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【プロフェッショナルの探究#02】フリーランスとして「仕事」を受注するということについて

挨拶

こんにちは。フリーランスのWeb&グラフィックデザイナーの木下舞子です。
新卒でデザイナーとしてメーカーに就職した後、結婚して転勤族になったことを機に2019年に独立しました。
現在は複数の制作会社さんや代理店さんとお仕事する中、(株)CORELILYではWebサイト制作やブランド作りでご一緒させていただいています。
そんなチームCORELILYでは、この4月からWeb制作会社の株式会社baigieさんが主宰する「戦略的Web制作集中講座」( #ベイジの集中講座 )を受講しています。
有料講座なので内容を詳らかにすることは控えますが、学んだことを自分の経験と絡めてアウトプットしてみたいと思います。

概要

今日お話することをまとめると、

  • 前職時代に言われて記憶に残っていることが2つあり、それらと今回の講座内容が自分の中でリンクしました

  • 1つ目は、「仕事とは利益を作ることであり、利益を上げることを視野に入れない仕事は仕事ではない

  • 利益が出続けなければ、当たり前ですが会社は倒れてしまいます

  • 社員時代はもちろんですが、フリーランスとして外注される立場になってからも、自分がいただく金額が先方の利益を産む投資になっているかは常に考えていたいものですし、それを徹底して普遍的なメソッドにまで落とし込んでいる(株)baigiさんはやはりすごすぎる

  • 2つ目は、「(正しい現状把握のために)数字見ろ

  • 木下は前職でメーカーの商品企画とデザインをしており、新商品を作るたびに「色のラインナップの根拠の数字は?」「利益どれだけ取れるの?」「この発注数がいけると思うのはなぜ?」などなど、とにかく「数字出せ」と言われておりました

  • 今思えば至極当然のことなのですが、さまざまな工程に出てくる数字をクリアしながら感性にも訴えられる魅力的な商品作りというのは非常〜に非常〜〜〜に大変で、たくさんの人手と労力がかかった記憶が色濃く残っています

  • 翻って、フリーランスとしてWebやグラフィックのデザイナー(いわゆる広告業)をするというのは、そのようにして膨大な労力をかけられた顧客の商品を「世に送り出す」という最終パートを預かるということなわけで、生半可な覚悟ではいけないなと改めて自戒しました

以上です。
では、昔話な上に長いお話になりますがよろしくお願いいたします。

「利益を上げられない仕事は仕事ではない」

木下は独立する前、割と小さめな雑貨メーカーで商品デザイナーとして働いていました。

入社当時は先輩のデザイナーもおらず、自分が他部署との斥候から何から全部を担当しなければならないという立場でした(小さい会社あるあるですね)。
何もかもが手探りでしたが周りの方に助けられ、何でもやらせてもらえたことは心の底から良い経験だったと思えますし、今の自分の血肉となっています。


最初に任せていただいたのは、ベテラン社員さんと2人で海外工場から提案されたサンプルリストから自社の商品に昇華できるものがないか確認・選定する、というお仕事でした。

取引工場からは毎月「うちの工場はこんなものが作れるよ」「最近日本国外ではこんなものが流行っているよ」といろんな提案が送られてくるのですが、そのリストの中から自社の企画に発展させられそうなものを選んで商品企画の形に仕上げていくという作業です。

リストには、初めて見る特殊な素材を使ったものや、日本向けにはまだほとんど生産されたことがないもの、日本人の趣味嗜好に沿ったカワイイものなどがずらっと並んでおり、入ったばかりの木下は「あれもかわいい、これもかわいい!!」とテンション爆上がりでした。
かわいいもの見るとテンション上がりますでしょ、普通。

対するベテラン社員さんは一歩引いた目でリストを見ています。

「これとこれとこれめっちゃかわいくないですか〜🥹」
「木下ちゃん、この原価見てみ。今の原価やとうちのお客さん向けには作れへんよ。うちのお客さんたちは中高生向けに売ってるところが多いから、その子達が買える上代やないとあかん。そうなると上代はざっくりこれくらいで…利益率は…だいたいこれくらい

社員さんは隣でぱちぱち電卓を叩いて、リストと一緒に見せてくれました。
表示されている数字は、入社したての自分でもわかるくらい赤字でした。

利益を上げるものを作るのが仕事やで

商品デザイナーになって雑貨のデザインを手がけるようになったら、毎日かわいいもの楽しく作っていられるとばかり思っていました。
だってかわいいものが作りたくて雑貨メーカーに就職したんだもん!!
けれど、かわいいものを楽しく作るだけでは仕事とは言えない。そんな当たり前のことすら入社したばかりの自分はわかっていなかったのです。

それからベテラン社員さんは、私に原価や利益や上代などなど、たくさんの金額の意味と原価計算の数式を教えてくれました。
私がかわいい、これ良い、と言っていたサンプルを、どこをどう調整すれば企画まで持って行けそうかも時間をかけて教えてくれました。

