141. 屈折異常が未矯正の場合,視距離の短縮に伴い眼球回旋量が大きくなる

The effect of uncorrected ametropia on ocular torsion induced by changes in fixation

Oh KK, Moon BY, Cho HG, Kim SY, Yu DS. PeerJ. 2021 Aug 4;9:e11932. doi: 10.7717/peerj.11932. PMID: 34430086; PMCID: PMC8349166.

背景と目的:視線を中心に回転する眼球運動である眼球回旋は,屈折異常の影響に関して十分に検討されていない。本研究の目的は,視距離によって誘発される眼球回旋に対する未矯正の屈折異常の影響を調査することである。

方法: 72名の被験者を屈折異常の種類によって分類し,異なる視距離によって引き起こされる変化に基づいて,未矯正眼の眼球回旋を比較した。眼球回旋は,眼科用カメラとハーフシルバーミラーを装備した細隙灯顕微鏡を用いて測定した。

結果:全群において,視距離が短くなるにつれて眼球回旋量は増加したが,近視・乱視群では,遠視群に比べ眼球回旋量が大きかった。また,未矯正の近視や乱視の量が増えるにつれて,眼球回旋の量も増加した。

結論:屈折異常が未矯正の場合,視距離の短縮に伴う眼球回旋量が大きくなることから,視距離の変化による眼球回旋を頻繁に受ける患者には,屈折異常の完全矯正が必要であることが示唆された。

※コメント
近見の方が遠見より回旋が大きい,そして,未矯正だとさらに回旋が大きくなるとのこと。
輻湊時には,上直筋と下直筋の主な働きが中和され,下腹斜筋の影響により外回旋が起こることが報告されているそうです。そのことより,近見三兆候(調節・輻湊・縮瞳(近視化))に外回旋を含めるべきだと言う主張もあるようです。
以下文献,
Allen & Carter (1967) Allen MJ, Carter JH. The torsion component of the near reflex. American Journal of Optometry and Archives of American Academy of Optometry. 1967;44(6):343–349. doi: 10.1097/00006324-196706000-00001.



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