女と男と人間 ー村上春樹「ドライブ・マイ・カー」の映画と小説ー
周りはあまり好きな人がいないけれど、私は結構村上春樹の描く人間像が好きだと思う。彼の物語に出てくる男性になぜか共感できる。基本的に合理的に生きていて、その上で教養がある程度含まれた「あえて無駄なことをする愉しさ」に少なからず自信を持っているような。その上で異性という一番自分の遠い存在に触れ、恋という感情に振り回され、困り果てたり、見ないふりをして見たり、当人の問題点なのに変に客観視して傍観していたり。そのせいで味わった少しの苦味と後悔でさえも、小説にしたり小粋な音楽と一緒に思