お金好きな人間が、森林での活動にたどり着いた訳 | 81-18ECOdesign 森田愛理 × COTEN
法人COTEN CREWになってくださった企業の方々への対談連載。
今回は81-18ECOdesign代表の森田愛理さんです。
自分を「旅人」と表現する森田愛理さんは、福島の山に囲まれた地域に移り住み、木工品の制作やヨガ教室などをしながら、地域おこし活動をおこなっています。
対談のお相手は同じく法人COTEN CREWでもあるreborn株式会社の羽渕彰博さんです。
法人COTEN CREWのコミュニティは、敬語を使わず「タメ語」で話すのが通例。その空気感をお伝えするため、記事内も「タメ語」のままお送りします。
旅人のように活動が広がっていく
羽渕彰博 (以下、ハブチン):自己紹介の「旅人」が気になってて(笑)。いろんなことをしているのかなと思うんだけど、いまはどういうことをやってるの?
森田愛理 (以下、あいり):いま私が住んでいる福島県の下郷(しもごう)は、もともと木地師っていう木工品を作っている人たちがいた集落なんです。会津って漆器が有名なんだけど、その漆器の元になる木工品やお皿とかを作ってる人たちが住んでた場所。
あいり:この場所に最初にきたとき、そこに住んでるおじいちゃんが近隣住人とお客さんをつなげるハブ役になっていて、その相乗効果がすごくいいなって。でも、そのおじいちゃんがいなくなっちゃったら、その活動が終わっちゃう。そこを引き継ぐというわけじゃないけど、この活動が面白いと思う人が増えて続いていけばいいなと思ったんですよね。
それで、ここで木工品を扱うようになったら、今度は自治体の農林関係や森林組合の人から今の森林の状況っていうのを教えてもらう機会につながっていったんです。
ハブチン:広がっていくねえ、面白そう。
あいり:森林って、何を進めるにしても成果が出るまでに時間がかかるから、少しでも早いうちにやり始めないといけないことがたくさんあると思う。どうしたら少しずつでも目を向けてもらえるかな、この森林がすごくいいんだよっていうことがどうやったら伝わるかなってずっと考えてる。
それで、木地工房で作った製品を新生児にプレゼントするって企画を自治体と一緒にやってみたんです。そうしたら、若いご夫婦がその木地工房に興味を持って実際に来てくれたんですよね。最近ちょっとずつそういうことが増えてきていて、活動の効果が出てきたかな、伏線を回収し始めたってかなって思ってるところ。
あいり:他にも、ナラの木が虫のせいで枯れてっちゃう現象というのが全国的にあるんだけど、昔の人ってナラの木を炭にして循環させてたのね。だったら炭窯でも作ってみるかっていう話になって炭作りも始めちゃった(笑)。
そんな感じでどんどんプロジェクトが広がってる(笑)。
ハブチン:本当に旅人だね。どんどんつながって広がっていってる。
あいり:やってることはバラバラなんだけど、本当にそうやって次につながって進んでるのね。
ハブチン:そもそも福島へはなんで移住したの?他の地域も選択肢としてあったんじゃない?
あいり:なんだったんだろう。たまたま友達が福島の出身で、そこから空き家を持ってるっていう人につながって。1年ぐらいはずっと通ってたんだけど、前から「一度は別の地域に行ってみたい」っていう思いもあったから、自然に移住した感じかな。
ハブチン:自分の価値観とか好奇心とか人とのつながりとかで自然にすごしてたら、福島にたどり着いたって感じだ。
あいり:そう、本当にそんな感じ(笑)。
ハブチン:縁があったんだね。
「皆さんお金好きですか?わたしは好きです」
あいり:でもわたし、もともとお金が好きだったのね。大学でもそういう系のゼミに入ってお金とか株の動きとかしか見てなかった(笑)。
だから、講演とか頼まれたら最初に「皆さんお金好きですか?わたしは好きです」みたいな話から始まっちゃう(笑)。
「でも、福島に住んでから変わりました」っていう話をしてるのよね、いつも。
ハブチン:そうなんだ!お金が好きだったっていうのはなんで?
あいり:お金については親からの影響が一番強かったのかな。自分の心の中にはお金っていうのはそこまでなかったと思うけど、親から「なるべくサラリーマンはずっと続けなきゃいけない」みたいなことをよく言われてたのが残ってて。だから、長年勤めてた化学薬品会社を辞めたときは、本当にもう、怒られたなあ。
あいり:でも、私は自分の心に向き合うってそのときには決めてたから。だって自分の人生だし。自分が楽しそうにしているところを親に見せていこうって思ってやってきたのね。だから、どんどん自分になっていってるっていうポジティブな感情が強かった気がする。
ハブチン:化学薬品会社や広告代理店でも働いていたんだよね、そういう資本主義っぽい世界とずいぶん違うよね、今の生活は。
自分がどうありたいかっていうのと、会社や周囲がどうあるべきかみたいなところの違和感みたいなのもあったのかな?
あいり:それもあったと思う。やりたいことが違ってたみたいな感じかな。
空き家問題も最初は投資の部分もあって興味を持ったんだけど、今はどうしたら空き家をうまく循環させていけるのかなって考えてる。システムとか、なんかもうちょっと変えられそうだなって思う。
ハブチン:いい意味でただよってるよね。自分の好奇心の先に行って、自然に次につながっていく。
あいり:うん。そっちの方がなんか楽しいなって。
自分ではなく思想を広めていきたい
ハブチン:COTEN RADIOも自分の価値観と近かったりする?
あいり:そうだね。例えば城の話題に付随してくるのが城の歴史だったりあと城主の歴史だったりするでしょ。その歴史からまず入るんだけど、日本しか知らなかったから、メタで全然見てなかったなって思う。そこを知ることができるっていうのが面白いし、何か他に気づかなかったものを気づかせてもらってるなって。
ハブチン:なんか結構メタで見る感じだよね。お金の流れもそうだし、森林とか循環とかもすごい長期的なスパンで物事を俯瞰して捉えてるんだね。
あいり:それはCOTEN RADIOのおかげかな。COTEN RADIOを聞いてから、いろんなものをちょっと俯瞰して見るようになったかも。
ハブチン:それ、すごい変化だね!そこから法人COTEN CREWになったのはなぜ?
あいり:資本主義の回を聞いたときに、すごく共感したんだよね。そのときに何か面白い仕組みを作りたいなとも思ったんだけど、でも自分のことで手一杯になっちゃって結局何もできなくて。それだったらもうサポートをしていきたいなって思った。
COTENって、深井さんは株式会社COTENや思想をすごく大事にしていて、深井龍之介をそこまで見ないで欲しいような気がしていて。
ハブチン:たしかにそうだね。
あいり:私も、今後会社にする予定なんだけど、その名前や思想を広めていきたいとは思うけど、属人化させたくないなっていうのがすごくある。そういったところも共感してるところかな。
ハブチン:自分が目立つっていうより、その思想とかを広めていくみたいなことにも関心があるんだね。
あいり:そう!あと、他の人が捉える視点も聞きたくて。森林の歴史みたいなのもCOTEN RADIOで取り上げたら面白いと思うんだよね。
ハブチン:いいね、それ聞きたい!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
この記事を書いた人:森まゆみ (Twitter: @march_320)
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