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☆☆カタールW杯注目選手〜グループD〜☆☆

カタールワールドカップの注目選手シリーズ、続けてはグループDを見ていきたいと思います。

○グループD
・フランス(7大会連続16度目)世界ランク4位
・デンマーク(2大会連続6度目)世界ランク10位
・チュニジア(2大会連続6度目)世界ランク30位
・オーストラリア(5大会連続6度目)世界ランク39位

前回王者のフランスが入ったグループD。
フランス、デンマーク、オーストラリアという組み合わせは、前回のロシア大会のグループDと同じです。4チーム中3チームが2大会連続で同じ組み合わせになるのは、史上初だそうです。(今大会のグループGにおけるブラジル、スイス、セルビアも同様です。)
やはり実力的には前回王者のフランスが抜き出ており、デンマークがそれに続くというところでしょうか。
ただ、オーストラリアも大陸間プレーオフを勝ち上がってきたくらい逆境に強いチームでもありますし、チュニジアも先日日本代表に完勝するなど、決して侮れないチームです。
そして、ワールドカップではここ3大会、前回王者がグループリーグで敗退するというジンクスもあります。
果たして、王者フランス代表はまさかの敗退を喫してしまうのか、それとも盤石に勝ち上がるのか、他3チームの実力にも注目して見ていきたいと思います。

○フランス(7大会連続16度目)世界ランク4

前回王者であり、世界ランクも4位につける強豪国フランス。
昨年のUEFAネーションズリーグでは優勝したものの、EUROではベスト16で敗退を喫してしまいました。今回のワールドカップの欧州予選は無敗で通過したものの、今年のUEFAネーションズリーグは4試合未勝利と、現時点では順調とはいえない状態です。
しかし、前線から最終ラインまでタレントは非常に豊富に揃っており、彼らが噛み合えばものすごい実力を発揮するはずです。
折り紙付きの実力を誇るベテラン勢に加えて、有望な若手が次々と台頭しているフランス代表、注目選手がこれまた非常に多いですが、今回はその中から筆者の独断と偏見で選りすぐってみました。

・キリアン・エムバペ(パリサンジェルマン/フランス FW 23歳)

今やフランス代表のみならず、サッカー界の新たな顔となっているエムバペ。
今年パリサンジェルマンの一員として来日したことも記憶に新しいですね。
前回のロシア大会では、若干19歳にしてフランス代表の主力として4得点をあげ、チームの優勝に大きく貢献しました。
フランスのリーグでは4年連続で得点王になるなど、驚異的な決定力を誇っています。
エムバペの突出した点といえば、その圧倒的なスピードです。相手をぶっちぎって縦へ突破するドリブルは、まともに止められる選手はほとんどいないでしょう。最高速度はあの陸上界のスターであるウサイン・ボルトと同じとも言われてます。
更に足元のテクニックにも優れているので、相手のマークにあってもボールをキープすることもできます。そして、ドリブルに緩急をつけることで、たちまち相手を置き去りにして突破することができます。一瞬止まったかと思ったら、いきなり超加速して抜きにかかるので、相手選手からしたらたまったもんじゃありません。
状況判断にも優れているので、ドリブルで突破する場面とパスを出す場面を的確に使い分けることができます。もはやアタッカーとしては完璧な選手ですね。
今回のワールドカップでも、前回王者フランスの中心選手として参戦するはずなので、そのスピードでカタールの地を沸かせることができるのか、注目ですね。

・カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード/スペイン FW 34歳)

