70. 外転神経麻痺患者における外直筋上区画の萎縮群では,Primary positionの内斜視が小さく,外転障害が小さい。

Computed tomography scan to diagnose abducens nerve palsy cases with superior-compartment atrophy

Mirmohammadsadeghi A, Keivani S, Sharifkashani S, Masoomian B, Sadeghi M, Akbari MR. J AAPOS. 2023 Mar 9:S1091-8531(23)00061-7. doi: 10.1016/j.jaapos.2023.02.003. Epub ahead of print. PMID: 36906116.


目的:眼窩コンピュータ断層撮影(CT)を用いて,外転神経麻痺における外直筋上区画の萎縮の割合と臨床所見との関連を探ること。

方法:孤発性片側外転神経麻痺の患者22名を登録した。全患者の眼窩CTスキャンを取得した。すべての測定は,正常筋と麻痺側直筋に対して,後方体積(mm3)と最大断面積(mm2)の2通りの方法で行われた。またこれらの変数は,筋肉の上側と下側の40%で別々に測定された。また,Primary positionの内斜視と外転制限の量も記録した。

結果:平均偏位は23.4±12.1Δ(範囲:0~50Δ),平均外転制限は-2.7±1.3(範囲:-1~-5)であった。7例(31.8%)に外直筋上区画に形態的な萎縮の特徴が見られた。これらの7例では,後方体積と最大断面積における萎縮の平均割合は,下区画よりも上区画の方が有意に大きかった(いずれもP = 0.02)。外転制限の平均値(-1.7±0.9,範囲:-1~-3)は,他の症例(-3.1±1.3,範囲:-1~-5 [P = 0.02] )に比べて有意に小さかった。

結論:外転神経麻痺症例では眼窩CTで外直筋の上区画の萎縮を認めたサブグループがあった。上区画の直筋萎縮群では,Primary positionの内斜視が小さく,外転障害も小さかったことから,外直筋の機能が部分的に保持されている患者には,部分的な萎縮を考慮する必要があることが示された。

※コメント
経過を診ていると,初めは偏位が小さいですが増えてくる場合もあります。これは拘縮が起きているためなのか,部分的な麻痺が拡がっているのか,この報告をみて気になりました。

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