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カメ

今日は閉店間際のスーパー駐車場で車が動けなくなった。広々した空間で大きくハンドルを切った途端、タイヤの空転する唸りで、あ、やったか〜と淡いオレンジ色の雪を見た。
正味40分、小さいブラシで前輪まわりに噛んだ雪を掻き出しては、前に後ろにアクセルをゆっくりふかすのを繰り返した。3回同じ作業をしたところで、運良く除雪車が通路を走り始めた。きれいになった通路まで、約10メートル。
車の下でなく、この先通る動線の雪を取った方が早いと、とても夜9時過ぎには見かけない勢いで、雪を払っては退かした。
軽く吹雪いてたけれど、車内が白くなろうが頭やコートや靴が濡れようが、あまり気にならなかった。機嫌も悪くない。
自分で抜けられると知ってたから、何度カメになっても、するべきことを精力的にやった。そして、やっぱり抜けられた。些細なことだけれど、確信のまま、このまま進めと自分が教えてくれたみたいだった。
達成感はなかった。当たり前のことが当たり前にすんだ感じで、その感動的じゃないところが気に入った。
さらにそのあと、iPhoneのパスコードを忘れて使えなくなりかけたが、これは物覚えの良いわが子に助けられ、一件落着。iPadのパスコードもいろいろ推理して当ててくる。(…そのせいで何度コードを変えたことか。そして、ちょっと忘れちゃうんだよ。)

ん、ひと手間を大事にしいよ。
それと、自分にできないことは人がちゃんとしてくれるから、まあ、ぜんたいまかせとき。
そんなことばが聴こえるような夜。
…ありがたや。

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