フランスの名門リヨンで頭角を表し、現在はレアル・マドリードの絶対的エースとして活躍するベンゼマ。
レアルではクリスティアーノ・ロナウドとガレス・ベイルと共に「BBC」と呼ばれる強力な攻撃陣を形成していました。
フランス代表でもアンダー世代からの常連でしたが、2015年にチームメイトへの恐喝容疑で逮捕されるという事件を起こしてしまいました。結果的にベンゼマ本人は無罪でしたが、サッカー連盟との確執により、以降5年半に渡りフランス代表には召集されませんでした。
その間にもベンゼマはレアルでエースとして得点を量産し、シーズン30得点を記録したこともありました。フランス代表もこの間にロシアワールドカップで優勝を果たしましたが、国民からはレアルで活躍するベンゼマの代表復帰を望む声が高まっていました。そして、2021年5月に、ついにフランス代表への復帰を果たしました。2021年のUEFAネーションズリーグでは、決勝のスペイン戦で同点ゴールを決め、チームの優勝に貢献しました。
ベンゼマは、力強さとしなやかさを併せ持った万能型のストライカーです。
185cmの大柄な身体を生かしたポストプレーももちろんですが、ボールを扱うテクニックも非常に優れています。主にポジションはセンターフォワードですが、ウイングやトップ下でも機能するくらいにテクニックや視野の広さも優れています。ドリブルのスピードも速く、難しい体勢でのシュートも普通に決める力を備えています。攻撃において、これほど頼りになる選手はなかなかいないでしょう。
ベンゼマにとっては2大会ぶりのワールドカップとなる今回のカタール大会。本大会でもその爆発的な得点力に期待したいですね。

・アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード/スペイン FW 31歳)

こちらもフランス代表の攻撃の主軸を担う選手であるグリーズマン。
フランス人ですが、スペインの名門レアル・ソシエダでプロデビューし、アトレティコ、バルセロナを経て、現在は再びアトレティコにバルセロナからのレンタル移籍で加入しています。
グリーズマンはフォワードの中でも、やや下がり気味の位置でプレーするセカンドストライカーで、フィジカルよりも技術と視野の広さに優れた選手です。相手と味方の動きを確認して、裏へと抜け出す動きが得意です。また、パスを出すのも得意であり、味方の得点をアシストすることもできます。
そして、シュートが非常に上手であり、得点パターンも豊富です。相手の裏に抜け出してボールを受けてからのシュートはもちろんですが、ゴールから離れた位置からでもミドルシュートを決められます。回転がかかったシュートから無回転シュートまで、様々なボールを打ち分けられます。
更には、前線からの守備も厭わない献身生も備えています。これは長く所属してるアトレティコのディエゴ・シメオネ監督が前線の選手にも守備の強度を求めてきたためであり、その指導を受けてきたグリーズマンもフォワードながら守備力も高いです。
自身3度目のワールドカップとなるカタール大会では、どのような活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです。

・エンゴロ・カンテ(チェルシー/イングランド MF 31歳)

フランス代表の中盤に欠かせない守備的MF、カンテ。イングランドのレスターシティで、元日本代表の岡崎慎司らと共に奇跡のプレミアリーグ優勝を成し遂げ、チェルシーに移籍。以降はチェルシーでプレミアリーグ優勝や欧州チャンピオンズリーグ優勝など、数々のタイトル獲得に貢献してきました。フランス代表でも、前回のロシア大会優勝に大きく貢献し、世界でも最高クラスのMFとして知られています。
カンテの凄さはなんと言っても、無尽蔵なスタミナでピッチ全体を動き回り、90分間走っても質が落ちないほどの体力を誇っています。私としては、2020-21シーズンの欧州チャンピオンズリーグの決勝でのプレーが特に印象的でした。「地球の7割は海で覆われていて、残りの3割はカンテがカバーしてる」と言われるくらい、カバー範囲が非常に広いです。
そして、ボール奪取能力に非常に長けており、168cmと小柄な身体ながら相当なプレスを相手にかけて、たちまちボールを奪い取ります。
攻撃面でも、質の高いパスを供給できるし、自ら持ち上がってカウンターの起点にもなれます。
そのダイナミックなプレーとは裏腹に、人柄は非常にシャイで素朴ということでも知られています。ワールドカップの優勝トロフィーに自分から触りに行けなかったり、高級車に乗るサッカー選手が多い中で、手頃な値段のミニクーパーに乗っていたり、何とも可愛らしい私服姿が話題になったりしてます。そんなことも話題になるくらい、多くのファンから愛されている選手でもあります。
そんな鉄人カンテも、30歳を過ぎた昨年あたりから怪我が多くなり、稼働率は低くなりつつあります。カタールワールドカップでは中盤のダイナモとしてパワフルなプレーを見ることができるのか、要注目ですね。

