ゆらり、あめふらし。

画像1 波打ち際を歩いていると、得体の知れない芋が、波に揉まれていた。薄茶で緑がかった、あぶくのような半透明のぽこぽこにくるまれて、きりもなく寄せては離れる。触るなと言われ、しばらく眺め下ろした末に、これはウミウシと言われているもののなれの果てに違いないと結論した。それが、眼を瞬かせる白い反射の下、幾つも波まかせに漂う。初めての光景。
画像2 カニはもちろんいる。はっきり、キッパリ、お逃げになる。海中だろうが岩場だろうが、近づかれるとザワザワするのか。珍しくオタオタと追いかけやすい速さで、逃げ隠れを繰り返した。
画像3 ああ、みんななんというか、健やかだ。増えるときに増えて、減るときに減る。潮の満ち引きのように季節は巡る。そして、生きものの景色は少しだけ変わっている。ゆらゆらもせず、みな必要なものをたっぷり受け取って、育ってる。元気。今日は雨が夕方からポツリポツリ降りだした。皮の2、3枚くらいくれてやるから、次、わたしらが海に行くときは、カリカリのお日様を頼む。朝5か朝6には、じゃぽーんと波を踏んづけるから。かならず。

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