打ち合わせの終わりがけ、「良い商品作ってよ」と言われた「良い商品」の意味は、最初とはまったく違う意味を持った言葉になっていました。


これは何も知らない新卒入社の社員だった私が初めて「仕事」というものに触れたできごとだったと思っていますし、「正当な利益が発生するか」は仕事の大前提だと学ばせてもらったできごとです。

利益が出続けなければ、当たり前ですが会社は倒れてしまいます。

社員時代はもちろんですが、フリーランスとして外注される立場になってからも、自分がいただく金額が先方の利益を産む行為につながっているかは常に考えいたいと思っています。

そんな中、顧客利益を出すことを徹底して、クライアントワークなのに普遍的なメソッドにまで落とし込んでいる(株)baigiさんはやはりすごすぎるので、今回の講座を通してエッセンスでも自分のものとしたいと思います。

ちなみに、「利益さえ上げればそれで良い」とは思いません。
三方良しは商売の基本」と、これも同じ社員さんから教わりました。


「(正しい現状把握のために)数字見ろ」

そんなこんなで数ヶ月が経ち、いろんな業務を任せていただけるようになった木下は毎日楽しくお仕事しておりました。
原価計算のために電卓をぱちぱちするのも板についてきた頃です。

街を歩けば自分が作った商品を持ったの女の子たちとすれ違ったり、自分が愛読していたファッション誌に商品を載せてもらったり、SNSを覗けば買ってくれた子たちが写真を投稿してくれていたり、
控えめに言ってその頃の私はすごーーー(略)ーーーく自信がついていました。

「私は商品デザイナーとしてお客様に喜んでもらえるお仕事をしているぞ!!」と、心から思っていました。

そのようにして仕事に自信がついてきた頃。
社長に「前期に作った商品のリニューアル企画とかどうですか〜」と、意気揚々と企画の草案を見せに行ったときのことです。

リニューアル対象の商品は自分がそれなりに苦労してリリースしたものでしたし、使っている子を街で見たり、SNSにあげてもらえていたり、自分なりに手応えを感じていたのです。

ですが企画書を見た社長の反応は渋いものでした。

「これ、数字見た?
「原価計算は営業さんに教えていただいてやりました!」
「そうじゃなくて、売上の方ね」

社長はPC画面をかちかち操作して、小さな数字がたくさん並んだ画面を見せてくれました。
社長がハイライトした行には、入社数ヶ月の自分でもびっくりの少なーい数が表示されていました。

私が感じていた「手応え」とやらは、どうやらただの思い込みだったわけです。

思い込みで作らない。数字で出てるでしょ

そのデータから、これまで自分が作ってきた商品の売れ行きや不良率や最終的な利率、リピート率などなどを知ることになりました。

自分が思っていたよりも売れていたりいなかったり、リピート発注されていたりいなかったり。自分が思う手応えなんてものは、所詮個人の感想でしかありませんでした。

このできごとをきっかけにさらに広い範囲の業務を任せていただくことになるのですが、新商品を提案するたびに「色の根拠の数字は?」「利益どれだけ取れるの?」「この発注数がいけると思うのはなぜ?」などなど、とにかく「数字、根拠」と言われることになりました。

世の中に新しいモノを生み出すのは、大海原に船で漕ぎ出すのと似ています。コンパスがなければどこに向かえばいいのか判断がつきません。「数字、根拠」は競合ひしめくレッドオーシャンで利益をあげ続けるための大事なコンパスでした。

ちなみに、売上データから企画を起こすのは元々は別の社員さんの担当で私は業務範囲外だったのですが、私が勝手に首をつっこんでいくから教えてくれたという経緯があります。
若いうちに何事も首つっこんでおいて良かったなあ。

まとめ

今思えば当然のことばかりですし、人によっては当たり前すぎる内容だったかもしれません(お恥ずかしい…)。

さまざまな数字を考えながら感性にも訴えられる魅力的な商品作りというのは非常に大変な作業です。

取引先の工場さんに何度も仕様を検討いただいたり、生産管理さんに納期を交渉していただいたり、営業さんにサンプルを持ち回って客先リサーチをしていただいたり…。

商品やサービスというのは、ここには書ききれないほどたくさんの人手と時間と労力とお金を使って生み出されます。

翻って、今私がやっているWebやグラフィックのデザイナー(いわゆる広告業)というのは、そのようにして膨大な労力をかけられた顧客の商品を「世に送り出す」という最終パートを預かること
だと理解しています。

最終パートがイケてなければ、ここまでに掛けられたすべてのコストが水泡に帰す可能性だってあるわけです。

成果の上がらないLP、クリックされないバナー、売り場で映えないパッケージ、読みづらいチラシ、CV導線がいまいちなWebサイト…。

生半可な覚悟では受注できないなと改めて自戒した次第です。

受講している講座では、「大事な最後のパートであの手この手を尽くし、顧客のためにできる限りの提案をするのか」のノウハウを教えていただいています。

少しでも昨日の自分よりレベルアップできるよう頑張ります💪

今日書きたかったことは以上です。
では。

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