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巨匠とその娘

私が10代の時にインド音楽を学び始めたころ、最初に耳にしたインド音楽家は
ラビ・シャンカールだった。
私にインド音楽を教えてくれた先生は、ラビ・シャンカールに習ったことのある人で、レッスン中にもよく彼の名前を耳にした。
ラビ・シャンカールはあのモンタレーポップフェスティバルに出演し
タブラ奏者のアララカ氏との壮絶な演奏で一躍有名になった人だ。
ビートルズのジョージ・ハリスンの師匠としてでも有名で
ジョン・コルトレーンにも多大な影響を与えている。
そうしてラビ・シャンカール氏の音楽を聴いていくうちに彼が偉大な音楽家であることを知ったのだった。
1995年にシャンカール氏は第9回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しているのだが、この受賞記念コンサートが行われた福岡の会場の楽屋で初めて彼にお会いした。
実はこの日、忘れもしない阪神大震災の日で、
私はこのコンサートを見る為に福岡にいたので、幸運なことに地震を免れたのだった。
その時、娘のアヌーシュカも同行していて、このコンサートツアーが実質彼女の日本でのデビューとなるのだが、
彼女は当時はまだ13歳くらいだったのではないかな。お父上の横で笑顔で対応していたのが印象に残った。
シャンカール氏と何を話したか興奮のためかあんまり覚えていないが「君はダンサーか?」と聞かれたことは覚えている。
私は何故か時々ダンサーに見られることがある。
おそらく、コンサート、すごく感動しました、ということと
受賞おめでとうございます、と伝えたように思うが、
私以外にもたくさんの人が楽屋を出入りしていたにもかかわらず、
とても丁寧に対応して下さった。
それから数年後、シャンカール氏と娘のアヌーシュカの日本ツアーの東京公演と大阪公演に同行することに。
インド大使館のパーティーでシャンカールファミリーと再会し、
その時にアヌーシュカとお話する機会があり
彼女はとても気さくで優しくて性格がとても良いチャーミングな女性なので、すぐに仲良くなった。
その彼らをマネージメントしていたのは、ベルリンフィルやその他
クラッシック音楽を中心とした世界的アーティストを招聘していたことで有名だった神原音楽事務所。ここのスタッフは皆とてもよい人達ばかりで本当にプロフェッショナルで素晴らしいマネージメントだった。
(その後、神原社長がご病気のため引退、それと同時に事務所も閉鎖されてしまったことをとても残念に思う。)
アヌーシュカ・シャンカールもいまやカーネギーホールでの演奏や、彼女のCDがグラミー賞でノミネートされたりと
シターリストとしてゆるぎない地位を確立しているようだ。
様々なジャンルのミュージシャンとの交流があるようで、これからますます芸に磨きをかけるのだろう。
彼女があの若さでここまでのぼりつめたのは「巨匠の娘」という看板だけではなく、あの、素直で淀みのない人間性が彼女の音楽性をも高めているのではないかなと思う。

彼らとの交流は、私の貴重な体験のひとつである。
 

#インド音楽 #ラビ・シャンカール #アヌーシュカ・シャンカール

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