見出し画像

ヒロシと本の話

ヒロシはわたしの父です。

左官職人でした。
45歳で怪我をして、車椅子生活になり、
大好きなパチンコにも行けなくなってしまった、
もうすぐ80歳のおじいちゃんです。
詳しくはこちらをご覧ください

パチンコ大好きな左官職人ですが、
パチンコの資金が無くなると、いつどこで買ってきてたのか、本を読んでいました。

吉川英治の本、三国志とか、宮本武蔵とか、歴史ものが好きなようです。
ヒロシがけがをした翌年、平成3年の大河ドラマは主演真田広之の太平記でしたが、吉川英治の原作本を買ってヒロシが入院している病院にチエコが送ってあげました。

ヒロシとチエコが買ってくれた本

わたしは、勉強も読書もしないし、かといって活発で運動ができるタイプでもないので、いつもぼうっとしているか、少女漫画「なかよし」とか「りぼん」を読んでるかの、のんびりした子でした。

意図せず、殴り書きで出した書写コンクールや読書感想文コンクールで入選することがあったので、周囲からはできる子かも?くらいに思われていたようですが、マグレだったので中身は空っぽでした。

で、田舎の書店に行くのにも自転車で30分かかるし、行くまでに大きな坂が3つくらいあるし、発売日には天気が悪くてマンガが買いに行けなかったり、やっと本屋に行けたと思ったら売り切れていたりが重なり、少女漫画すら面倒でゴロゴロしていた春休み、長続きしそうな本をチエコが買ってきました。

ローラー・インガルス・ワイルダー「大草原の小さな家」です。
アメリカの西部開拓時代を舞台にした物語です。
↑リンクのような文庫ではなく、ハードカバーの、字が小さくて分厚い本。

当時はテレビでも放映されていて、教育上も良さそうな本でした。

チエコは、本を買うとき、平積みされた話題の本ではなく、本棚に立ててある、あんまり売れなそうな本を買ってきます。
「宮沢賢治全集」の最終巻のお手紙とかメモの資料集みたいな本とか。

図書館で借りればいいような文学全集の自分が知ってるタイトルとか。
良く見つけたな、と思うような、しかも文庫じゃない、ハードカバーの高い本ばっかり。

大草原の小さな家も、実はシリーズの2巻目。
登場人物はテレビで見てだいたい知っているから、そこから読めなくもないが、ふつうは1巻の「大きな森の小さな家」から読みます。

多分、厚い方を選んだのです。
そして、テレビドラマと同じタイトルだったから。

素直に読んだ、当時の自分、字を追っていただったんだろうな、と思います。
他に楽しい遊びも娯楽もないから、おとなしく読むしかありませんでした。

田舎の本屋には中途半端にも、最初の2冊しか売られていなかったので、2冊読み終わったところで、チエコは3冊目の「プラムクリークの土手で」をお取り寄せ注文してきました。

ヒロシが出稼先の横浜で残りの全巻を買って送ってくれたのは、チエコがお取り寄せ注文した、その翌日のこと。

「プラムクリークの土手で」は2冊ある

シリーズの前半、福音館書店の分がそろっているなか、その2冊も、いま、私の息子の部屋の本棚の奥に立ててあります。
2冊ともケースがボロボロになっているところを見ると、どちらも妹か、うちの子たちかにきちんと読まれたのではないかと思われます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?