ないようで、あるもの。

画像1 きれぎれの薄陽を震わせながら、この潮溜まりは浜辺に広がっては砂に吸われ、また広がる。 現れては行方知れずとなるロプノールとNちゃんのことを思い出した昨日。 なんだかわかるんだよ。 ことばはない。 なのに不思議なくらいわたしもその子といると満ちているんだ。 そう言う彼女の部屋はいつも開いていた。 無口だけど、大切なことはまっすぐ眼を向けて話す。 トンネルを時速80キロで抜け、明滅する彼女の微笑みが沁みる夜に、ただあることの安心にひとつ、変に傾いていた息が抜けた。

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