・オーレリアン・チュアメニ(レアル・マドリード/スペイン MF 22歳)

フランス代表の期待の若手の一人であるチュアメニ。フランスの名門ボルドーの下部組織からトップチームに昇格し、モナコを経て今シーズンからレアル・マドリードに加入しました。
チュアメニは主に守備的MFでプレーしてる選手で、187cmの身長と強靭なフィジカルで相手に仕事をさせない選手です。中盤でのタックルやインターセプトに定評があり、守備能力は非常に高いです。戦局を読む力に優れており、適切なポジションを確保する能力も高いです。
攻撃面でも、ボールを奪取した後にサイドにロングボールを送り込んでチャンスを作るなど、冷静なプレーが光る選手でもあります。
今回が初のワールドカップとなりますが、その力を世界に示せるか、とても注目されています。

・バンジャマン・パバール(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ DF 26歳)

フランス代表のディフェンスの主力であるパバール。
フランスのリールからドイツのシュトゥットガルトを経て、バイエルン・ミュンヘンに加入しました。
パバールと言えば、前回のロシア大会のアルゼンチン戦で決めたゴールが、大会の最優秀ゴールに選ばれたことでも知られています。(私もこのゴールには衝撃を受けました。多分今まで見たサッカーのゴールで最も美しいゴールだと思います。こんなに綺麗な軌道を描いてボールが飛んでいくのを私は見たことないです。)
基本的には右サイドバックの選手ですが、センターバックも務めることができます。身長186cmと体格があるので、対人戦には非常に強いです。サイドバックの中でもかなり守備意識の高い選手です。しかし、攻撃面でもチームに貢献することができる選手で、右足のキックの精度は高いです。先述のワールドカップでのゴールも右足で振り抜いたゴールです。
今回のワールドカップでも、フランス代表の最終ラインの要として活躍してくれることが期待されますね。

・リュカ・エルナンデス(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ DF 26歳)

こちらもバイエルンに所属するフランス代表の主力DF、リュカ・エルナンデス。
フランス人ですが、スペインのアトレティコ・マドリードの下部組織で育ち、トップチームに昇格して活躍してきました。
彼の特徴は、センターバックも左サイドバックもしっかりこなせるユーティリティープレーヤーであることです。アトレティコでは両ポジションを半々くらいでプレーしてました。
サイドバックの選手らしく、スピードはかなりのもの。そしてセンターバックらしく1対1での強さにも定評があります。スタミナも高く、90分間フルで走り切ることができるほどの運動量があります。
今回のワールドカップでも、リュカのパワフルなプレーに注目ですね。

・ジュール・クンデ(バルセロナ/スペイン DF 23歳)

フランスのA代表に招集されたのは昨年のEURO2020が初ですが、今後の活躍が期待される有望な選手です。
フランスの名門ボルドーの下部組織出身で、スペインの強豪セビージャを経て、今シーズンからFCバルセロナの一員となったクンデ。
ポジションは主にセンターバックですが、右サイドバックもこなすことができるユーティリティープレーヤーです。センターバックを務めていても、サイドバックのようにボールを持って前へと持ち上がるプレーが特徴的で、時には自ら強烈なシュートも決めることもあります。
身長178cmと、センターバックとしては小柄な方ですが、ジャンプ力はかなりのもので、自分より大きい相手にも競り負けにくいところも強みです。
センターバックとしてはかなり珍しいユーティリティ性を備えたクンデ、初のワールドカップでどんなプレーを見せてくれるのか、楽しみですね。

・ラファエル・ヴァラン(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド DF 29歳)

長くフランス代表の最終ラインを支え続ける世界屈指のディフェンダーであるヴァラン。レアル・マドリードでリーグやCL、フランス代表でもワールドカップ優勝を経験するなど、あらゆるタイトルを勝ち取ってきた選手です。
主にセンターバックを務めており、冷静な判断力を備えて最終ラインを統率することができます。
身長191cmという長身の上に、身体能力も抜群なので、対人守備にも空中戦にも滅法強いです。相手との一対一の場面でも、非常に落ち着いたプレーを見せ、足を出すタイミングやチャージに行くタイミング、相手を追い込む守備など、相手を自由にさせないあらゆる工夫をしているため、ヴァランを抜き去るのはかなり困難です。たとえ相手に抜かれたとしても、持ち前のスピードで対応できてしまうので、隙がない選手です。
昨シーズンからマンチェスター・ユナイテッドに移籍しましたが、その後は怪我が多く、ハイパフォーマンスはなかなか見せられていませんが、ワールドカップの舞台で活躍を見せることができるのか、要注目です。

