たった2分の面会の訳 ♯019
おじいさんは言った。
「2分で済むからな、待っててくりぃや」
到着地は小規模老人ホーム。奥さまが入所していると言う。2、3週間に1度程、面会に来るそうだ。
チャイムを鳴らすとすぐにスタッフが扉をスライドした。
扉が開いたままだが、私からはおじいさんの背中しか見えない。そして靴すら脱ぐ様子もない。
すると、手を振り扉を閉めた。実際は2分さえもかかってない。
「悪りぃね、じゃ、自宅まで」
「急がなくても大丈夫ですよ、もっとお話されても待ってますよ?」私がそう言うと窓の外を見