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みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ

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大手企業にお勤めのビジネスパーソンの方が、銀行員時代の私のマインドではなく、今の私のマインドで、日々仕事をしていたら、日本はもっと良くなるという思いがあります。私の経歴に沿って、… もっと読む
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人事異動は蓋を開けてみるまで分からない:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(財務サービス部編5)

大手町支店、西新宿支店、そして財務サービス部。 いずれも場所は東京都内なので、私は転居を伴う転勤を経験したことがありませんでした。しかしながら、財務サービス部での6ヵ月間の研修期間が終わりに近づき、いよいよ次の配属先が決まるといった前日、部長からそれとなく言われたのは、どうも転居を伴う転勤でした。 ハッキリと支店名を言われた訳ではないのですが、部長の言葉から推測すると、どうも浜松支店が次の配属先だったのです。 実は当時の浜松支店長は小椋佳さん。銀行員と歌手の二刀流でご活

出張を社員が自分事として仕事の成果につなげるために必要な発想の転換:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(財務サービス部編4)

仕事によって、出張のある人とあまり出張のない人に分かれます。 銀行の場合、支店で働く担当者の場合、ほとんど出張はありません。地方の支店に配属になり、集合研修に参加するために東京へ出張するということはあっても、基本は支店の担当地域内の活動に留まるため、仕事で出張に行くことはあまりありません。 私も大手町支店と西新宿支店という、たまたま都内の支店しか経験していなかったので、財務サービス部で最後の方に、鳥取と松江に一泊二日で出張に行ったのは、社会人になって初めての出張でした

「鬼滅の刃」の名セリフで思い出したのは、自ら選択権を持つことの大切さ:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(財務サービス部編3)

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」 これは人気漫画「鬼滅の刃」の第1話で水柱と呼ばれる冨岡義勇が主人公の竈門炭治郎に対して発するセリフです。 実は財務サービス部で学んでいたオプションについても、同じことが言えます。 オプションは日本語で言えば「選択権」ですが、金融派生(デリバティブ)商品で言えば ・オプションを売る ・オプションを買う の2種類があります。 そして、オプションを売るということは、選択権を売った相手に渡してしまうことになります。 銀行で扱うオプ

プロの専門家として仕事に取り組む際、心掛けたいマインドセットとは?:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(財務サービス部編2)

財務サービス部に配属されて2、3ヵ月経った頃から、時々支店に訪問するという仕事が始まりました。金融派生(デリバティブ)商品の専門家として、支店に行って、担当者と一緒にお取引先にお伺いし、商品の説明を行うという仕事です。 私も前任店の時に、「為替リスクを回避するためにスワップを使いたい」というご要望を受けた際に、財務サービス部の人に担当先に同行訪問してもらったことがありました。立場変わって、今度は私が本部の専門家として、支店のお取引先に行くという訳です。 ただ、専門家といっ

本社勤務と現場の最前線で働くことの違いを体感する:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(財務サービス部編1)

銀行に入って2回目の転勤で配属になったのが、財務サービス部。スワップやオプションといった金融派生(デリバティブ)商品というものを取りまとめる部署になります。 しかも、正式に配属になったのではなく、半年間の研修プログラムの一環として所属することになりました。 それまでは支店勤務だったのが、本部勤務になり、しかも、研修生扱いということなので、仕事のやり方や取り組み姿勢が一変しました。 研修生は最後に研修レポートを提出するという課題はあったものの、「毎月新規の取引先を5社開拓

他者基準で行動している限り、仕事も遊びも中途半端で終わる:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編10)

2ヵ店目である西新宿支店で働いていた時、年齢的には20代後半。振り返ってみると、体力的には一番あった時期だったと思います。 実際同期の中には、平日は毎日忙しく働いているにも関わらず、冬場は土日になるとクルマでスキー場へ行き、また月曜日から一生懸命仕事に励むという人もいました。 「よく働き、よく遊べ」という感じでしょうか。 私はスキーは苦手だったので、一緒には行かなかったのですが、その分何か遊んでいたかと言えば、あまり遊んだという記憶もありません。仕事は自分なりに頑張って

苦手だった仕事がやがて得意な仕事に変わった理由とは?:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編9)

「いつ、どんな方法を使えば、為替差損を出さないで済むのでしょうか?」 西新宿支店で働いていた時、スイスフラン建ての社債を発行している取引先から問い合わせがありました。 「社債の償還期限が近づき、為替リスクをどのようにして回避するか」が喫緊の課題になり、訪問するたびに先方は担当者である私に質問されます。 しかし、当時の私はスワップやオプションについてよく理解していませんでした。このため、問い合わせがあっても、私はその場では上手く回答できません。そして、話をそのまま本部の専

