無言劇

いつしか夜も深けて
ピエロの背後には 白蒼く
いつも怪しい月があり
微笑みすらうかべておりました。

ひかりは まるで白いベールのように
ひときわ寂しい気に 身体を包み
陽射しよりもやさしく
ぼくまでも濡らしておりました。

からくり箱のような街角で
細い腕を胸にあて
音もなく
風のように踊っておりました。

白塗りの顔に だぶだぶの服を着て
いつからか 
ぼくの隣で親し気に
誰よりも人間らしく笑っておりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?