34. Vertical fusionのメカニズムとして,両眼の斜筋の使用は最も内旋効果が少なく,両眼の垂直直筋の使用はより内旋効果を高め,上斜視眼の上斜筋と下斜視眼の上直筋の活性化は最大の内旋効果を与える
Mechanisms of Vertical Fusional Vergence in Patients With "Congenital Superior Oblique Paresis" Investigated With an Eye-Tracking Haploscope
Irsch K, Guyton DL, Park HJ, Ying HS. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2015 Aug;56(9):5362-9. doi: 10.1167/iovs.15-16604. PMID: 26275134; PMCID: PMC4539128.
目的:「先天性片眼性上斜筋麻痺」(SOP)患者における垂直方向の融像メカニズム(mechanisms of vertical fusional vergence)を明らかにし,その意味するところを考察する。
方法:11名の患者を視線追跡型ハプロスコープで検査した。
結果:3つの異なる融像メカニズムが見出され,cyclovergenceとvertical vergenceの比率は有意に異なっていた(P < 0.05)。7名の患者で垂直直筋(vertical rectus muscles)が主に使用され(比率:0.36 ± 1.6),1名の患者で斜筋(oblique muscles)が主に使用され(比率:0.04),3名の患者で上斜視眼の上斜筋と下斜視眼の上直筋が使用された(比率:1.15 ± 0.32)。Lancaster red-greenテストでは,これらの群間でアライメントの違い,主に正面視における両眼間の自覚的外方回旋量の違いが見られた。斜筋を介した融像(oblique-muscle-mediated fusion)の患者は自覚的な外方回旋がほとんどなく(0.5°),垂直直筋を介した垂直融像(vertical-rectus-muscle-mediated vertical fusion)の患者は平均3.6°±1.4°の自覚的な外方回旋,混合(斜角/直角)融像メカニズムの患者には7.0°±1.7°が認められた(P < 0.05)。
結論:融像メカニズムの選択は,どの程度の内旋効果を必要とするかの機能であると思われる。両眼の斜筋の使用は最も内旋効果が少なく,両眼の垂直直筋の使用はより内旋効果を高め,上斜視眼の「麻痺性」上斜筋と下斜視眼の上直筋の活性化は最大の内旋効果を与える。このように「先天性SOP」を細分化することで,(多くの場合「麻痺」した筋肉は機能を維持することができる)最適な外科的矯正を導くことができるかもしれない。
※コメント
自覚的な回旋によって各々の融像メカニズムを説明することができるのであれば,その他検査との整合性や,術式選択に有用となるのは間違いなさそうです。
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