弔い

画像1 桑の木の下、掘り畑の脇、縄文の墓のそば。重く、力強い土の香り。握りにくいショベル。ざらつく雪。静謐で生々しい行為。
画像2 けものに盗られんようにせんと…。苔むした石を転がし、香りの良い木の枝を生け、笹を一枚。蝋燭二本、線香一束。生け花以外、母が何かを造形する姿を見たことがなかった。このありように、なにを言えようか。泥まみれのショベルと手袋、長靴。がたつく細い道を、わたしは一輪車を押した。その後を母がゆっくりと歩いて帰った。夕飯に晴れ晴れとした声が伸びて、ほぅと息が抜けた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?