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うっすら滲むくらいがいい。

夏がくる。
ネイルの色を変える。

透き通ったむらさき。
玉虫の羽のように、足の指先で光る。わたしの小さなお守り。

この頃、足にだけネイルをする。
それでいて、つま先のよく見える靴はもうほとんど履かない。
だからこのうつくしい色は、わたしのためだけにあるのだ。

傍からみればわたしは、きっと「男の子みたいな女のひと」だと思う。

でも、よく似た色のリップは増えていくばかりで、
シャンプーも洗剤も天然の精油の香りじゃなきゃ嫌で、
うつくしい、レースの下着を身に着けるとうっとりする。

どうしようもなく女であること。
それはひけらかさずともそこに、ある。

このままの私を愛してなんて思わないけど、
わたしはこの私が愛しいので仕方がない。

オーロラみたいなネイルと目があった。





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