会社には絶対に守らせたいルールがある:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編8)

会社で決めたルールをどのようにして徹底するか。 これは会社の大小を問わず、多くの会社で取り組んでいる課題です。 この点、銀行の場合は権限違反という点ではかなり厳しい組織です。 お客様から大切なお金を預かったり、所定の書類に署名・捺印をいただいたり、ということが日常業務としてあります。 これらは集金帳に記入してお客様に控を渡すのはもちろんのこと、担当者は支店に戻った後、預かってきたお金や書類を所定の人に渡す、所定の場所に保管するというルールがあります。 今でも時々、「

取締役に昇進したかどうかの違いはどこにあったのか?:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編7)

西新宿支店で働いている時、二人の支店長に仕えました。 お二人のうち、一人はその後取締役になり、最終的には常務取締役まで出世されました。一方、もう一人の方は、残念ながら取締役にはなれず、出向されました。 このように書くと、前者の支店長は優秀で、後者の支店長は前任者ほど評価されなかったと思われるかもしれません。 実は私自身も、後者の支店長からは厳しく指導されたので、個人的には正直あまり好きではありませんでした。 しかしながら、銀行を辞めて、客観的に振り返ってみると、お二人

情報漏洩を本気でなくしたいなら、社員への注意喚起頼りでは限界あり:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編6)

昨今は個人情報保護の観点からもデータの持ち出しに関しては、すごく厳しくなっています。 しかしながら、私が西新宿支店で働いていた頃は、かなり緩やかでした。 平日の日中は取引先を訪問したり、ノルマをこなすための営業をしたり、ということで、融資案件の申請書を書く時間があまりありません。 急ぎの案件があって、日中に支店内で申請書を書いていると、「ちゃんと営業しろ!」と怒られます。つまり、営業担当者は「支店の中にいる=仕事をしていない」と見なされるのです。 このため、貯まった申

「過ちては改むるに憚ること勿れ」を体感しました:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編5)

過ちては改むるに憚ること勿れ。 論語にある教えで、過ちを犯したらためらわずに改めようという意味ですが、実際には実践するのが難しい教えの一つです。 過ちであると認識できるかどうかまず、「過ちを犯したと認識できるかどうか」ですが、それが従来からの慣習やルールになっている場合、「自分のやっていることはおかしい」と認識することはかなり難しいです。 以前、銀行の検査について書きました。 銀行では定期的に検査部が行う本部検査があります。 いくら営業成績が良くても、本部検査の評価

バブルの熱狂は人の思考を停止させる:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編4)

私が西新宿支店に在籍したのは1989年2月~1992年の1月。元号で言えば、平成元年~4年にかけての3年間。いわゆる平成バブルの最後のひと花とバブル崩壊の過程を経験した時期に当たります。 その後、別の支店に転勤した際、平成4年入行の後輩から「自分たちは景気が悪くなった時期しか経験していません」と言われましたが、そういう意味では、私は2ヵ店目で景気の良い最後の時機を過ごしたことになります。 在任期間の前半では、支店では毎週のように大きな不動産取引が行われていました。不動産の

一見すると合理的に見えるやり方の中に見え隠れする非合理性を洗い出す:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編3)

転勤すると、どうしても、前の職場と今の職場との比較が生まれます。特に銀行の場合、全社的な手続きや従うべき規程は同じであっても、支店が違うと、仕事の進め方ややり方で様相が変わることが多いです。 西新宿支店に転勤して、驚いたことの一つが営業会議の資料に青焼きコピーを使っていることでした。 もしかすると、青焼きコピーと言っても、若い人はピンと来ないかもしれませんが、今でもたまに建物の古い図面や設計図で見かけるぐらいで、ほとんど目にしません。 前の支店では普通にコピー機で資料を

月1回ロマンスカーに乗って集金に行くことで成り立つビジネスモデルの問題点:みずほ銀行に勤めている◯年前の私へ(西新宿支店編2)

リモートワークが進んで良かったことの一つに、移動時間が減ったことがあります。 夜7時までオンラインで打ち合わせして、1時間ほど食事と休憩。8時からまた2時間打ち合わせをして、10時になったら風呂に入って寝る。 これらは自宅でリモートワークすれば可能ですが、実際に外で人と会う、お客様の所へ訪問するとなれば、実現不可能なことです。 さて、二ヵ店目である西新宿支店に転勤して、驚いたことの一つに移動距離がかなり増えたことがあります。 大手町支店の時には、担当先が支店の近辺に集