逆放射あるいは裸身
高くなった空は冷たい夜を連れてくる
短くなった陽は長い夜を連れてくる
どこまでも接点のない空間だ
身体と精神の平衡状態は
奇妙なバランスで保たれていて
記憶の中の映像のようだ
懐かしい記憶は不連続点
秋という時間の交点が夜に現れる
視点を失った身体は軽く
深い時間にゆれながら
不自然な律動が身体に刻まれていく
接点のない空間で
身体と精神は
ねじれたパースペクティブを描いた
白い闇から
逆放射される夜気は鎧を突き破り
最後のバランスを取り去った
主体離脱
裸身の魂が
語る相手を求めて放浪する
こんな映像ばかりが
ゆがんだ空間の隙間から落ちてくる
冷たい夜はとても澄んでいて
長い夜にどこか寒い息づかいだ
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