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ミドリムシとサルの足し算の話(2024年3月4週)

 毎週土曜、シニアの皆さんを対象にZOOMを通じ、時事ニュースや科学ニュース解説を行っています。そこで扱った話題をダイジェストでご紹介します。
 2024年4月第1週は、直近で公開されていた興味深い研究トピックスを2つご紹介しました。ミドリムシを赤くする研究と、サルの脳機能の話題です。(標題写真は、右回しで大きくなる(+)、パワードスピーカーの操作つまみ)


1)ミドリムシを赤くする手段と理由

 そもそも緑色のミドリムシを赤くするという、その存在理由を根底から覆すような(?)取り組みです。

「かつお出汁を培地にして赤い光を当てると、遺伝子操作等を用いずとも赤色カできる」「こんぶ出汁やしいたけ出汁でも、かつお出汁の主成分とされる成分でもダメ。あくまでかつお出汁でのみ成果が得られた」などと報告されています。たいへん興味深い報告ですが、もっと興味を惹かれるのは、なぜこの研究に取り組んだかについてです。

 報告では触れられてはいませんでしたが、想像してみました。
 詳しく見ると、昨年の研究成果へのリンクも掲載されていました。たどってみると「トマトジュースを培地にするとミドリムシはよく育つ」とありました。さまざまな果汁を試しています。
 「ミドリムシを赤くする」をゴールと定めた研究が、意欲的に進められていると考えて、大きく外れてはいないようです。

 昨年の段階では「赤くはできなかったがよく育った」ことを成果として報告。今年は探索範囲を出し汁に広げたところ、かつおと赤色光でヒットした、ということではないのかと。

 その先には「食材としての利用」が想定されています。緑でなければもっと箸も進むのではないか、と。
 ともあれミドリムシと命名したのも人間なので、ミドリムシ自身にとってはどうでもいい話かもしれません。ただ、どのように研究・実験をすすめるかの検討会議は、議論百出で白熱(あるいは赤熱)してそうです。


2)サルも数直線を知っていた!?

 ボリュームのつまみやアクセルとブレーキの位置関係などは「右のほうが大きい」で共通しています。人間はそれを環境や学習で身につけたのだ、と思っていましたが、サルにも「右が大きく」「左は小さく」が脳機能レベルで存在していたことが分かった、という研究成果です。
 人間だけでなくサルもそうだったとなれば、他のいろんな生物で確かめたくなるのが人情。鳥とかカメとかでも調べてみたくなります。また生物の進化史をたどるだけでなく、さらには「AIの身体性」といったテーマにもからんでくるかもしれません。

(了)

 


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