180204_雪景色_2

雪もよい

今日は一日中気温はさほど上がらず、
寒い1日だった。
それで1年前に書いたものを思い出した。
・・・
立春まであと一週間になったというのに
今日は朝から雪もよい。
「雪もよい」は「雪も よい」ではなく
「雪 もよい」である。
「もよい」は「催い」と書けばわかりよいように
そういう気配になっているという意味だ。

底冷えの日が一週間も続き、日本各地で
大雪になるところが拡大している。
気温も経験したことのないような低気温で
瀬戸内の温暖な気候であるはずの地元でも
こんなに寒い、いや冷たい冬は
経験した記憶がないほどだという。
晴れれば底冷えするし、風が吹けば
体感温度はぐっと下がる。
空がどんより曇れば「雪もよい」で
今にも雪がちらつく様子。
寒さに耐性がない人にとって今年はきつい。
着膨れも仕方がないというものだ。

ところで「もよい」だが、最近はほとんど
使う機会がなくなっている。
その気配が強くなっているという意味で
「雪」だけでなく「雨」に使うこともある。
春、桜が咲き始める間際に「花もよい」
と使うこともできる。
やわらかい語感を持っている大和言葉は
語感の響によって、情景をやさしく見せる
ことができる。使う言葉によって、
その言葉の向こうに見える映像は変わる。
雪が今にも降りそうな気配の空を
「雪暗(ゆきぐれ)」ともいうが、
「雪もよい」とは見える映像、映る情景も
変わってくる。

言葉を紡ぐとき、どんな言葉を使うかで
伝わり方も印象も変わる。
どんな種類の蚕の繭から生糸を引き出し
糸にするかで絹の風合いは違ってくるし、
その糸で織った布も違うものになる。
言葉も同じなんだと思う。
日常生活の中で埋もれたり、
消えていく言葉も多い。
その一方で新しく生まれる言葉もある。
「言葉は生き物」だとはよくいうが、
それならば「絶滅危惧種」になる言葉に
もっと関心を持った方がよいのではないか。
言葉は意識していなければどんどん廃れる。
日本語は豊かな言語だと思われているし、
実際そうなんだと思う。けれど、
そう思うほど日本語を知らないのではないか
と最近、特に思うようになった。
もっと学びたいという思いが強くなっている。


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