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爽籟の好日

秋の高気圧がもたらす乾いた風は、
湿気を含まず爽やかだ。
肌にまとわりつく感じがしないので
心地よく風をうけられる。

だからか、木々の枝を通り抜ける音も
聞き心地のよい音に聞こえるのかもしれない。
古人はこのような秋風の音を「爽籟(そうらい)」
といった。「籟」は3穴の笛のことらしい。

この笛の音を秋風の響く音に例えたらしい。
風の音はよく笛の音のように聞こえることが
あるけれど、まさにそれを言葉に表したという
ことだろう。古人の感性に惚れてしまう。

聞き心地のよい音悪い音というのは
一般に周波数に関係するといわれている。
耳障りの音は440ヘルツと言われていて、
救急車やパトカーのサイレンの音などがそうだ。

逆に聞き心地のよい音は528ヘルツ。
ジョン・レノンの「イマジン」は528ヘルツの音が
多く使われているらしい。人の心を癒しながら
メッセージを伝える効果を僕らは体験的に知っている。

話を風にもどすと、風の音の心地よさは
周波数だけではない。肌感覚というのが大きい。
肌で音を聴く。という感覚だ。
聴覚と触覚が相まって心地よさが生まれる。

秋の爽やかさは、風の音に負うところも大きい。
木々の枝を通り抜ける風も、海や山を渡る風も
耳や肌を介して心情にやさしく語りかける。
そして目が秋空をつかみ映してくれるからこそ
ぼくらは心奪われるのである。

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