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老舗の変革企業!DNAを紡いできたメンバーと新しい仲間の融合 | 塩野香料 塩野太一 × COTEN

株式会社COTENの挑戦を応援してくださる、法人COTEN CREW企業の皆様をご紹介します。
COTENを通じて人文知に投資することを決めた彼ら。
日頃、どのような問題意識を持って活動されているのでしょうか。

今回は、塩野香料株式会社 代表取締役副社長の塩野太一さんです。

※COTENには、メンバー同士がフラットに「タメ語」で話す文化があります。その空気感をお伝えするため、今回のインタビューはタメ語&ニックネームで実施し、記事もそのままお届けします。

塩野 太一(しおの たいち)
1983年10月生まれ、神戸市出身。  
アートと歴史を趣味とするシブい少年時代を過ごし、美術史学の修士号取得するも、ビジネスの世界に入る。ヤマハ発動機でオートバイの商品企画を経験。バイクのフォルムや機能美に魅了され、どっぷりハマった。 
現在は家業である塩野香料株式会社の代表取締役副社長。200年余の老舗香料メーカーで「誠実」をモットーに、香りと香味を通して世界を豊かに。一方で、創香デザインカンパニーであるキチベエを立ち上げ、伝統を継承しつつ、新しいことにも挑み続けている。

長く続けていくために一番大事なのは誠実であること

COTENインタビュアー (以下、ーー):塩野香料は創業1808年という歴史のある会社じゃない?受け継いでいく上で太一が大事にしている価値観を聞いてみたい。

塩野太一  (以下、太一) :うちの会社は200年以上続いているけど、実際のコミュニケーションの中で伝わっていることは父親と祖父くらいまで。正直200年前のことはわからない。受け継がれてきた価値観をみんなで捉え直して再確認したって感じかな。大事にしている理念は変わっていない。

ーー大事にしている理念って何?

太一 :「誠実であろうね」っていうこと。長期的な戦略としても企業を長く続けていくために一番大事だと考えていることだよ。ちゃんと商売をして利益はそれなりにいただいて、社員にも還元して、社会のためにも役立つ。これがきちんと回り続けるのが大事かなって。

太一 :聞くとすごい普通じゃんみたいな話なんだけど、普通のことを当たり前に続けるのって実はすごくハードルが高い。その理念を価値観や行動指針といったバリューに言語化して社員哲学としてホームページに載せたのが約2年前。企業はこれから文化の時代と言われてる中で、今までの延長線上では進んでいけないなって思って。俺が書いた素案を叩き台にして「社内で仕事をする上では守ろうね」っていう価値観をみんなと対話しながら、若手のリーダー全員に集まってもらってミーティングを何度も重ねて決めたもの。

ーーみんなで作ったバリューなんだ。いいね、みんなで作ったバリューに沿って社内が動いていく感じ。

太一 : 最近は組織改革や人材育成にも力を入れている。それとカルチャーをどう作るかということを、いま頑張っている。そこが会社を永らえさせるためにも大事なことだと思っているから。空気っていい時はそんなに見えないけど、悪くなると途端に見えるじゃない。

太一 :だからバリューを作っておしまいじゃなくて、「掲げたことちゃんとやろうよ!」とか、「社員哲学は本当に守れてる?」ってちょいちょい俺がみんなに言って回って、早く定着させようとしてる。社内をもっとアクティブにしたくて、ある程度は社内でアレルギー反応が起きてもいいから前に進もうぜみたいな、すぐ馴染んで即戦力になる人よりも、新しい血を注ぎ込んでくれる人を仲間に呼んできて、「会社に生き生きとしたダイナミズムを社内にもたらそうよ!」ということをしている。

香りは世界観に合わせてデザインして作り出す

ーー香料を通じて目指す世界観はある?

太一 :企業理念にも掲げていることだけど、「誠実本位に 技術と感性を磨き 香りと香味を通して 人々の生活に豊かさと潤いをもたらすことが 我々の使命であり 誇りと喜びです」ということを言っていて、まさにそこかなと思う。人々の生活を香りでよくしていく、よりリッチなものにしていくってところ。個性や性格を演出するのに香りは使える。「今日はアダルトな私」とか「シックな俺」みたいな。でも香料はそれだけじゃない。

ーーどういうこと?

