38. sagging eye syndromeでは,術後に約20%の症例で斜視(複視)の再発を生じることがある

Long-term Surgical Outcomes in the Sagging Eye Syndrome

Chaudhuri Z, Demer JL. Strabismus. 2018 Mar;26(1):6-10. doi: 10.1080/09273972.2017.1421676. Epub 2018 Jan 3. PMID: 29297726; PMCID: PMC5823780.

背景・目的:加齢に伴う結合組織の退縮によるsagging eye syndrome(SES)は,現在,高齢者における複視の原因として確立している。SESを疑えば,早期に発見でき,神経学的な検査が不要になり,外科的な矯正が可能になる。

方法:1994年から2014年の20年間にSESによる小角度の斜視を呈した平均年齢68±12歳の93例(男性40例)の手術成績について後ろ向きに検討した。

結果:正面視では,術前の遠見平均内斜視は4.2±7.5⊿,平均上下斜視は4.7±5.9Δであった。手術は内直筋(MR)後転,外直筋(LR)前転,内斜視に対するLRの上直筋(SR)への上方移動(superior transposition),imbrication,plication,grade vertical rectus tenotomy(GVRT)または上斜視に対する上下筋の後転術であった。術後即時および平均追跡期間 316±265か月後の長期における斜視角は,内斜視(遠見)が0.2±1.2⊿および1.1±2.7⊿,上下がそれぞれ0.00⊿および1.1±2.7⊿であった。19例に斜視の再発があった。

結論:SESでは,進行性の結合組織退縮により,実施した外科的処置にかかわらず,約20%の症例で小角度の斜視の再発を生じることがある。このリスクは術前に説明されるべきである。

※コメント
おおよそ1年で約20%の症例が再発(複視を自覚)しました。
遠見内斜視(age-related distance esotropia),上下回旋斜視(cyclovertical strabismus)のどちらも再発の割合は同じであり,再発した症例の方がより高齢であったようです。

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