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紅葉雨(もみじあめ)

今日10月23日は二十四節気の「霜降(そうこう)」。
朝晩の冷え込みが感じられ、文字通り、
霜が降り始める頃という意味だ。
ところが朝の冷え込みはあったけれど、雨である。
一日中どんより空の曇りと雨が代わる代わる
やってくる忙しい一日だ。

この雨は「紅葉雨」とでも名付けようか。

季節は晩秋に移りつ、紅葉が広がりを見せている。
紅葉を見るに出かけるには爽やかな秋日和がいい。
と普通は思うのだけれど、実は雨の日こそ
紅葉狩りにはもってこいなのだ。
晴れて乾いた空気の中より、雨で湿った中での
紅葉の方が色鮮やかに冴え渡ることを知ってほしい。

おまけに樹々の根元や岩の苔の緑も湿気があると
生き生きとした色を醸し出す。
この緑と紅葉の朱赤や黄色がしっくりと合う。
土砂降りでは紅葉を見に行く気も起きないが、
小雨の降るくらいなら色鮮やかな紅葉を楽しむ
動機づけにもいい。人も少ないしね。

紅葉と雨は相性がとてもいい。

庭園の紅葉と苔の相性は特に素晴らしく、
小雨に心も洗われて、静かに佇む時間を得る
こともできよう。
本格的な紅葉はもう少し秋の深まりを待つけれど、
頃合いを見て、そういう時間を持ちたいものだ。
場所にもよるが、これからその時を待つのも一興だ。

日本人は古より自然の親しみ方を色々と見つけてきた。
名月を愛でるのも十五夜に月見するだけでなく、
十三夜に、同じように美を感じ、月見をしたり、
盃や池の水面に映る月を愛でたりしてきた。
紅葉も同じで、橋などの濡れた板面に映る紅葉や
水たまりや川、池に映る逆さ紅葉を愛でる。

このような移りゆく季節の楽しみや豊かさを
もっと大事にしたいと思う。
暮らしのなかで、わずかでも時間を割いて
その楽しみ方に使っても何も問題は起きないだろう。
雨が降っているから億劫だというのも理解出来る。
だけど、今が好機だと思う気持ちを持ちたいものだ。


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