太一 :食品にも香料は使われていて、見えない部分で日々の生活にとても密接に関係している。だから、誰もが口にするもののクオリティを上げていきたいし、おいしく安全なものにして、さらに新しい食経験を広げていくみたいなことをやっていきたい。

ーー加工食品で、香りを入れて風味付けしているって、そうなの?

太一:添加物=悪だ、みたいなこと言われるけど、それがないと普通に生活している人ってリンゴジュースとかオレンジジュースとか飲めないんだよね。

ーー飲めないレベルなの?

太一:そう。果汁は加工によって香りが飛んでしまって、不味くなってしまう。香料で食品が本来持っている香りを強化したり、補ったり、マスキングして本来の香味・風味で飲めるようにするんだよ。それがだめなら、自分でオレンジ絞って飲むしかないけど、しないよね?都市生活に合ったクオリティを維持していこうと思うと、香料って絶対に必要。

太一 :食品に使う香料は食べたことがあるものを再現する必要があるんだけど、香水やシャンプー、柔軟剤とか食べない系に使われる香料には想像性が求められる。「天使の香りを作ってほしい」って言われたりするんだよ。

ーーえー、天使の香りが作れるの?!

太一 :商品のコンセプトに合わせたものをこちらから提案しながらデザインするんだよ。調香師がクライアントの世界観に合わせてアジャストしていくから、出来上がった香りには「ああ、本当に天使の香りですね」って言われるよ。
ーーおもしろいね!香りを調香師がデザインするんだ。原料は天然なの?それとも合成?
太一 :うちはどちらも組み合わせて使ってるよ。天然って聞こえがいいから、最強みたいな感じがするでしょ?実は全然違うよ。天然は不確定要素がめちゃくちゃ多くて、劣化するものもあるから製品品質としては不安定なんだ。例えば、搾りたてのオレンジの香りが一番いいってみんな分かるけど、その天然のオレンジの香りを香料として使おうとしたら毎回搾ることになる。だから、俺らはその一番いいと思われるピークの香りをまずキャッチして再現する。

太一 :天然原料だけだと香りが弱いし、嫌な匂いが出てくることもある。もちろん天然原料の良さもあるから、それを合成原料を組み合わせることでうまくリフトアップしたり、マスキングしたりして、品質の安定した香りをリーズナブルにつくっていくんだよ。

ーーおもしろい!香りを切り取ったりするんだ。音楽みたいだね。

太一:そうだね。社内に音楽をやるヤツがいるんだけど、音作りと香り作りは似てるって言ってる。

資本主義を編み直す社会実験の応援者

ーー法人COTEN CREWになったのは太一の中ではどう関係しているの?

太一 :これからの時代を生きていくうえで、物事を批判的に見るって結構大事だと思っていて。香害問題や添加物は良くなくて天然物がいいみたいな話も一面的にはそうなんだけど、その背景を自分で調べることが大事で、そのうえで社員は香料を社会にどうやってアピールしていくのかを考えて欲しい。そういうもののケーススタディというか刺激してくれるものとしてCOTEN RADIOも含めてCOTENって面白いなって思って、会社として法人CREWになった。

ーーCOTEN RADIOを聞くことがケーススタディにつながっているんだね。

太一 :痛快だなって思ったのが、資本主義を編み直すっていうことをやろうとしてるじゃん。めちゃめちゃいいなって思って。メインになって立ち回ることはできないけど、COTENの社会実験にサポーターの立場で参加してがんばるよっていう気持ち。事業内容とは全然関係ないんだけど、未来どうするの?っていう話を社内のみんなで考えるきっかけにもなればいいしね。
歴史のデータベースがどこまでいけるかは今はまだ正直なところわからないけど、オープンになって使えるようになった時にはみんなの考えるレベルが上がると思うから、その一員になりたい。

ーーいいね。まだ見えていないものに価値を感じて応援していくって。ところでCOTENはどんな香りなの?

太一 :格調高い古紙の香りをイメージするんだけど、もし香水を作るとしたらデジタルサイバー的なものを作ってみたいな。COTENキャラクターのピュイの香りを作るのもありかな。

ーーおもしろい!法人COTEN CREWのみんなで塩野香料の工場見学したら楽しそう。みんな喜ぶと思う。

(編集:株式会社COTEN 内山千咲/ライター:坂本リサ


ここまでお読みいただきありがとうございました!

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