111. 中心近傍型多焦点コンタクトレンズを使用して周辺網膜へ遠視性デフォーカスの刺激をしても,遠視性不同視児の眼軸伸長を促進することはできず,屈折異常も減少しなかった

Effect of peripheral defocus on axial growth and modulation of refractive error in children with anisohyperopia

Beasley IG, Davies LN, Logan NS. Ophthalmic Physiol Opt. 2023 Apr 7. doi: 10.1111/opo.13139. Epub ahead of print. PMID: 37026593.


目的:多焦点ソフトコンタクトレンズを用いた相対的周辺遠視性デフォーカス(relative peripheral hyperopic defocus:RPHD)によって,遠視性不同視の小児の眼軸長の伸展と屈折異常を調節できるか明らかにすること。

方法:本研究は遠視性不同視児を対象とした前向き対照paired-eye studyである。3年間の試験のうち,最初の6か月間は単焦点眼鏡で,眼軸長の伸展と屈折異常を観察した。その後,参加者は2年間,遠視の強い方の眼に中心近傍型多焦点ソフトコンタクトレンズ(+2.00Dadd)を装着し,必要であれば反対側の眼に単焦点コンタクトレンズを装着した。遠視の強い方の目のコンタクトレンズの「centre-near:中心-近方」部分は遠見の屈折異常を矯正し,「distance:遠方」部分は周辺網膜に遠視性デフォーカスを与える。参加者は,最後の6か月間は単焦点眼鏡に戻った。

結果:平均年齢10.56歳(SD 1.43,範囲8.25-13.42)の11名が試験を完了した。最初の6か月間は,どちらの眼でも眼軸長(AL)の増加は見られなかった(p > 0.99)。2年間の介入期間中の眼軸長の伸びは,試験眼で0.11mm(SEM 0.03,p = 0.06)、対照眼で0.15mm(SEM 0.03,p = 0.003)であった。最後の6か月間のALは両眼とも不変であった(p > 0.99)。屈折異常は,両眼とも最初の6か月間は安定していた(p = 0.71)。2年間の介入期間中の屈折異常の変化は,試験眼で-0.23D(SEM 0.14; p = 0.32),対照眼で-0.30D(SEM 0.14; p = 0.61 )でした。どちらの眼も最後の6か月間で屈折異常の変化を示さなかった(p > 0.99)。

結論:指定された中心近傍型多焦点コンタクトレンズを使用してRPHDを実施しても,遠視性不同視児の眼軸長の伸展を促進することはできず,屈折異常も減少しなかった。

※コメント
使用されたコンタクトレンズは
comfilcon A multifocal contact lenses (Biofinity, coopervision.com) with a centre-near design and a +2.00 D addです。
遠視の不同視児に対する周辺網膜への作為的な遠視性デフォーカスの効果は無いようです。

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