こんな夜はうたいたくなる

ご飯を食べられるようすではない。

お酒を飲みたいきぶんでもない。

誰かと話したいような気もするけど、きっとそうではない。

こんな夜はひとりでうたいたくなる。

いろんなミュージシャンが大切に育ててきたうたが、

この時ばかりは僕のためのうたになる。

うたっている僕自身も、誰のためでもなく、

自分のためにうたう。

内なる自分と向き合うために、

他人の作った言葉に身をゆだねて、

自分のためだけにうたう。

完全なる自己陶酔の時間は、こうして成立する。

気がついたら時間が過ぎていた。

僕の知らない他人が僕の知らない他人のためにうたったうたが、

この時ばかりは僕のためのうたになる。

気分は軽い。

長くは続かないことは知っている。

今の僕にはそれで十分である。

もう少しだけ沈めそうだ。

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