○デンマーク(2大会連続6度目)世界ランク10位

北欧の強豪国、デンマーク。過去にワールドカップで日本と対戦したこともあり、最近はJリーグ(特に浦和)にデンマーク人選手が何人か移籍していることもあり、日本でもデンマーク人選手が注目されています。
昨年のEURO2020では、中心選手のエリクセン選手が試合中に心停止で倒れるというアクシデントがありましたが、それらの困難を乗り越えて見事ベスト4に進出して、人々に感動を与えました。
今回のワールドカップの欧州予選でもグループ首位で通過するなど、驚きの強さを発揮しています。高い組織力を備え、若手とベテランも上手く融合したチームは、実力十分。今回もまずはグループリーグを突破して98年大会以来となるベスト8以上を目指します。
それでは、デンマーク代表の注目選手を見ていきましょう。

・カスパー・ドルベア(セビージャ/スペインFW 25歳)

デンマーク代表の期待のアタッカーであるドルベア。オランダの名門アヤックスで19歳にして1トップとしてレギュラーに定着し、その後はフランスのニースで活躍、今シーズンからはスペインのセビージャにレンタル移籍しています。昨年のEURO2020では、決勝トーナメント1回戦のウェールズ戦で2ゴールを挙げ、準々決勝のチェコ戦では決勝ゴールを挙げる活躍を見せたことも記憶に新しいですね。
ドルベアは、フォワードとしては万能型と言われています。かつてアヤックスに所属していたルイス・スアレスやズラタン・イブラヒモビッチに似たプレースタイルを持つことから、「スアレス2世」、「イブラ2世」と言われたりしてます。
187cmの体格を生かしたポストプレーが得意であり、ボールコントロールにも優れているため、チャンスメイクも自ら決めることもできるところも、万能型フォワードと言われる所以ですね。シュート力やシュート技術も高いので、あらゆる場面からゴールを狙うことができます。
カタールの地でもその能力を発揮して、活躍して欲しいですね。

・アンドレアス・スコフ・オルセン(クラブ・ブルッヘ/ベルギー FW 22歳)

こちらもデンマーク代表期待のアタッカーであるオルセン。ベルギー王者のクラブ・ブルッヘでゴールとアシストを量産している伸び盛りの選手です。
代表では主に2列目のアタッカーとして起用されることが多いです。
卓越した足元の技術を持っており、相手をワンタッチで交わしてから得点したり、自らドリブルで突破するなど、相手ディフェンスを切り裂く強力な攻撃力を備えています。あらゆる場所からシュートを狙うこともでき、シュート精度も高いので、相手からしたら非常に厄介な存在です。今回のワールドカップでも、その決定力でチームを勝利に導けるか、注目ですね。

・クリスティアン・エリクセン(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド MF 30歳)

デンマーク代表でも最も知名度と実績のあるスター選手であるエリクセン。デンマーク代表でも中盤の要として活躍しています。
オランダの名門アヤックスのユース出身であり、トップチームではリーグ3連覇に貢献しました。その後イングランドのトッテナムで活躍し、ワールドクラスの選手へと成長していきました。
エリクセンは攻撃的MFで起用されており、そのプレーの視野の広さとパスセンスは世界屈指と言われています。キックの精度が非常に高く、長短様々なパスを使い分けて、味方の得点をアシストしたり、自らゴールを決めたりもします。エリクセン一人がいるだけで、一気にチームの攻撃が活性化します。
そんな世界トップクラスの選手であるエリクセンですが、昨年のEURO2020で、彼に悲劇が襲いかかりました。グループリーグのフィンランド戦の途中で、突如心停止で倒れてしまいます。味方の選手達やチームドクターがすぐに的確な処置を行なったため、一命は取り留めましたが、これ以降は植え込み型除細動器(ICD)を装着することとなります。(私もピッチ上でAEDによる蘇生処置が行なわれている映像を見ましたが、衝撃でした。本当に助かってよかったです。)
そして今年の3月にはデンマーク代表に復帰して、出場からわずか2分でゴールを決めるなど、代表復帰後も調子を上げています。
決して無理はしないようにして欲しいですが、カタールワールドカップでも活躍が期待されますね。

