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たわごと #007 集団の中の個としての自立と公平的視点

新たなグループに所属・紹介を受ける際、例えば、研究室見学の時やインターンシップなどでこのような言い方をよく聞く。このチームには個性的なメンバーが多いです、と。Aさんは乗馬が趣味で、Bさんはこの分野の第一人者で、Cさんはどこそこの大会で優勝しました、とか。個性的でしょ?と。

中学生の涼宮ハルヒだって気づいていたというのに、多くの大人が気づいていないバイアスがそこにはある。

チームの紹介をしてくれたリーダーや上司の方は至極一般的な人だったが、だからこそ無意識な区別がそこにはあり、自分たちの所属する集団が個性的である、あるいは特別であると信じて疑わない。だからこそ、うちのチームはみな個性的ですという紹介をする。

このような意識には下記のような心理が働いている。

  1. 内集団バイアス

  2. 外集団同質性バイアス

何かしらの集団に所属している限り、これらのバイアスにより、潜在下で認識が歪められている。そしてその集団は場合によっては、複数の集団への所属意識を形成している。例えば、日本人とそれ以外、通っている高校とそれ以外の高校、所属しているサークルと所属していないサークル、会社に馴染めない僕と会社など、これらへの所属意識は重複し、おそらく、この意識にはプライオリティが存在する。

プライオリティの例としては、ある日本人が外国語学校でどっぷり外国の文化に浸かった場合を想定すると、わかりやすいかもしれない。周りに1人や2人程度はいるであろう。その人は日本人としての所属意識もあるはずだが、同時にその外国文化圏への所属意識もあるはずで、人によっては後者のほうが優先されることもあるだろう。これは別段外国語学校に限った話ではなく、SNSや反日本、政治思想本など、感銘を受けたものによって所属意識が無意識的に変化する。日本人なのに日本人に対して攻撃的かつ外国人優位な言動をしている人は、概ねこのような意識変化があったことが容易に想像できる。彼らにとっては、歴史的背景や法律的な問題、事実などはどうでもよく、この歪んだ認識による感情論のみが必要なのだ。

非社会的で集団意識の欠如した人間にしか、これらのバイアスを回避する方法はない。

愛国心なども同様である。
中国や韓国が反日思想を植え付けて国民感情を煽っているのも、日本人がうわ韓国人かよ、とか思ってしまうのもこういった心理が影響している。
もちろん理屈の上では反日感情を持っている人とそうでない人がいるというのが分かっていても、個人個人を見ることなく、韓国人として見てしまう。韓国人は同質である=韓国人はみんな反日感情を持っている、という潜在的な認識によって敵視してしまう。

日本の若者には愛国心がないと言われている。僕は親にも言われたことがあるし、愛国心がないことは自覚している。この理由はもはや明白で、プライオリティが他の所属母体に比べて低いためである。人にもよるだろうが多くの人はSNS等のつながりであろう。僕の場合はイラスト・イラストレーター界隈が最もプライオリティが高い。人によってはそれが、2ch(5ch)かもしれないし、友達かもしれないし、youtubeの動画チャンネルかもしれないし、ゲーム仲間かもしれないし……。このように多様化する現代小文化・サブカルチャー、コミュニティーこそが各々の最高プライオリティとなっている。国なんて漠然として旧態依然な面白みもないオッペケペーなんて知ったこっちゃない。それが現代の若者に多く見られる感性であり、その無関心こそが愛国心の無さにつながる。

そして、国などという大規模なものではなく、趣味レベルの小スケールコミュニティーが所属母体の主体となっていくにつれて、愛国心は希薄になっていく。ただ、これによって嬉しい副作用が期待される。それは国というレイヤーにおける差別意識が薄れ、国に対しては公平な視点を獲得できるというものである。あるいは無関心によるフラットさと言ってもいいかもしれない。

国という所属母体があるということすら忘れ去られれば、内集団も外集団もないので、バイアスもないのである。

実際はノイジー・マイノリティーによって、倒錯的判断となってしまうだろうが……。

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