345. 非活動性甲状腺関連眼窩症患者における3種類の眼圧測定法の比較

Comparison of Three Methods of Tonometry in Patients with Inactive Thyroid-Associated Orbitopathy

Karhanová M, Kalitová J, Malušková M, Schovánek J, Zapletalová J, Mlčák P, Marešová K. Cesk Slov Oftalmol. 2023 Fall;79(6):318-323. English. doi: 10.31348/2023/38. PMID: 38086704.


はじめに:甲状腺関連眼窩症(thyroid-associated orbitopathy:TAO)患者における眼圧測定は、特に複視や眼球偏位(内斜視や下斜視)のある患者において困難で誤解を招きやすい。しかし、眼圧測定の際には、正面視の複視がなく、運動障害もないTAO患者にも十分な注意を払う必要がある。

目的:本研究の目的は、非活動性TAO患者において、リバウンド眼圧計(iCARE)、ゴールドマン眼圧計(Goldmann applanation tonometer:GAT)、非接触エアパフ眼圧計(NCT)の3種類の眼圧計を用いた眼圧測定の精度を評価することである。
材料と方法:49人の成人TAO患者の98眼を検査した。研究グループには女性36人、男性13人が含まれ、年齢範囲は19~70歳、年齢中央値は55.0歳であった。すべての患者に甲状腺疾患の所見があり、軽度から中等度のTAOの既往歴があり、活動性疾患の臨床症状や徴候はなく、直視方向の複視はなかった。総合的な眼科検査に加えて、全患者は3種類の眼圧計による眼圧測定を受けた: NCT、iCARE、GAT。これら3つの機器による測定値を比較した。

結果:平均眼圧はGATで18.1±2.4mmHg(範囲13-25mmHg)、NCTで22.3±5.0mmHg(範囲13-35mmHg)、iCAREで18.0±2.4mmHg(範囲13.3-26mmHg)であった。GATとiCAREの測定値の平均差(Bland-Altman解析による)は-0.1±1.16mmHg(一致限界-2.4~2.1)であった。GATとNCT測定値の平均差は4.2±3.6mmHg(一致限界-2.8~11.2)であった。iCARE測定値とNCT測定値の平均差は-4.3±3.7mmHg(一致限界-11.6~2.9)であった。GATとiCAREの間に有意差は認められなかった(p = 1.000)。しかし、GATとNCTの間には有意差があり(p < 0.0001)、iCAREとNCTの間にも有意差があった(p < 0.0001)。
結論:TAO患者では、NCTはGATやICareと比較して眼圧値を有意に過大評価する。対照的に、iCARE眼圧計は、これらの患者において、ゴールドスタンダードのGATと同等の眼圧測定値を提供する。

※コメント
実臨床の感覚ではどうなのでしょうか。あまり比較検討を行っていないため、実際のお話を伺ってみたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?