・トーマス・デラネイ(セビージャ/スペイン MF 31歳)

デンマーク代表の中盤を支える働き者として知られるデラネイ。主に守備的MFとしてプレーしています。スタミナが非常に豊富な選手で、ピッチ上でカバーできる範囲が非常に広く、90分間プレーの強度を維持することもできます。また、ボールを持った後のパスのスピードも速く、中盤でボールを奪った後、一気に攻撃のスイッチを入れることができます。昨年のEURO2020では、準々決勝のチェコ戦で先制ゴールをマークし、試合のMOMにも選ばれるなど、得点でもチームに貢献しています。
カタールでもタフなプレーでチームを助けてくれることが期待されます。

・ピエール・エミール・ホイビュア(トッテナム/イングランド MF 27歳)

こちらも守備的MFとして活躍しているホイビュア。185cmの高身長であり、高いフィジカルとテクニックが武器の選手です。
対人守備に強く、球際の競り合いで力を発揮できる選手であり、相手に激しくプレッシャーをかけてボールを奪い取ることが得意です。また、創造性のあるパスも見所であり、味方のビッグチャンスを演出するなど、攻撃面でもチームに貢献しています。ボールコントロールも上手く、ダブルタッチやルーレットなど様々なテクニックを駆使したドリブルも魅力です。デンマーク代表を見るときは、中盤での彼の働きっぷりに注目するのもいいでしょう。

・アンドレアス・クリステンセン(バルセロナ/スペイン DF 26歳)

デンマーク代表の最終ラインを支えるクリステンセン。
イングランドのチェルシーの下部組織からトップチームに昇格して活躍を続け、今シーズンからFCバルセロナに加入しました。
主にセンターバックとして起用される選手であり、守備での予測能力は非常に高いです。危険なスペースをいち早く察知し、そこを埋めてきます。身長も188cmの長身であり、センターバック向きの体格を備えています。
守備だけでなく足元の技術にも優れており、味方のビルドアップのほか、相手の隙をつく縦パスや味方の動き出しに合わせたスルーパスを繰り出すこともできます。ボールを保持するスタイルのチームにはピッタリな選手ですね。
カタールワールドカップでも最終ラインの要として活躍してくれることを願ってます。

・シモン・ケアー(ACミラン/イタリア DF 33歳)

デンマーク代表でキャプテンを務めるケアー。所属するACミランでもチームを牽引し、昨シーズンのリーグ優勝に大きく貢献しました。
試合の流れを読む力に長けており、抜群のポジショニングでチームの守備を支えます。ファールも少ない選手であり、ペナルティーエリア内でも落ち着いた守備を見せ、相手の攻撃を潰します。更に安定したビルドアップをすることもでき、ロングパスの成功率も高いです。
デンマーク代表では、プレーも去ることながら、キャプテンとしてのチームを取りまとめる重要な役割も担っています。
昨年のEURO2020では、試合中に倒れたチームメイトのクリスティアン・エリクセンの元にいち早く駆け寄り、気道を確保する行動を取り、エリクセンが意識を取り戻すようになりました。また、心配してピッチに降りてきたエリクセンの奥さんを励ましたり、治療を受けるエリクセンを囲うように選手達に声かけするなど、一連の行動は世界中から称賛されました。選手としてだけでなく、人間としても優れていることが分かりますね。

・カスパー・シュマイケル(ニース/フランス GK 35歳)

