずつ変えていってもらうことで、1〜2年後にはアップデートした営業組織になっている状態を目指しましょう、そこに向けてアドバイザーとして伴走しますよって。それが東洋医学的なアプローチとしてやっていること。

ハブチン:なるほど。長期的に伴走していくためにアドバイザーという形をとってるの?

しゅん:そう。基本的にお客さんには何度も同じ話をしていて「もしかして以前も言ったかもしれないんだけど」ってことわりを入れながら、もう一回言うんですよ。それでも2カ月後とかにまた言う。
そうして繰り返しておくことで、いざというときにお客さんが「これって向井さんが言ってたあれかも?」って思い出して意識して変わっていく。そこにつながればいいなと思ってるんです。

ハブチン:思い出してもらうために繰り返し伝えるんだね。

しゅん:そう、必要なときにすぐに思い出してもらうためにね。
あと、基本的にお客様側は経営者か事業責任者の方に常に立っていただくっていうのが、こだわってる部分ですね。

意思決定の基準は「楽しいかどうか」

ハブチン:僕も組織を変えていくような仕事をしてるんだけど、組織の文化や思想みたいなところを浸透させていくのはすごく時間がかかるので、長期的に伴走してやらせてもらってる。
しゅんのすごいところは、営業という成果がわかりやすく見えるところでやってるところだよね。東洋医学的なアプローチってことに興味を持ったきっかけってあるの?

しゅん:そうだなあ。10年くらい前に、仕事の大きなストレスからうつ病一歩手前になった時期があったんだよね。それが直接的なきっかけではないんだけど、営業のアドバイザーとしてどういうポジションでいくか、どうやっていくかって思ったときのきっかけになったのは、その体験だったかな。

ハブチン:そうなんだ。

しゅん:細かいことを気にしてもしょうがないし、なるようにしかならないっていう、いい意味での腹のくくり方が身に付いたんだよね。考え方が変わったことは、大きなターニングポイントだったと思う。
それまでは細かいことをすごく気にしてたんだけど、考え方が変わったことで生きていくのがとても楽になったよ。

ハブチン:営業ってまずはお客さんの要望やゴールを叶えていくものだからどうしても他人軸思考になりがちだけど、人にどう言われようとも自分はこうありたいみたいなところかな。

しゅん:そうだね。僕はすごく人の目を気にしていて「マズローの欲求ピラミッド」でいうところの承認欲求をすごく必要としてたようなところがあって。今は、ある意味それを超越した感じですよね。

ハブチン:その承認欲求を超えてから、仕事のスタイルとか営業の仕方ってどういうふうに変わったの?

しゅん:そこから先の転職や起業って、全部「楽しいかどうか」や「ワクワクするか」で決めたんだ。自分が楽しいと思えるかどうかっていうのに全振りしたんだよね。
それまでの僕は、周りからどう見られるのかをすごく気にしていた。「外資系に勤めてるのかっこいい」とか「会社の看板を背負ってる俺かっこいい」とかっていうのが強かったし。いまは本当にクソだなと思ってるんですけど(笑)。

ハブチン:なるほど。ワクワクするかどうかっていいね!

しゅん:僕のワクワクの意思決定基準って、言語化ができないんです。なんか楽しそうじゃん!って思ったらぐわーーっていっちゃう。
あの体験があったからだけではなく、どちらかというと当時の上司に鍛えられた部分もあるかな。人としてまっとうに営業活動するっていうところを教わったんだ。

ハブチン:人としてまっとうな営業活動?

「営業」をメタ認知する

しゅん:人として当たり前のことをする。例えばあいさつやお礼っていう、ビジネスというより、マナーというか人としての礼儀作法だよね。そういうのをめちゃくちゃ叩き込まれたんだ。
例えばお客さんが偉い人だったとして、降格することもある。するとその人の周りにいた人たちがすっと引いていくんですよね。そういうときこそ傍にいること。「その人の権力にほれたわけじゃないんだろ、だったらそういうときこそ傍にいるんだ。ビジネスにも後々絶対につながるから」って言われて。で、本当につながるのね。

ハブチン:へえそうなんだあ。

しゅん:基本的にギバーでいること、人と人とのコミュニケーションをしていくっていうことを優先しているかな。
でも一方で、営業だから数字を上げなきゃいけないじゃない?

ハブチン:うんうん、もちろん数字も大事だよね。

しゅん:数字を達成することはある意味義務として捉えなきゃいけないぐらい大事な指標なんだけど、相手にギバーでいるコミュニケーションと数字を達成することって、両立が難しいんだよね。
でもその上司は、グローバルのトップセールスとしてずっと表彰され続けて殿堂入りされてる人だった。その人が言うのよ、「数字はあとからついてくるから」って。で、言われたようなコミュニケーションを取っていたら、僕も営業のトップパフォーマーに選ばれるようになって。

ハブチン:ええ、すごい!!

しゅん:本当なんだなって体験をしたから、人として当たり前のコミュニケーションは営業としても大事なんだよっていうのは今も言ってる部分かな。

ハブチン:営業って、目先の利益を追わないといけないっていう誤解や思い込みみたいなものが世の中にあるのかもしれないね。

しゅん:あるある。営業と販売の違いって何だと思いますかって聞いても答えられない。
でも、営業という仕事の概念を正しく理解していれば、販売活動をしようとはしないはずなんだ。僕のアドバイザーとしての支援では、営業としての概念についても話をしたりするよ。

ハブチン:営業という仕事をメタ認知するという感じかな。

しゅん:うん、その通りだね。
例えばアポイントを取ることを求められるインサイドセールスの場合、アポイントを取ることだけが自分の仕事だと思うとそこで終わりなのね。
なぜアポイントを取るのか、どれだけ商談を作ってどれだけ受注してって、そういう営業プロセス全体をメタ的に捉えられてないんだ。

ハブチン:手段が目的化して、そもそもの目的を見失ってしまってるのかな?

しゅん:それが本当に多いね。僕は営業の役割とかその存在意義みたいなところ、仕事に対する捉え方や考え方をちゃんと伝えていきたいんだ。
そこを論理的に伝えられる人があんまりいないから、まずはそこを整理していくことが必要かなって思ってる。
ハブチン:営業の捉え方からアップデートするのが楽しみ!今後に期待してる!!



ここまでお読みいただきありがとうございました!

この記事を書いた人:森まゆみ(Twitter: @march_320)

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