230. 乳児内斜視に対する片側内直筋後転-外直筋切除術後の運動面と感覚面の長期成績

Long-term Motor and Sensory Outcomes After Unilateral Medial Rectus Recession-Lateral Rectus Resection for Infantile Esotropia

Mohan K, Sharma SK. J Pediatr Ophthalmol Strabismus. 2023 Aug 25:1-8. doi: 10.3928/01913913-20230721-01. Epub ahead of print. PMID: 37615418.


目的:小児内斜視に対する片眼内直筋後転-外直筋切除術後(MR-rec/ LR-res:前後転術)の長期的な運動面および感覚面の転帰を報告すること。

方法:小児内斜視に対して片眼内直筋退縮-外直筋切除術を受け、術後最低10年間フォローアップされた患者のカルテをレトロスペクティブにレビューした。

結果:合計100人の患者が対象となった。手術時の平均年齢は2.9±2.2歳(範囲:2.5か月~9.0歳)であった。術後の平均追跡期間は15.7±4.4年(範囲:10.0~27.5年)であった。全体として、54人の患者(54%)が最後の追跡調査時に手術に成功していた。初回手術時の年齢、斜視の期間、遠視の程度、術前の偏位の大きさ、DVD、下斜筋過動、またはDVDと下斜筋過動の合併の有無、および内斜視手術の回数は、術後の運動面の転帰を予測しなかった。Consecutive exotropiaは43%の患者にみられた(18%が恒常性、25%が間欠性)。内斜視が残存した患者は20%、再発した患者は21%であった。屈折性調節性内斜視は17%にみられ、高AC/A比は2%にみられた。周辺融像は54%の患者で達成され、立体視は1%であった。斜視期間が1.5年以下の患者では、周辺融像が得られる可能性が高かった。

結論:乳児内斜視患者の半数近くが、長期的な良好な運動面の予後と周辺融像を獲得した。Consecutive exotropiaは頻繁に発生した。再発性内斜視と屈折性調節性内斜視がいくらかみられ、高AC/A比の外斜視が数人にみられた。立体視の結果は極めて不良であった。

※コメント
Consecutive exotropiaが43%、周辺融像が54%という結果に共感いたします。
立体視が1%とのことですが、本研究の乳児内斜視の定義と、その1%(約10名)の患者の手術時期が気になるところです。
個人的には、術後斜視角の状態と手術時年齢、そして経過観察の年数は術後の転帰に非常に関与していると思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?