デンマーク代表のベテランGKであるカスパー・シュマイケル。父親のピーター・シュマイケルもデンマーク代表の守護神を務めたレジェンドとして知られています。
シュマイケルはイングランドのマンチェスター・シティでプロキャリアをスタートさせ、その後は数々のクラブを経て、2011年にレスター・シティに加入します。レスターでは2015-16シーズンに奇跡のプレミアリーグ優勝を果たすなど、守護神として活躍。延べ414試合に出場しています。今シーズンからはフランスのニースに活躍の場を移しています。
シュマイケルは、ゴール前での存在感は抜群のGKです。189cmの長身と闘争心を全面に押し出すスタイルで、相手の前に飛び出しての一対一の強さには定評があります。また、空中戦やシュートストップ力、キック力も抜群であり、ミスも少なくGKとして隙のない選手です。
前回のロシア大会に続いて2度目のワールドカップを迎えますが、好セーブでチームを救う働きに期待ですね。

○チュニジア(2大会連続6度目)世界ランク30位

「カルタゴの鷲」と呼ばれるチュニジア代表。
(カルタゴとは、フェニキア人が現在の同国首都のチュニスに築いた都市国家)
毎回熾烈な戦いが繰り広げられるアフリカ予選を突破して、2大会連続のワールドカップ出場を決めています。
世界的なスター選手は不在であるものの、組織力は高く、決して侮れないチームです。
今年の6月にはキリンカップで日本代表と対戦し、3-0で完勝するなど、実力は十分。
果たして、カルタゴの鷲達は強豪国相手にどんな戦いを見せるのか、番狂わせを起こすことはできるのでしょうか。
それでは、チュニジア代表の注目選手を見ていきましょう。

・ワフビ・ハズリ(モンペリエ/フランス FW 31歳)

長くチュニジア代表の攻撃の中心を務めてきたハズリ。
アンダー世代ではフランス代表を選択していたこともありましたが、A代表ではチュニジアを選択しています。
前回のロシア大会でも2得点を決めるなど、ワールドカップの大舞台でも結果を残しています。
狂犬と言われるほどの闘争心を全面に押し出したプレーが特徴であり、激しいプレーで相手の守備をこじ開けてシュートやパスを出すことができます。
また、守備での貢献も大きく、前線から相手に強烈なプレスをかけることもできます。
ハズリのパワフルなプレーは、チュニジア国民やチームメイト達も勇気をもらっているようです。
31歳と年齢的にはベテランですが、カタールの地でも暴れてくれることを期待しています。

・モハメド・アリ・ベン・ロムダン(エスペランス・チュニス/チュニジア MF 23歳)

チュニジア代表期待の若手であるベン・ロムダン。今年6月のキリンカップで日本代表相手に先制ゴールを決めたことも記憶に新しいところでしょう。
チュニジア国内の強豪エスペランスの主力として、アフリカ版チャンピオンズリーグなど様々なタイトル獲得に貢献してきました。まま
フィジカルの強さと足元の上手さを兼ね備えた選手で、少しのスペースがあればゴールを狙うことができます。
カタールワールドカップで活躍して、もっと上のリーグを目指してほしいですね。

・エリス・スキリ(FCケルン/ドイツ MF 27歳)

チュニジア代表の中盤の要であるスキリ。
フランスのモンペリエで台頭し、リーグ屈指のボランチとして名を馳せるようになりました。
その後、ドイツのケルンに加入して活躍を続けています。
優れたボールコントロール能力を持ち、運動量と素早い反応を生かしたパスカットやボール奪取に長けています。
攻守において、大概のプレーを器用にこなせる働き者です。
中盤でのスキリの働きにも要注目ですね。

・ハンニバル・メイブリ(バーミンガムシティFC/イングランド2部 MF 19歳)

チュニジア代表の未来を担う逸材として注目されているハンニバル・メイブリ。出身国はフランスであり、アンダー世代ではフランス代表に招集されていましたが、A代表では両親のルーツがあるチュニジア代表を選択しています。
フランスのパリFCやモナコのユースで活動してきましたが、2019年にイングランドのマンチェスター・ユナイテッドと契約を交わし、16歳にして世界トップクラスのリーグのチームに加入しました。しばらくアンダーチームで出場していましたが、2021年にトップチームでもデビューしています。今シーズンからは2部のバーミンガムシティFCにレンタルで加入しています。
彼の主なポジションは攻撃的MFであり、トップ下やインサイドハーフでプレーしています。中盤で柔らかなボールタッチから試合を動かし、創造的なパスでゲームを作る司令塔です。19歳という年齢には似つかわしくない卓越したビジョンでゲームを進めることができるし、ピッチ上でもリーダーとして仲間を牽引できる存在です。いずれはチュニジア代表でもチーム全体の司令塔となれる日も来るでしょう。
初となるワールドカップ、トレードマークのソバージュ・ヘアーを靡かせて、この若き才能ある選手がどんなプレーを見せてくれるのか、楽しみですね。

