77. 片眼性上斜筋麻痺の病因にかかわらず,上斜筋低形成の程度と眼球運動の構造-機能関係は弱く,ほとんど無視できるものである

Quantitative analysis of structure-function relationship between ocular motility and superior oblique muscle hypoplasia in unilateral superior oblique palsy

Lee JE, Yang HK, Kim JH, Hwang JM. Br J Ophthalmol. 2019 Sep;103(9):1253-1258. doi: 10.1136/bjophthalmol-2018-312560. Epub 2018 Nov 8. PMID: 30409916.


目的:片眼性上斜筋麻痺(SO)上斜筋低形成の程度と眼球運動の構造-機能関係を明らかにすること。

方法:片眼性SO麻痺患者166名を病因と内面解像度0.25mmによる高解像度MRI所見から3群に分類した:(1)先天性SO麻痺と片眼性滑車神経無形成(不在群,n=79),(2)先天性SO麻痺と両眼対称の滑車神経(存在群,n=40),(3)すべて両眼対称の滑車神経がある後天性SO麻痺(後天群,n=47)。SO低形成の程度は,MR画像上の視神経-眼球接合部における麻痺側と非麻痺側のSO面積の比(SOP/N)で定義した。多変量解析によってSO低形成と眼球運動パラメータの関係を調査した。

結果: SO低形成の程度(SOP/N)は,全群で両側の頭部傾斜の差と弱い負の相関を示した(β=-0.009, p<0.001 不在群; β=-0.003, p=0.034 存在群; β=-0.007, p=0.002 後天群)。不在群(β=0.009、p<0.001),後天群(β=0.007、p=0.001)ではSOP/Nと上斜視の差との間に弱い正の相関があるのみであった。また,他の眼球運動パラメータはいずれも全群でSO低形成の程度と関連はなかった。

結論:片眼性SO麻痺の病因にかかわらず,麻痺したSOの大きさと眼球運動の構造-機能関係は弱く,ほとんど無視できるものであった。

※コメント
SO低形成の程度によって検査結果の違いに大きな差はないということです。どのくらい低形成なのかというよりも,どこが(どの部分が)低形成なのかというところが重要なのでしょうか。

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