春日和
遠くに見える稜線と空の境が
靄で溶けてくるように
ふたつの季節の間もぼんやりする
ふたりの間に横たわる
わだかまりの線引きも同じように
溶けていけばどれほど救われるだろう
複雑に交じり合う感情も
ひとりでほぐすより
誰かに解いてほしいと願う
ふたりの思いは知恵の輪のように
力技では離れないのに
コツが見つかれば容易く別れる
それが好いとか悪いとか
そういうわけではないけれど
どこかでそこはかとなく望んでいる
日和はもう春で
棘が刺さる時間は消え失せて
ぼくはひとり日差しに身を置いている
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