贈り物
静寂の夜が訪れた
いくつものイメージを
ゆっくりと増幅させながら
息づいている個々の心拍が
語り部の深い声のように
閑寂の内に谺する
静かであればあるほど 夜は饒舌なのだった
はかない雪のようなイメージは
何かを秘めた
うつろな表情で流れて行く
インスピレーションのような糸で
断片を縫い合わせてみても
悲しい物語ができあがるだけだろう
こんな夜は
思考の術はないのがいい
それが最高の優しさというものだ
重々しい時間が
低く身体をかかえて流れて行く
いずれは訪れる朝焼けまで
まるで新世界の夜明けのように
山際の眠りも溶けていけば
それが最高の贈り物というものだ
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