翠雨(すいう)
夕方から降り出した雨は、
乾燥しきった空気と土と緑には歓迎の雨だ。
そのお陰か今夜は肌寒い。
乾いた空気はしっとり水分を含んで
ひんやりとさえしている。
昨日とは5度くらいは気温が低い。
新緑の季節、青葉に降る雨を「翠雨」という。
ここのところ夏日が続き、日差しも強く
田植え前の田園は乾いていた。
雨予報だった今朝は、
ここ数日の霞んでいた山や夏野を洗って
気持のいいくらい立体感が迫ってきた。
見慣れた風景が生き返る。
誰でもいいようのない辛い気持ちを
ひとり抱えることがある。
遣り場のない憤りも、
出口の見えない悩みも、
精一杯生きていれば誰でもあることだ。
天候は人間の情感に作用する。
塞ぎ込むような日が続いたあとは
翠雨のような涙を流してしまいたい。
そのまま眠り込んでいい。
目が覚めたら、
清々しささえ感じる朝を迎えたいものだ。
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