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こども家庭庁がいよいよスタート

2022年6月15日に「こども家庭庁」の設置法案の成立と同時に子どもの権利を守るための基本理念を定める「こども基本法」が成立しました。
(個人的には、いろんなことを提案したいと思っており、ぜひとも提案したいので、今準備を進めてます。)

こども家庭庁は、2023年4月に新設されることが決まり、子育て支援、子どもの貧困対策、児童虐待防止、少子化対策、さらにはいじめ問題や不登校の問題など子どもに関する幅広い課題を解決することを目標に動きはじめます。

子どもの課題に関係する省庁と管轄について
これまで子どもに関する問題は、複数の省庁が管轄し、「こども」を起点に構成されていませんでした。

文部科学省:幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校などの学校教育を管轄。
厚生労働省:保育所、保育園、児童相談所を通じた児童虐待の防止
内閣府:認定こども園
警察庁:少年犯罪対策、性的搾取防止

前述の通り、幼稚園と保育所を管轄する省庁が異なります。このため、運営基準や職員の資格が異なり、別々の運営になっています。少子化や子育て支援サービスの多様化、さらに女性活躍の促進により、保育所の定員の問題などが社会問題化したことで、幼保一体化の議論が2010年ごろに進みましたが、すぐには解消することできませんでした。
内閣府が「認定こども園」の設置を決め、教育をする幼稚園的な機能と長時間保育する保育所的な機能を一元化することで、育児に関するサービスの多様化に対応することとなり、利用者にわかり辛い構図になっています。

また今回のこども家庭庁では、幼稚園や義務教育は引き続き文部科学省に残り、保育所についても厚生労働省のままで、認定こども園だけが内閣府からこども家庭庁に移管され、、「幼保一体化」は見送れました。

今回、こども家庭庁の新設により、子どもへの性犯罪歴がある人が保育や教育現場で働くことを制限する仕組み「日本版DBS」の検討がようやく進み始めました。

「こども基本法」の制定
こども基本法の意義は、子どもの権利を規定した基本法であり、全てのこどもが「個人として尊重され」「基本的人権が保障される」。また生きる権利・育つ権利・守られる権利・参画する権利、愛される権利、最善の利益の実現することを規定する法律になります。

一言で言うと、子どもファーストで考えることが法律で決まったと言うことになります。

(参考)
こども基本法案概要
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/208hou25siryou.pdf/$File/208hou25siryou.pdf

また、「こども」の定義は、年齢制限ではなく、心身の発達過程にあるものとしており、18歳になれば終わりでなく、虐待被害者やヤングケアラー、障害を持つ子ども、児童養護施設の子どもなどを含む全ての子どもが継続して支援を受けることができると解釈できるようになっています。

「こども基本法」は1994年に批准した子どもの権利条約に対応する国内法となり、ようやく法律ができました。

子育て支援に関する法律のわかりにくい理由
日本ではこれまで子育てに支援に関する政策及び法律は、身体的な課題を解決し、より安全に出産、育児ができる社会を目指して検討されてできた政策と女性の社会進出を促進するためにサポートすることを目的で作れた政策があり、わかりにくくなっています。

このように政策の目的が複数あるため、管轄する省庁も複数になり、「縦割り行政」と言われる状況にあったため、利用者にもわかりにくく、制度が複雑でメリットを実感しにいく状況になっていまます。

今後の展開として
子ども家庭庁で実現が期待されている政策については、「こども家庭庁設置法案の概要」にて記載されており、下記のような内容となっています。

(内閣府資料より引用)
内閣府 こども家庭庁設置法案の概要
https://www.cas.go.jp/jp/houan/220225/siryou6.pdf

⑴ 分担管理事務(自ら実施する事務)
・小学校就学前のこどもの健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前のこどものある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進
・子ども・子育て支援給付その他の子ども及び子どもを養育している者に必要な支援
・こどもの保育及び養護
・こどものある家庭における子育ての支援体制の整備
・地域におけるこどもの適切な遊び及び生活の場の確保
・こども、こどものある家庭及び妊産婦その他母性の福祉の増進
・こどもの安全で安心な生活環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進
・こどもの保健の向上
・こどもの虐待の防止
・いじめの防止等に関する相談の体制など地域における体制の整備
・こどもの権利利益の擁護(他省の所掌に属するものを除く)等

⑵ 内閣補助事務(内閣の重要政策に関する事務)
・こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現のための基本的な政策に関する事項等の企画及び立案並びに総合調整
・結婚、出産又は育児に希望を持つことができる社会環境の整備等少子化の克服に向けた基本的な政策に関する事項の企画及び立案並びに総合調整
・子ども・若者育成支援に関する事項の企画及び立案並びに総合調整

(参考)
内閣府 こども政策の新たな推進体制に関する基本⽅針のポイント
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku/pdf/kihon_housin_gaiyou.pdf

新しくこども家庭庁が設置されることで、こどもを起点に総合的かつ横断的に扱うことが可能となります。これを従来通りのアナログで実行するのではなく、デジタルでぜひとも実行する方法を考えてほしいと思います。ぜひデジタル庁と連携し、公共サービスを介して取得した個々の子ども・家庭の状況、支援内容などに関する情報をデータベースに蓄積し、分析可能な状態にすることで、きめ細かいサービスが提供されることを期待します。また子どもたちを応援したい人、子育てをしている世代を応援したい人もたくさんいるので、民間にデータベースを解放することで、より多様なサポートが可能な社会を実現する仕組みを構築して欲しいと期待しています。

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