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シャワーにすべてを溶かして眠る

悲しい映画を観た。
気持ちが、沈んでいく。

少々悲劇的に描きすぎではないかと思いつつ、
ここまで強烈でなければ届かないのかもしれない。

一般受けする映画というのは、何かしらどこかしら派手であるような気がしなくもない。

わたしのような、
映画ひとつでその日の感情が支配されてしまうような者は
少数派なんだろう。

落ち込んで仕方がないので、シャワーを浴びた。

たくさんの人に会った日や、感情・思考がぐちゃぐちゃしているとき、
わたしはいつもより時間をかけてシャワーを浴びる。

体や魂にまとわりついた何かが、洗い流されていくさまをイメージする。
混じりけのない、精油の香りのシャンプーや石鹸をつかって、
体の外側にひとつ、うすい膜をはるイメージをする。

ふわふわのタオルで体をふいて、クリームを肌にぬりこんで、
新しい下着に身をつつんで。

そうすると、大抵のことはきれいに流れていって、
わたしは0、になる。

溶けて排水溝に流れていった、どろどろした気持ちは、今頃どこをさまよっているだろうか。
きれいにろ過されて、またきれいな水になって、
そしたらまた、誰かのどろどろを洗い流すのかもしれない。


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