○オーストラリア(5大会連続6度目)世界ランク39位

アジアにおける日本のライバル国の一つであるオーストラリア代表。今回のワールドカップ予選では、日本と同じグループで3位となり、UAEに勝って大陸間プレーオフに進出、更にはそこでペルー代表にPK戦の末勝利して、ようやく本大会への切符を掴みました。
アジア予選では日本代表に2連敗していますが、逆境に追い詰められた時の底力は侮れず、ワールドカップでもその勝利への執念で番狂わせを起こせるか、注目ですね。
では、オーストラリア代表の注目選手を見ていきましょう。

・ミッチェル・デューク(ファジアーノ岡山/J2 FW 31歳)

J2のファジアーノ岡山に所属するミッチェル・デュークも、オーストラリア代表では攻撃の主力選手。岡山の他にも清水エスパルスに所属していた時期もあるので、日本にも馴染みの深い選手です。昨年の東京オリンピックでもオーバーエイジ枠で参戦しています。
デュークは前線ならどこでもこなせる万能アタッカーであり、主にセンターフォワードや右ウイングとして起用されています。パワーやスピードもあり、186cmと大柄ながらも、ドリブルで仕掛けることも得意です。
突出した強みはないものの、アタッカーに必要な能力を満遍なく備えた選手と言えるでしょう。
岡山では今シーズン、ここまで8得点4アシストと結果を残しており、オーストラリア代表にも最近コンスタントに呼ばれているので、ワールドカップでも活躍してほしいですね。
(J2を代表して、という意味でも。)

・マシュー・レッキー(メルボルンシティFC/オーストラリア MF 31歳)

オーストラリア代表として2大会連続でワールドカップに出場してきたマシュー・レッキー。
ボルシアMGやヘルタ・ベルリンなど、ドイツのチームを経て、現在は母国のメルボルンシティFCでプレーしています。
ヘルタ・ベルリンでは日本代表の原口元気ともチームメイトでした。
レッキーはスピードと突破力に優れたアタッカーです。サイドから切り込んでドリブルからシュートを放つのが得意なパターンでもあります。身長181cmと高さもあるので、セットプレーも得意です。パワーもテクニックも兼ね備えたオーストラリアの中盤の要ですね。
年齢的にはベテランですが、代表でもパワフルなプレーを見せてくれることに期待ですね。

・アイディン・フルスティッチ(エラス・ヴェローナ/イタリア MF 26歳)

オランダのフローニンゲンやドイツのフランクフルトを経て、今シーズンからイタリアのエラス・ヴェローナでプレーするフルスティッチ。父親の母国であるボスニア・ヘルツェゴビナのU-21代表に選出されようとしていたこともありましたが、本人はオーストラリア代表を選択したため、今は同国代表でプレーしています。
フランクフルトでは、日本代表の鎌田大地のライバルとも言われていました。
ポジションは主に守備的MFであり、ボール奪取やパスワークに優れたオールラウンドな選手であり、トップ下やサイドでもプレーが可能です。
カタールワールドカップでも、中盤の主力として活躍してくれることを期待しています。

・アーロン・ムーイ(セルティック/スコットランド MF 32歳)

こちらも中盤で動き回れる万能型MF、アーロン・ムーイ。インサイドハーフやボランチ、サイドハーフもこなせるオールラウンダーです。
ムーイはオーストラリアの選手の中でもテクニックに優れた選手であり、ゲームメイクのセンスもあるため、試合では司令塔として活躍しています。正確で質の高いパスで、チームの攻撃を大きく活性化させられます。自ら広いエリアを動き回り、味方の人数が足りていないところを的確にカバーすることもできます。
オーストラリア代表を見るときは、中盤での彼の働きにも注目ですね。

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